本日、上智大学総合人間学部看護学科とラジオNIKKEIがん患者向け番組(「がんからの出発」、「働くがん患者学校」)との共同企画で、「自分らしく死の準備をして生き抜く」ことをテーマにシンポジウムを行いました。

10月1日より公開のドキュメンタリー映画「エンディングノート」に描かれた「終末期のがん患者、及び、その家族の様子」を題材に、がん患者、及び、その家族、そして、将来医療の現場に携わろうと考えている学生が、映画『エンディングノート』の上映後に、監督の砂田麻美さんと大津秀一医師と質疑応答を行いました。

日時:9月9日(金)13:30〜16:30 会場:上智大学(四谷キャンパス)にて

シンポジウム後、看護師を目指す学生から「看護師はどうあるべきなのか?」という問いかけに、出演者それぞれの経験をもって答えるという大学ならではの熱気のこもった質疑応答となりました。

出演者コメント:

■進行:浅野美知恵氏(上智大学大学院総合人間額研究科看護学専攻、がん・緩和ケア看護学教授)
お父さんは、セルフケアが出来ている方で、お父さんのセルフケアを家族全員でサポートしていたと思います。
カメラを向けている監督に対する、お父さんの温かいまなざしに、娘への愛情を感じました。
そして、「死」とは、「どう生きるか」ということです。お父さんは最後まで「生」に向かっていた、と思います。

■砂田麻美氏(映画「エンディングノート」監督)
(ヒューマンケアについて)父は昔、大きな病気をしていたので、抗がん剤を強い量は使えませんでした。
父は抗がん剤を使うことに対して、毎日の生活がどうなっていくのかということに不安を感じていましたので、そこはよく病院の先生と相談していました。父は自分が70歳まで生きられたということで幸せでしたので、出来るだけ今までの生活を重視したいと考えていました。その頃、父はQOL(クオリティ・オブ・ライフ)という言葉を知って、よくその言葉を口にするようになったのですが、先生も、父親の身体の中の状況と、望むことというのをよく分かってくださって、一番相応しい治療を考えてくださっているようでした。それでも、初めて抗がん剤を使うときには、強い副作用があるのではないかと、家族も皆、とても緊張しましたが、苦しみが少なかったことは幸運だったと思っています。

■大津秀一氏(緩和医療医、東邦大学医療センター大森病院緩和ケアセンター副センター長
 (ベストセラー『死ぬときに後悔すること25』の著者)

緩和ケアというのは、医学的な痛みだけではありません。身体の痛みだけで捉えるのではないということがすごく大事で、心の痛みであったり、社会的な痛み、ご家族の問題、経済的な痛みであったり、そういったことにも配慮することがとても大切だと言われています。この映画を観て思ったのは、ご家族の方がすごく支えている、ということ。ご本人も希望がとてもはっきりしていましたし、緩和ケアというのは医者のケアだけではなくて、誰かがそばにいて話を聞くこともまた緩和ケアですので、ご家族の緩和ケアが非常にうまくいっていたケースではないかな、と思います。