ミステリアスな複数の失踪事件を軸に、人間の根底でうごめく深い哀しみを強烈なビジョンと巧みなプロットで描いたサスペンス・スリラー、映画「七つまでは神のうち」。“テン年代の大型新人”として期待を集める日南響子(きょおこ)を主演に迎え、ホラー映画界の中で突出した才能を誇り、脚本家・スクリプトドクターとしても幅広い作品を手掛ける俊英・三宅隆太監督が手掛けた神秘的な映像美とストーリーテリングの魅力にあふれた究極の一本ともいえる本作が、いよいよ8月20日(土)公開を迎える。

その公開を記念して、8月15日(月)阿佐ヶ谷Loft(杉並区阿佐ヶ谷南1-36-B1)にて公開直前イベントが行われた。“映画『七つまでは神のうち』presents 〜絶望の そのさき ちょっと見せちゃいます〜”と題されたこのイベントは、本作の監督である三宅隆太氏にシンパシーを感じる稀代のクリエーターたちによるトークイベント。ゲストは三宅監督とともに『怪談新耳袋』を手掛けた盟友篠崎誠監督、『富江アンリミテッド』の脚本を手掛けた継田淳氏。さらに、ヴェネチア映画祭に3年連続で参加し、新作の『ラビット・ホラー3D』の期待も高まる清水崇監督も登場するとあって、Jホラー界をけん引するトップクリエーター4名からどんな発言が飛び出すのか、期待に胸躍らせたホラーファン、ゲストファン達が多数詰めかけ、会場は超満員となった。

「映画の作り手として語りたいことはたくさんあるが、いざイベントとなると宣伝色が強くなってしまう。飲みながら話している時の方がよい話が出来ている気がして・・・。いつも居酒屋で話しているリアルトークを人前でやってしまうか!」という三宅監督の発案から実現した今回のイベント。「乾杯!」の掛け声で始まった会は、No台本、No打ち合わせで行われ、皆でお酒を飲みながら、タバコを吸いながら、焼きそばを食べながら(!?)、ゆる〜い雰囲気でのガチでディープなトークライブとなった。

約2時間にわたって繰り広げられたトークでは、
三宅監督「映画を観終わって、思ってたのとちょっと違ったと思った時に、しっくりこないな、何でだろう?と持ち帰って考えてみることまで含めて映画体験だと思うが、今は“ちょっと違った=失敗した”と捉えられることが多い気がして残念。映画はもっと豊かなものだったはず。」
継田氏:「作ってる人がどういう人か、顔が見えないということが映画を膨らませている気がするが、今はネットで検索すると全部出て来てしまうので、その膨らみがなくなってしまった。」
篠崎監督:「映画は引き裂かれた体験をすべきもの。それは道徳感や感情、自分が大事にしている価値観であったり。善悪のモノサシだけでは世の中を見れないわけで、映画を観ながら揺れてもいいんじゃないかな。」
など、長年映画制作に関わってきたからこそ感じることの出来た映画に対する思いを熱く語った。
また、映画『七つまでは神のうち』のイベントにも関わらず、清水監督自ら趣味で制作した『ラビット・ホラー3D』のフェイク予告編の限定上映もあり、ここで詳しく明かすことは出来ないが、もはや同じ映画とは思えないその奇抜な予告編に会場は一番の笑いに包まれた。

当日は映画『サイタマノラッパー』で主演を務め、映画『七つまでは神のうち』にも出演している駒木根隆介さんもお客として来場。自らもホラーファンという駒木根さんは「常に挑戦し、攻めている姿勢がすごいと思った。色々な部分で4人に共通点が見られた気がした。いつも監督達はこんな話をしているのか、と普段見られない部分を垣間見れたことが一番よかった。」と、今回のイベントに大満足の様子だった。
「観客にどう思われるか、現代はその事ばかりを気にして作られる映画が多い気がする」と語る清水監督は、映画『七つまでは神のうち』で三宅監督が時代背景を反映することで新たな事に挑戦しようとしている姿勢を感じとったという。ホラー界の停滞(=“絶望”)を危険視し、それに果敢に挑戦することで“その先”を見出そうとする4名。Jホラー界をけん引するトップクリエーターたちの生のトークは、来場者に何らかのメッセージを残したに違いない。
2時間話し続けたにも関わらず、予定の4分の1も話せなかったと話す監督達に、今後のホラー界の盛り上がりを期待したい。