この度、溝口健二、小津安二郎、黒澤明ほか数々の日本映画界の巨匠たちの監督作品に数多く出演、その輝かしい業績と、貴重な資料の贈呈によるフィルム保存に貢献されたとして、香川京子さんが日本人初のFIAF(国際フィルム・アーカイブ連盟)賞の受賞を記念して、FCCJ(日本外国特派員協会)主催による記者会見を開催致しました。

■日時:9月6日(火) 16:30〜17:30
■場所:(社)日本外国特派員協会 (千代田区有楽町1丁目7番地1 有楽町電気ビル北館20階)
■登壇者: 香川京子
東京国立近代美術館フィルムセンター 主幹 岡島尚志
東映国際映画祭 事務局長 都島信成(敬省略)

岡島主幹:FIAF賞は、80カ国150団体からなるフィルム・アーカイブ連盟が2001年より映画保存に貢献した人たちへ贈呈することを賞であり、
これまでも数々のすばらしい方々に贈呈した。今回は2010年アメリカにて、香川京子さんに贈呈することが決定しました。これは、日本人とし
てだけでなくアジアの映画俳優としての初めての受賞となります。香川さんは、これまでフィルムセンターに数々の貴重な資料を寄贈、映画
保存の為に発言、キャンペーンなどにも快く協力して下さった。そういった貢献が、主な受賞理由だと考えている。香川さんからお預け頂いた
のは大体10年前くらいからで、代表作の写真やスナップ写真など300点ほど贈呈して頂きました。

都島事務局長:この場を借りて今年の東京国際映画祭の特徴を話させていただくと、TIFF ARIGATOプロジェクトと名付け、被災者の方への
支援、募金活動に力を入れる。今回、「香川京子さんと巨匠たち」という素晴らしい特集を組むことが出来て大変光栄に思う。

香川京子:FIAFの事をあまり存じ上げておらず、フォルム・アーカイブという素晴らしいお仕事をされていた方々がいることを知りました。
私個人と致しましては、スチールやスナップ写真、資料などを自分では保存しきれなかったので、フィルムセンターにお預けしただけだったん
です。今回の受賞は、勿論大変光栄なのですが、これまで受賞されてきた方々のお名前をお伺いして大変ビックリ致しました。私なんて足元
にも及ばないくらい大御所の方たちばかりで。是非この受賞に恥じることのないような活動を今後もしてきたいと思います。4年前、東京国際
映画祭の審査委員をさせていただいた際に、国内外の色々な方々から、「東京物語」観ましたなど、私が出演した映画を気にいって下さった
と沢山声をかけていただきました。古い作品が立派に保存されてきたことは素晴らしいことだなと改めて思いました。

Q&A

Q:50年以上にわたり、女優として活躍され、数々の名監督や俳優とお仕事をされてきたと思いますが、どなたが思い出に残っていますか?
A:女優でしたら、田中絹代さんですかね。「おかあさん」という作品でご一緒させていただいた大先輩なのですが、その役になりきる様や声を
掛けることも出来ない様な鬼気迫る演技は勿論、その生き方には色々と学ばせていただきました。また、私にとって一つ作品を選ぶとしたら
溝口監督の「近松物語」なんです。溝口監督は、全く演技指導をしてくださらず、出来るまで何回もやらせるんですね。逆に小津監督は、
すべてを決められて撮影をされる様な監督でした。溝口監督と黒沢監督は似ているんですよね。女性があまり出てこないので、逆に存在が
難しい。溝口監督から教わった“リアクション”を黒沢監督作品に出演している際にも大変役に立ったので、やはり私にとっては溝口監督が
すべてを教えて下さった方だと思っています。

Q:今の若い俳優や映画人に向けてなにかメッセージはありますか?
A:私なんかが言うのはおこがましいのですが、日本映画に限らず昔の素晴らしい作品を観てほしい、それが一番だと思います。また、若い人
には色々なことに興味を持ってほしいですね。その時には無駄だと思う事も、後から考えると素晴らしい経験になることが多いですよね。
無駄な事なんてないんです。私もキャリアが60年以上になりましたが、その様々な経験が豊かにしてくれたと思っております。

Q:昔の映画にあって、今の映画にないものはなんですか?
A:撮影所が無くなったのが一番の違いじゃないでしょうか?昔は大きな会社がバックにありましたが、今はほとんどが独立プロダクションが
つくっている。昔は監督と言えば偉すぎて声をかけることも出来なかったのに、今では監督と女優さんがまるで友達の様に接していて・・・。
私たちでは考えられない事ですよね。自由があっていいことだとは思いますが。

=======================================
第24回東京国際映画祭(10月22日(土)〜10月30日(日))
特集「香川京子と巨匠たち」国立近代美術館フィルムセンター共催
会場:TOHOシネマズ六本木ヒルズほか
=======================================