昨年アメリカで公開されると同時に、不動の1位だった『インセプション』を抜き去り、まさかの初登場1位を獲得した大ヒットコメディ『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』が8/20(土)より遂に日本でも公開となります。

公開を記念して8/11(木)ヒューマントラストシネマ渋谷にてトークイベント付き試写会を行いました。
今年で4回目を迎える「したまちコメディ映画祭in台東」総合プロデューサーである、いとうせいこう氏を迎え、『ハングオーバー!』『キック・アス』に続く“本当に面白いハリウッドコメディ”について熱く語って頂きました。

■いとうせいこう氏トークイベントレポート
<8/11(木)ヒューマントラストシネマ渋谷>
コメディ映画祭をやっていると、「いい映画」がなかなか浸透しないということを実感します。という訳で、今夜は『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』を応援にきました!

『アザー・ガイズ?』を観て、コメディにこんなに予算を集めて、スタッフも集まって、そして観客も集まるアメリカはすごいと思いました。コメディ映画に人が集まるのは、心に余裕があるから。日本は映画の料金が高いということもあって、「お金を出す以上は真剣に観なければならない」という気持ちになる。1粒の涙が100円、15回泣いたから元がとれた、みたいな。コメディは「1笑い=100円」には残念ながらならない。なぜなら、コメディはワーっと笑ったら忘れてしまう。悲しい映画はなかなか忘れる訳にいかないでしょう?
映画が500円、1コインで観られるようになれば、気楽になんでも観られる。ポップコーンとビールと映画で1000円の世の中になれば、ウィークエンドに映画を観る文化が根付くと思うんです。

それから、こんなことを言っていいのかな…とも思いますが、上映前のマナーCMもコメディ映画を気楽に観られなくしているのかな、と。僕だって携帯電話が鳴ったり、イスを蹴られたりするのはイヤですよ! でも上映前に深刻に「おしゃべりはダメ。うるさくしてはダメ」と言われると、つい「これからお葬式が始まるのか!?」という気分になってしまう。「絶対に他人に迷惑をかけないように笑い声を出してはいけない!」という気持ちでコメディは楽しめないですよ。おかしくて思わず手をたたいたら、怒られちゃいますよ! だから、これからのコメディ映画は、屋台が出るくらいの勢いがあっていいと思うんです。おでんの匂いがすごいな、とか、ソーセージを焼く音がジュージューしてるとか。ご飯を食べながら、みんなで笑う余裕を提案したいと思います!

(第4回したまちコメディ映画祭in台東でのお勧めは)『アザー・ガイズ?』との繋がりで、『PAUL(原題)』です。第三種接近遭遇モノという意味では『SUPER8』と一緒ですが、このエイリアンはとにかくひどい毒舌家(笑)。でも最後は自己犠牲や友情っていいな、と思える。ハチャメチャなのに、「信念とか友情っていいよね」とラストは善良。そういう意味では『ハングオーバー!』『キック・アス』、そして『アザー・ガイズ?』と一緒のタイプです。
『アザー・ガイズ?』も脇役たちの映画。地味な捜査しかやらせてもらえない人たちが、ラストでは「大主役」になる。王道ですよ。映画を観ている人のほとんどは脇役な人生に面白くない部分を抱えていると思うんです。でも「脇役、いけてるぜ!」という、ベタな部分も必要なんです。
『アザー・ガイズ?』はとにかく冒頭がすごい! スクリーンで観て良かった。DVDスルーにならなくて良かった、と思える映画です。そして、ラストのエンドクレジットにも、コメディとは思えない強いメッセージ性があるので最後までご覧ください。「ここで笑ったら迷惑かな…」などと思わず、自由な状態でお楽しみください!