第35回モントリオール世界映画祭にて、出品作品の中で最もインパクトを与え、革新的で質の高い作品として、イノベーションアワードを受賞した映画「アントキノイノチ」(11月19日公開)。

これを記念し、授賞式に出席した瀬々敬久監督の帰国に合わせ、本日8月30日(火)、瀬々敬久監督、そして主演の岡田将生さん、榮倉奈々さんによる、受賞報告会見を急遽行いました。

【日時】:8月30日(火)19:30〜
【場所】:松竹株式会社本社 10F大会議室
【出席者】:瀬々敬久監督、岡田将生、榮倉奈々

<一言ご挨拶>

●瀬々敬久監督
今日はお忙しい中ありがとうございます。
昨日この賞を受賞してトロフィーをもらってきましたが、実はイノベーションアワードというのが、どういう賞なのかもよく分からずに壇上に出ていきました(笑)。
それで、トロフィーを貰って、先ほど日本に帰ってきたのですが、日本の方々からたくさんメールをいただいていて、喜びが湧き上がりました。
上映にも立ち会いましたが、海外のお客さんの反応がとてもよく分かり、泣きながら良かったと言ってくれた方々もいて、とても印象的だした。中にはご自分の身内を亡くされて、ご自身でその方の部屋を片付けた経験がある方もいて、死をきっかけに生に向かっていく主人公の姿に感動したということでした。
3月に日本でも大きな地震があり、生死というものを身近なものに感じることが多くなったと思いますが、まさに今、そういった生死の渦中で自分たちが生きている、生活してるということを意識して作りました。
そういう部分が海外の方々にもダイレクトに自分の身の回りの事として伝わって、まさに映画を観て下さっていた方々の目線で、評価をしてくれたのではないかと思っています。

●岡田将生さん:
今日はありがとうございます。
今回、イノベーションアワードをいただいたということを、朝ごはんを食べている最中にマネージャーから電話をもらって知りました(笑)。
その時はすぐには理解できなかったのですが、原田泰造さんから「やったな!」というメールが届いて、それで初めて実感が沸きました。
日本の方々にも早く観てほしいと思います。

●榮倉奈々さん:
今日はありがとうございます。
現場のみんなも本当に仲が良く、気持ちの良い空気の中で作った作品だったので、作品全体に対して与えられるイノベーションアワードという賞をいただけたことを凄く嬉しく思います。
モントリオールでは、瀬々監督はもちろん有名なのですが、世界の方々に、私や岡田くんに対する先入観が全くない状態で映画を観ていただけたこと。そして言葉は違いますが、間近で感想を聞かせてもらえたことも嬉しかったです。
日本でも色々な世代に観てほしい映画ですし、革新的な映画に贈られるイノベーションアワードということなので、特に若い方々に是非観てほしいです。

<質疑応答>

●Q:
岡田さんと榮倉さんは、初めてトロフィーを見た時いかがでしたか?

●岡田将生さん;
すごく重たくて、「輝きがすごいな」と思いました。
重みがありました。

●榮倉奈々さん:
トロフィーを見てようやく実感が沸きました。
すごく重たくて、重みを感じました。

●瀬々敬久監督:
モントリオールは、どの賞に対しても同じトロフィーが授与されるのですが、だからこそ、どの作品が上とかではなく、それぞれの作品、一つ一つを尊敬してくれているようでいいですよね。
また、出品されていた映画も、色々な国の色々な問題を描いている誠実なドラマが多かったのですが、そんな中で、今回日本映画が2作品も選ばれたのはとても嬉しいですね。

●Q:
イノベーションアワードは、革新的な映画に贈られる賞ですが、岡田さんと榮倉さんは、この映画に出演してみて、どういった部分が革新的だと思われましたか?また、これを機に外国でも仕事をしたいですか?

●岡田将生さん:
僕の演じた杏平という役は、現在のシーンと、過去のシーンがあり、現在と過去をリンクさせているような部分や、過去を斬新に描いている部分があるので、そういう部分が革新的なのかなと思いました。
また、外国でのお仕事については、これから年を重ねていく中で、海外の作品にも出演できたらいいなと思います。

●榮倉奈々さん:
色々なものの融合があって、そう言ってもらえているのかなと思っています。それはきっと監督の中にあるものや、私たち若い世代の持っているもの、そういった今を生きている人たちの感覚が重なったことにより、今回イノベーションアワードを受賞できたのかなと思います。
それと、外国でのお仕事というよりは、海外の映画祭には、また何度でも行けたらいいなと思いました。

●Q:
間近で世界の人たちの反応を見られたということをおっしゃっていましたが、印象に残っている感想があったら教えて下さい。

●岡田将生さん:
僕自身は、あまり話は出来なかったのですが、それでも「すごく良かった」と言って下さる方が多かったです。
また、僕の演じた永島杏平が、どんな環境で、どんな気持ちで育ったのか質問を受けたので、その方とは5分くらい話をさせていただいたのですが、まったく伝わらなかったようだったので、そうして様々な意見を聞けたのは面白かったです。

●榮倉奈々さん:
私が演じたゆきちゃんという女の子は、一般的にはなかなか共感してもらえないような過去を持っているのですが、そのゆきちゃんと杏平の姿を観て、心を動かされたと言ってくれたお客さんもいらっしゃったのが、嬉しかったです。
また、ロジックさんというモントリオール世界映画祭の代表を務めている方と、泊まっているホテルのエレベーターの中でたまたまお会いしたときに、私の顔を見てニヤッと笑って、「ゲンキデスカーー!」って言ってくださったんです。
だから、実際に映画を観て下さったのを実感できたので、それは凄く嬉しかったです。

●Q:
監督にお聞きします。海外の評価と日本の評価では違う部分もあるかと思いますが、何か面白い評価はありましたか?

●瀬々敬久監督:
アメリカのニュージャージーから来たという2組のカップルと、映画を観た後に話す機会があったのですが、「『アントキノイノチ』のような作品は、アメリカでも伝わると思いますか?と聞いたら、「十分に伝わる」と言ってくれました。
日本のことを描いた作品ですが、本作で描かれたイジメの問題などはアメリカでもあるそうですし、亡くなった身近な人の遺品のことなども世界で共通している問題で、「海外の方々にも伝わるんだな」というのが印象的でした。

●Q:
岡田さんと榮倉さんにお聞きします。
今回、モントリオール世界映画祭に参加しての感想を教えてください。
また、現地で観光もされたようですが、何か思い出に残っていることはありますか?

●岡田将生さん:
自分が出た映画を一般の方々と一緒に観るという経験はなかったので、「ここはすごく笑うんだな」とか「悲しむんだな」というようなことが、ダイレクトに伝わってきて、良い経験になりました。
それと観光は、ノートルダム大聖堂に行ったのですが、息が止まるほどきれいでした。

●榮倉奈々さん:
一般のお客さんと自分の出演している映画を観るのがとても新鮮で、自分は大真面目に観ていても、お客さんからしたら結構笑えるところもあったようで、そこで「ここはジョークになるんだ」などと、新しい発見がありました。
それから観光して印象に残っているのは、ノートルダム大聖堂ももちろん綺麗でしたが、石畳の町並みを歩けたのはとても気持ちよかったです。

●Q:
今回、お2人は複雑な背景を持った役を演じられてますが、この作品は、ご自身の中でどのような位置づけになりましたか?
また、何が得られましたか?

●岡田将生さん:
撮影の時から自分が演じた役は結構共感ができ、杏平の心の叫びも理解ができました。
この役は、自分でもすごく大切な役になりました。
今後は自分と重なる部分がある役はもちろん、重ならない役にも挑戦し、さらに成長していきたいと思います。

●榮倉奈々さん:
第一に瀬々監督をはじめ、キャストやスタッフの方々との出会えたことがとても大きかったです。そして、こうして長い時間を一緒に過ごせるのもこの賞のおかげだと思ってます。

また、私はこの映画に出演している側なのですが、杏平の言葉などが自分自身の中でもヒントになったこともありました。
人それぞれ答えは違うかもしれないですが、私たちと同世代の方々からも共感していただけたら嬉しく思います。

<最後に一言>

●瀬々敬久監督:
こうやって賞をいただいて、周りの人達が喜んでくれるのがとても嬉しいです。こうして皆さんが嬉しい顔をしてるのが、僕も嬉しいですし、いいなと思います。
この映画のテーマでもありますが、そういう風に、日本の人たちにどんどん繋がってくのが、第一のスタートだと思っています。

また、イノベーションアワードは、革新的で新しい作品に与えられるということですので、是非若い方々にも観てほしいと思います。

この映画は生と死という普遍的なテーマを、
若い2人の目線で描いた作品です。

僕はあと何年生きられるか分からないですし、働けるのはあと10年くらいかもしれないですが(笑)、未来を背負うような、そんな若い方々に見て欲しいと強く思っています!