本日7月27日（水）、山梨県立美術館にて、ティ・ジョイ配給・2012年初夏公開の新作映画『白磁の人』（仮題）の製作発表記者会見が行われた。本作は、山梨県に生まれ1914年に韓国に渡り、朝鮮時代の伝統美術・白磁を紹介する傍らで植民地時代の差別と闘った日本人、浅川巧と朝鮮人李青林（い・ちょんりむ）との友情を描く感動作だ。彼の生誕120周年にあたる本年、故郷である山梨県北杜（ほくと）市の有志を中心とする小説「白磁の人」映画製作委員会（設立2005年1月代表　長坂紘司）が日韓友好の架け橋とするべく本作の製作を決定した。メガホンを取るのは『禅 ZEN』『BOX　袴田事件　命とは』の社会派監督、高橋伴明。原作は時代小説作家江宮隆之著「白磁の人」。脚本には、『フィッシュストーリー』『ゴールデンスランバー』で注目を集める林民夫。巧の友人、李青林（い・ちょんりむ）役には大ヒット韓国ドラマ「朱蒙　チュモン」「トンイ」のペ・スビン。主演の浅川巧には、『逃亡くそたわけ−21才の夏』『孤高のメス』の実力派俳優・吉沢悠。間もなくのクランクインに向け、製作総指揮の長坂紘司、原作者江宮隆之、監督の高橋伴明、李青林（い・ちょんりむ）役のペ・スビン、主演の浅川巧役の吉沢悠が登壇した。まずは、製作総指揮の長坂が小説「白磁の人」映画製作委員会の設立からクランクインまでの長い道のりを振り返り「非常に嬉しく思っております。朝鮮に当時このような日本人がいたということに私自身とても深い感銘を受けました。来年の教科書にも載るなど、生誕120周年の今年、浅川巧を再評価する動きが日韓共に高まっております。ここまでこれたこと非常に感謝しております。」と感慨深げに語った。浅川巧の魅力を聞かれると、原作者の江宮は「韓国に建てられた浅川巧の石碑には「韓国の山を愛し、韓国人の心の中に生きた日本人、ここ韓国の土となる」と書いてあります。この言葉が彼の事を的確にあらわしていると思います。」と語った。ほぼ9割が韓国での撮影ということでその意気込みを聞かれた高橋監督は、「以前韓国で撮影したことがあるんですが、その時うまくコミュニケーションが取れなくて、今回リベンジのつもりでいい関係を築きたいと思います。私は男の友情者モノが大好きなんですが、本作でも吉沢くんと、ぺさんがこの作品を通して本当の友情を育んでくれれば、本物の作品になると思ってます。」と意気込みを語った。日本映画が初出演だというペは、「監督のリベンジということでプレッシャーはありますが、吉沢さんとは浅川さんの墓参りにもすでに一緒に行っていて、お墓でお祈りをしている吉沢さんを見て、ちょっと感動しました。これから韓国で友情を育もううと思ってます。」と述べ、クランクインを間近に控え、実在の人物を演じる心境を主演の吉沢が「原作を読んで純粋に感動しました。日本人が誇れるような実在の人物を演じることができて光栄に思うと同時にプレッシャーを感じています。ぺさんともすでに共通の趣味もみつけましたし、一緒に頑張ろうとおもいます。韓国の俳優さんを非常に尊敬してますので、お互いに刺激し合えればと思います。」と述べた。あまり知られていない人物だが、今の日本に大切な、人とのつながり、普遍的な人間愛といった大事なことを伝えてくれる作品になりそうだ。
映画『白磁の人』（仮題）は2012年初夏、新宿バルト9ほか全国ロードショー