8月6日からテアトル新宿、広島・八丁座にて先行公開し、8月13日から全国にて公開している、『一枚のハガキ』。
おかげさまで各劇場ともに連日満員の大ヒットを記録し、今週には興行収入が1億円を突破する事が確実となりました。
そしてこの度、本作が第84回米国アカデミー賞外国語映画賞部門の日本代表出品作に22作品の中から選出されました!

本日、この二つを記念して、新藤兼人監督が観客の皆さまに感謝の気持ちを込め、舞台挨拶を行いました。
また、主演の豊川悦司さん、大竹しのぶさんのお二人から素敵なお祝いのメッセージも届けられました。

明日で震災からちょうど半年となりますが、復興に向けて歩んでいる今の日本に向けて、「何があっても前を向いて生きる」と力強く仰った監督の言葉に、拍手喝采、涙を浮かべる観客の姿も。

◆映画『一枚のハガキ』祝・大ヒット!&米国アカデミー賞 日本代表選出記念舞台挨拶
●実施日時:9月10日(土) 
●場所:銀座テアトルシネマ 
●登壇者:新藤兼人監督

司会
では、本日お越し頂いたお客様に一言お願いいたします。

新藤監督(以下、新藤)
映画監督の新藤兼人です。本日はありがとうございます。
たくさんの方に来て頂いて、ちょっと興奮しています。
よろしくお願いします。

司会
8月6日の公開から既に9万人もの方が劇場に足を運んで本作をご覧頂きました。
そして今週には興行収入が1億円を突破する事が確実になりました。
大ヒットのご感想をお願い致します。

新藤
(新藤監督の独立プロダクションである、近代映画協会は)貧乏な、小さなプロダクションですから、今の入場者数を聞いて震え上がっています。
これで潰れそうになっている小さな独立プロダクションも多少は支えになるんじゃないかと思っています。
ですので、皆さんにはいくらお礼を言っても言いきれないほど感謝の想いでいっぱいです。

司会
そしてさらに嬉しいニュースが3日前に発表になりました。
アメリカのアカデミー賞外国語映画賞の日本代表作品に『一枚のハガキ』が選ばれました。そのことについてのご感想をお願いします。

新藤
ありがとうございます。これから上手く行けばいいですが、多分、上手くいくと思います。(笑)
何か調子に乗っちゃった感じがしますが、上手くいくんじゃないでしょうか。
だから皆さんも、是非応援して下さい。

司会
本作のラストシーンで描かれる、復興に向けて立ち上がる姿に、3月11日の大震災後の日本を重ね、想いを深くされている方がたくさんいらっしゃいます。明日、震災から丸半年となりますが、今の日本に向けたメッセージをお願い致します。

新藤
私も一時、くじけてしまって、どうなる事かと思いましたが、今、このように立ち上がったんです。
ラストシーンをを観て下さればわかりますけど、再び立ち上がった。
私も兵隊に行きまして、死の戦線を彷徨って、どうなる事かと思って帰って来ましたけど、新しい大地の上に立ってみて、「引くわけにはいかない。立って生きなきゃならない。」
という気持ちひとつで立ち上がりました。
そうすると、助けてくれる人がたくさんいました。
それで今、こうして話しているわけです。
「負けない。俺はどんな事があっても負けない。」と、前を向いて歩く事だけを心がけていました。
一粒の麦を撒いて、それを見つめながら、前を向いて生きていれば、何か生きがいを勝ち取る気持ちが出てきました。
だから、私は、あまり頭は良くないですけど、前を向いていれば、前向きな仕事が展開する、という単純な生き方を持って、生きています。
「前を向いて生きよう。」
それが私の想いです。
金が無くても映画を作ろう。映画を作れば、それを支えてくれる人がいるに違いない。良い映画を作るというより、何も考えず、ただ前を向いているんだ、という事だけで、皆さんに応えられるような映画が出来る。
それだけでいいんだよ、と思います。
これからも他の事は何も考えず、ただ前を向いていこうと思います。

司会
今日、ここにはいらしていませんが、主演の豊川悦司さん、大竹しのぶさんからもメッセージを頂戴しましたので、代読させていただきます。

●豊川悦司さん メッセージ
本当にたくさんの方が、この映画を見てくださって、心より嬉しく思います。
本当にありがとうございます。
そして、アカデミー賞の日本映画代表に選ばれたこと、とてもうれしく思っています。
僕にとっても、一枚のハガキは特別な作品です。
今日ご覧になったみなさんが、またどなたかに、この映画を語っていただけることを、切に願っています。
監督、
この映画に呼んでいただいて、本当にありがとうございました。
次回作もぜひ、豊川悦司をお忘れなく。
お待ちしています。

●大竹しのぶさん メッセージ
『一枚のハガキ』が大勢の方に観て頂いてる事を知り、大変嬉しく思っています。
監督が映画を通して叫び続けてきた事、そして最後に言っておかなければならない事が、今、日本中の人たちの心に広がっているのですね。
又、今回アカデミー賞外国語映画賞の日本代表に選ばれた事をお聞きしました。
監督の言葉が、 監督の思いが、 世界中の人たちに届くことができるのも夢じゃありません。
監督、本当におめでとうございます。
そして観て下さった皆様、本当にありがとうございました。

司会
お時間になりましたので、最後に、監督から一言御願い致します。

新藤
私は今まで、たびたび絶望してきました。
金が無い。金が無いぐらい酷い絶望はありませんね。
ですが、私は金が無いからと言って、泣かないことにします。
石のつぶてが飛んできて、額にぶつかってきても、前を向いて絶対に泣かない。
泣くのは家に帰って、布団にもぐりこんで泣くことにするんです。
人の前では泣かない。泣くと気が緩んで勇気が出なくなるんです。
だから、何が来ても泣かない。

私に石をぶつけてみてください。泣きません。(会場より笑いが起こる)
この映画館の入口に石を数個備えて、
「(新藤が)出てきたぞ。投げよう。」と言って投げても私は泣きませんよ。

(ご挨拶終了時間を促され)
「もう、(ご挨拶の時間が)終わりだそうです。どうか、石を投げないで下さい。」
(会場、大爆笑に包まれる)