先日、サンフランシスコで行われたPalo Alto International Film Festival(パロアルト国際映画祭)にて、日本の高い3D技術力が評価されPAIFF & Dolby3D賞を受賞したことで話題の本作。

5月のカンヌ国際映画祭(欧州)、10月の釜山映画祭(アジア)をはじめ、世界各国で映画祭の参加が決定し、日本公開に向けて期待が高まっております。
そして、ついに、10月7日に行われました“USプレミア”にてアメリカ大陸も制覇いたしました。

熱気沸く会場には、三池崇史監督ファンや日本映画ファンほか、各々がイメージする“サムライ”精神に基づくサプライスピリットを表現したコスプレを身にまとったニューヨーカーが集結!! 世界が認めた映画『一命』をしかと見届け、本物のサムライスピリットを体感いたしました。

【映画『一命』USプレミア(in NY)】
■日時:10月7日(金)午後7時〜(三池崇史監督のメッセージビデオ放映あり)
※現地時間
■会場:ジャパン・ソサエティー・オーディトリアム(キャパシティ:262人)

『一命』USプレミアレポート (あずまゆか)

プレミア上映に駆けつけたのはニューヨーク在住の日本人と、ほとんどがアメリカ人。
日本語を話さない東洋系の人たち。剣術を学ぶ20代〜40代の男性たち5人は、「このジャンルの映画や武士道をサポートしたいから」と、はかま姿でやって来た。

「いまの時代に、このアートが表現されるのが見たかった」と語る。
 NYでサムライ・パフォーマンスを披露する“Samurai Sword Soul”のメンバーたちも、刀を腰にサムライ姿で駆けつけた。

「サムライを知ってもらえる機会になる。三池監督は世界的に人気があるし」と、メンバーのイトウ・アキラさん。彼らにとって、試写の前にNYプレミアで上映された三池崇史監督からのビデオ・メッセージは最高のプレゼントとなった。

「今日はニューヨークのサムライも集まってくれているという。ご苦労様」と三池監督が語ったところで、場内はどっと笑いに包まれた。「あの監督からのメッセージは嬉しかったですね」と、満面の笑顔を浮かべるサムライ姿のスギタ・ハルノブさん 。「この作品はサムライとは何かと考えさせられる映画でした」と、語る。

試写後の場内はシーンと静まりかえった。場内を埋め尽くす客たちはゆっくり席を立ち、しばらく声もでない様子。「素晴らしい作品だった」「放心状態です。ルネサンス時代と平行するものがあるなと思いました」と、劇場から出たばかりの60代の白人夫婦が語る。

「観客はみんな感動したようだ。僕の隣に座っていた女性は泣いていた」と、黒人男性レナード・ランバーグさん。「今日は本当に来た甲斐があった。
良く出来た映画で楽しめた。キャラクターに現実味と信憑性がある」

洗練された服装の白人女性2人は「悲しいストーリーだけど、その時代、実際にこのような話があったのだろうと信じられた。額の上に浮かぶ血管まで、すべてが現実的な描写だった」「なんといっても演技が素晴らしい。タイミングも音楽も映像も最優秀」と、映画の話に花を咲かせる。「今の世の中の自殺は自分勝手で逃避するためのものだけど、この映画で描かれている切腹は違う」「この作品がいまの時代、ウォール街で権威に対する反抗デモが起きている時代に製作されたことは興味深い」と、日系アメリカ人大学教授の女性。「大企業とサムライの世界には類異性がある。いくら抗議しても聞いてもらえない権威、そのフラストレーションが共通する」と、コメント。

白人の歯医者ヴィクター・センダックスさんは「素晴らしかった。武士道とは、そのメンタリティーとは何か。それが繊細に描かれた作品。三池監督は近代のフィーリングを表現しようとしているのか。家族のほうが武士道より大切だと訴えているようだ」と、思いを巡らせる。

はかま姿やサムライの姿の回りには笑え声が響いた。彼らと記念撮影したり質問する人たちは大喜びだ。剣術家たちは試写の感想を口々に語った。
「想像とは違ったが、考えさせられる映画だった。自分の人生にも、父親として家族の一員として通じるものがあった」「ドラマチックな良いストーリーで、ドキュメンタリーのようだ」「この作品はビジュアル・バイオレンスではなく、ビジュアル・アートだ」