世界4大映画祭の1つに数えられ、スイス南部のティチーノ州ロカルノで開催中のロカルノ国際映画祭で11日(日本時間同日深夜〜12日未明)、松本人志監督の「大日本人」と「しんぼる」の2作品が「Tribute to Hitoshi Matsumoto」として特集上映されました。
監督経験が3作という若さで特集を組まれるのは異例中の異例で、作品の独自性が評価されています。

10日午後(現地時間)、スイス南部のティチーノ州ロカルノで開催中の「ロカルノ国際映画祭」のため現地入りした松本人志監督、板尾創路、野見隆明、熊田聖亜が宿泊先のホテルで、取材陣のインタビューに以下のように答えました。

 −スイスの印象は?
 「平和。大声を出す人がいない。ホテルで窓を開けていたが、クラクションの音が聞こえない」

 −「マツモトシネマ」の特集が組まれるのは快挙だが?
 「どうなんでしょう。お客さんの反応がありますから。会場を見ていないので、まだピンと来ないのが正直なところです」

 −監督のオリジナリティーが評価されたことをどう思うか?
 「オリジナリティーしかないですから。僕はそういう映画が面白いと思う。リメークとか、何かの実写版とかにはそんなに魅力は感じないんで。オリジナリティーがもうちょっと日本でも再認識されるとうれしいですね」

 −「大日本人」が米国でリメークされるのはすごいことだと思うが?
 「どうなるんでしょうねえ。『大アメリカ人』になるのかどうか、まだ分からないところがあります」

 −ヨーロッパでリメークされて『大スイス人』なんて?
 「穏やかな人が出てきて。『まあ、まあ、まあ』みたいな。あるかもしれないですね。どうなるんでしょうかねえ。楽しみにはしています」

−板尾さんから見て松本監督はどんな存在?
 板尾「お笑いの世界でもそうですけど、常に先頭を走っていただいているんで、僕らは通りやすくて感謝しています。舗装されていますからね、僕らの道は。松本さんの道は結構舗装されていませんからね」
 松本「まあ、よく釘とか踏みましたね。何でこんなところに落ちてんねんなんて…」

 −「さや侍」をどのように見てもらいたいか?
 「『また来いよ』みたいに言ってもらえたら良いんじゃないですか」

−「また来いよ」って声を掛けてもらえるためにも次回作は?
 「まだ考えていませんし、『また来いよ』って声を掛けてもらっても、この距離はどうしようもないですね」

 −おおまかな構想は?
 「ふだんから考えますが、まだ形もなしていません」

 −過去3作とは別のジャンルか?
 「とにかく裏切りたいというのが常にあるんで、どうやったら裏切れるかなってことですね。意外とリメークするのが裏切りだとかね」

 −次回作も我々が裏切られるものか?
 「それだけは貫いていきたいですね。っていうか、その前に次回作撮るなんて言ってないですからね」

 −構想をちょっとだけでも教えてくれませんか?
 「今は何にもないですよ。映画会議を半年後か1年後ぐらいにやっているのかなあぐらいの感じですね。会議でどうしようみたいなところからやっていきます。

 −では新作着手は1年後ぐらい?
 「と思うんですけどねえ」

 −イベント目前の気持ちを
 「もう撮り終えたものですし、今回自分は出演していないので、気軽に楽しもうかなと思っています。あんまり重圧もないので、楽しんでいます」

▼11日昼すぎ(現地時間)、松本監督は滞在先のホテルで、外国メディアの個別インタビューに応じました。個別インタビューの取材媒体はスイス、フランス、ドイツ、イギリス、米国など15社。

▼11日16時、松本人志監督、板尾創路、吉本興業の大? 洋社長が屋内上映会場「La Sara」(960名収容)で、映画「大日本人」の上映前に、舞台あいさつを行いました。
 松本監督はスーツ姿で登壇し、ロカルノ国際映画祭のシンボルであるヒョウ柄の扇子を“カンペ”代わりに持ち、「ロカルノ、オッティモ(イタリア語で「最高」)」と力を込めてあいさつ。さらに「ロレックス、オッティモ。ウイリアムテル、オッティモ。アルプス、オッティモ。フェラーリ、オッティモ」と続け、観客を笑わせた。この後、「大日本人」と声を張って一呼吸置くと、会場から「オッティモ」の声がわき、松本監督も「オッティモ、オッティモ」と叫んだ。

最後はイタリア語で「ありがとう」を意味する「グラッチェ」で締めくくった。
 板尾が「チーズフォンデュ、オッティモ」と落ち着いた低いトーンであいさつし、会場が大爆笑したところで舞台あいさつが終了した。

▼さらに11日21時 松本監督、大崎社長が屋内上映会場「La Sara」で、映画「しんぼる」の上映前に、舞台あいさつを行いました。
 松本監督がマイクの前に立つと、会場に「オッティモ!」の叫び声がこだました。これには松本監督も苦笑し、思わず「先に言うな」と観客に突っ込みを入れた。
 松本監督はイタリア語で「こんばんは」を意味する「ボナセーラ」とあいさつ。夕方に行った「大日本人」の舞台あいさつと同様に「ロカルノ、オッティモ。DJボーボー、オッティモ。
マッターホルン、オッティモ。モンブラン、オッティモ。しんぼる、オッティモ、オッティモ。グラッチェ」と続けました。
 司会による質問で「ロカルノに来たのは初めてですか」と問われ、松本監督は「オッティモ。I like オッティモ」。さらに「ロカルノに来て、どのように過ごしましたか」との質問には「My name is オッティモ」と返し、会場は爆笑に包まれました。
 松本監督が降壇すると、駆け寄ってきた数人のファンからサインを求められ、笑顔で応じました。

▼11日22時 松本監督が映画「しんぼる」の舞台あいさつ後、取材陣のインタビューに応じ、舞台あいさつを終えた感想を聞かれた松本監督は「こっちの言葉でやったら予想以上にウケてしまって、困惑している自分に困惑しています」と反響の大きさに驚いた様子。12日に予定されている「さや侍」上映前の舞台あいさつは「2回目の『しんぼる』の時にばれていたので、考えなければいけないと思います」と話し、あらためて作戦を練る構えを見せました。
 ファンにサインを求められた際には「刺されるかと思った」と語りました。