本年度カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、世界の観客を魅了した三池崇史監督最新作『一命』が、10月15日(土)いよいよ日本で公開致します。

そしてこの度、時代劇としては初の3Dプレミア完成披露試写会を行いました。
また、舞台挨拶前にはレッドカーペット・セレモニーも行い、詰め掛けた多数のお客様の大声援の中、監督・キャストが登場。豪華絢爛なイベントとなりました。

【日時】9月26日(月)18:30〜レッドカーペット/19:00〜舞台挨拶
【場所】丸の内ピカデリー1
【登壇者】市川海老蔵、瑛太、満島ひかり、三池崇史監督
【MC】伊藤さとり

<ご挨拶>

●三池崇史監督:
やっと皆様に観ていただける日が来ました。
しかも3Dで試写を行うこともできて、とても嬉しく思います。
約1年前に撮影をしていましたが、「やっとここまで来たか!」という感じです。もう今日から映画は一人歩きをしていくと思うので、できるだけ遠くまで行ってほしいと思います。
皆さん楽しんでいって下さい。

●市川海老蔵さん:
この映画は、三池監督の下にスタッフ・キャストが1つになって作った作品です。こうして皆様に観ていただくことが出来て、大変ありがたく、そして嬉しく思います。

また、私事ではございますが、皆様には大変ご心配をおかけしまして申し訳ございませんでした。たくさんの皆様から、ご叱咤とご声援をいただきまして本当に感謝しております。

今後は新たな気持ちで精進、努力していく覚悟でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

●瑛太さん:
3Dの時代劇ということで、今から皆さんに観ていただくのですが、(既に3Dメガネをかけていた方を見つけて)まだ3Dにはなっておりません(会場笑)。ともかく是非今日は楽しんでいって下さい。

●満島ひかりさん:
私にとって、この三池組の『一命』の現場は本当に贅沢な現場でした。
このような作品で役をいただけたことを大変光栄に思っています。
皆さんに温かいものが伝わればいいなと思います。
今日は楽しんでいってください。

<トークセッション>

●MC:
この映画の企画のお話が来たとき、どのように感じられましたか?

●三池崇史監督:
無茶なことを考える人がいるなと率直に思いました。
今、映画の世界では時代劇をやる人がほとんどいなくなってしまったのですが、だから今回、日本の時代劇を僕らが継承していけるギリギリの機会だと思い、思い切ってやってみましました。
そうして、やってみたら、意外とちゃんとできたかなと思います(笑)。
結構すごいんです!

映画を観る前と、観た後では皆様の気持ちのあり方も少し違っていると思います。静かな映画ですが、じっくりと向きあって観ていただきたいと思います。

●MC:
三池組『一命』の撮影現場はいかがでしたか?

●市川海老蔵さん:
僕はあまり映画の現場を経験したことはありませんが、スタッフの方々が三池監督を本当に尊敬していて、そこに絶対の信頼があるのが印象的な現場でした。その現場に今回僕も参加できたことは、とてもありがたかったです。

●MC:
半四郎は復讐ではなく「申し上げたき義」を伝えるため、たった1人で伊井家に乗り込みますが、半四郎の行為は、仮に現代に置き換えると、どういったことになると思いますか?

●市川海老蔵さん:
ちゃんと地に足が着いた状態で、1人で国会議事堂に乗り込んで、一石を投じるくらいの勇気と覚悟がいる行動だと思います。

●MC:
愛する妻と子供のために、瑛太さんが演じた求女は行動に出ますが、かなり衝撃的なシーンを演じていらっしゃいますね。
演じるにあたって食事も制限して挑まれたと聞いていますが、あのシーンにはどのような思いで挑んだのでしょうか?

●瑛太さん:
あのシーンはもちろん、求女が出ているシーンすべてが大事だと思っていました。また、三池監督とも初めてのお仕事だったので、まず台本を読んで自分が感じたことを現場で監督に見ていただき、そこから役を作っていければと思いました。

●瑛太さんはカンヌ国際映画祭にも行かれましたが、海外の方の反応はいかがでしたか?

●瑛太さん:
現地で上映をした時に、あのシーンで席を立たれた方も何人かいらっしゃったくらいなのですが、日本でこれから公開され、皆様に観ていただく場合、その時は席を立たずに3Dメガネを外していただければ、衝撃はある程度抑えられるかもしれません。

●三池監督:
(ここで三池監督が)ちゃんと観て下さいよ(笑)。

●瑛太さん:
是非最後まで席を立たずに観ていただければと思います(笑)。

●MC:
今日はお着物を着こなしていらっしゃいますが、今回初めて時代劇に出演されて、苦労された点やこだわった点がありましたら教えて下さい。

●満島ひかりさん:

所作は本当に大変でした。一歩歩くだけでも、息を吸うだけでも、どんなふうに立ち振るまえばいいのか分からず難しかったです。
分からないことばかりだったのですが、監督に色々と演出していただき、どうにか演じました。

監督からは、撮影初日に「もう少しIQを上げて演じてくれ」と、言われたので、そこからは自分の中ではIQを高くして(笑)、品をもって演じるようにしました。

あと、裁縫をして生計を立てるような貧しい家庭の設定だったので、祖母のところにいって裁縫の練習をしたりもしました。

●MC:
満島さん、瑛太さん、海老蔵さん演じる<家族>は映画の中で、とても悲しい境遇に置かれますが、そこから何か希望を感じ取るとしたら、満島さんは何をお感じになられますか?

●満島さん:
今の時代よりも、発展したものや便利なものが少ない分、1つ1つのことを家族みんなでやっていることが多いので、今の時代よりも家族の絆は強かったんじゃないかと思います。

ですから、家族の繋がりが、唯一の光だったのではないかと思います。

●MC:
みなさんが、「今、命を懸けて、守りたいもの」は何ですか?

●三池監督:
今であれば、大阪で暮らしている年老いた父親と母親ですね。
僕の全ては、その2人が恋愛をして、一緒になったところから始まっているので。

あとは、本作は時代劇ということで、年配の方にも観てもらえると思うのですが、今まで3Dをなかなか観る機会のなかった年配の方々にも「3Dもいいもんだな」と思っていただけたり、それによって人生の楽しみがちょっとだけでも増えたりしたら、嬉しいですね。

●満島さん:
私は、自分の生まれながら持ってる本能みたいなものは命を懸けて守っていきたいですね。

●瑛太さん:
やっぱり家族ですね。
ですから、求女の役には全て共感できました。

それと、こうやって映画を作るということは、本当に沢山の人が携わっていて、みんなが真剣勝負で一生懸命作っています。
そうして愛のある映画ができたので……明日、新聞やニュースなどで、「いい映画ができた」という記事や報道がされることを心から祈っています(会場笑)。

●市川海老蔵さん:
ありきたりかもしれないですが、僕の場合は、家族と歌舞伎が非常に大事な、かけがえのない存在ですね。

<最後に一言>

●市川海老蔵さん:
この映画では、とても色々なことを感じていただけると思っています。ゆっくりと楽しんで観ていただけたら嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。

●瑛太さん:
冒頭から誤解を招くことを言ってしまいましたが(笑)、3Dメガネを外さずに、隅々まで奥行きなども感じていただき、皆さんの本能のまま観ていただけたらとても楽しめると思います。今日はありがとうございました。

●満島さん:
私はこの作品を通して、原作「異聞浪人記」に出会いましたが、原作も大好きになりました。

それから、三池監督は顔は少し怖いのですが(会場笑)、現場では母性が溢れていて、とても愛情を感じる現場でした。

初めて完成した映画を観たときも、「監督は、この映画を出産したんだな」と思い、とても感動しました。観終わった後もしばらく誰とも話をしたくないくらい、頭の先から指の先まで洗い流されたような、純粋な気持ちになれる作品でした。

皆さんもそれぞれの気持ちで温かく観ていただけたら嬉しいです。
今日はありがとうございました。

●三池監督:
この作品で3Dカメラを初めて手にしました。本来であれば不安になると思うんですが、スタッフ、キャストみんなで、無謀ともとれるその冒険を楽しみました。

我々は代表として今日ここに立ってますが、総勢200人を超えるスタッフ、キャストが、自分たちがここに生きているという誇りを込めて、時代劇というジャンルを絶やさないために作り上げました。

そして、技術は進んでも、撮っている中身というのは変わらず、新しいとか古いとか、そういうものは関係ないんだということが証明できたと思っています。

この作品は、ただ楽しむ映画とはまた少し違うかもしれないですが、皆さんの気持ちの中に残り続けると思いますので、覚悟して観て下さい。
今日はありがとうございました。