御年99歳、日本最高齢の新藤兼人監督作品『一枚のハガキ』。
8月6日(土)からの公開に先立ち、昨日7月13日、有楽町朝日ホールにて新藤兼人監督、主演の豊川悦司さん、大竹しのぶさんによる一般招待客の皆さまへのご挨拶付きのプレミア試写会を実施致しました。

本試写会には天皇皇后両陛下がお見えになり、監督とキャストへご挨拶された後、天皇陛下お一方で映画をご鑑賞になりました。

◆『一枚のハガキ』プレミア試写会
●実施日時:7月13日(水) 18:30〜
●場所:有楽町朝日ホール 
●登壇者 :新藤兼人監督、豊川悦司、大竹しのぶ

上映前に、ホール内ロビーにて天皇皇后両陛下をお出迎えした新藤兼人監督と豊川悦司さん、大竹しのぶさん。
まず、新藤監督から「天皇陛下、皇后陛下、本日はありがとうございます。
私は、新藤兼人です。本日は、私の映画を観に来て下さりありがとうございます」と、感極まった様子で天皇皇后両陛下にご挨拶されました。

それに対して皇后陛下は、「ごめんなさいね、今日は最後までいることができず、せめてお祝いだけ申し上げたくて参りました。また、改めて観たいと思っています」とお答えくださいました。

そして1999年に日本映画名作鑑賞会にて新藤監督の『裸の島』(1960)を両陛下でご鑑賞になったこともあり、天皇陛下は「パンフレットの写真を見ますと、 『裸の島』を思い出すような二人の写真がありましたね。水桶を担いでいる」と前作をほうふつとさせるワンシーンについて新藤監督にお話されました。

その後、ホール内にて行われた新藤監督、豊川悦司さん、大竹しのぶさんによる客席からのご挨拶ののちに、ご臨席になられた天皇陛下は、「映画を撮るのは大変でしょう」と隣の新藤監督に語りかけられました。
「天皇陛下は、毎日毎日忙しくて大変ですね」と返した監督に、「映画を撮る方が大変でしょう」とさらに天皇陛下が返されると、監督がこれに答えている間に上映がスタート。

上映後、新藤監督が「天皇陛下、ありがとうございました!」と力強く感謝の意を述べると、天皇陛下は「最後に救いがあるのがいいですね」とおっしゃり、新藤監督は「新しい日本に生まれ変わりました!」と答え、握手をかわしました。
映画のワンシーンのように感動的な光景に、会場からは惜しみない拍手が起こり、ご退場後もしばらく鳴りやみませんでした。

新藤監督(以下、新藤)
映画監督の新藤兼人です。今晩はありがとうございます。
天皇陛下の特別鑑賞映画会でありますから、どうか皆さんもご一緒にお楽しみください。よろしくお願いします。

豊川悦司(以下、豊川)
本日はこのような特別な会を皆さんとご一緒出来て、大変嬉しく思っております。どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。

大竹しのぶ(以下、大竹)
今日は本当にありがとうございます。新藤監督を中心にスタッフみんなで一生懸命作った映画が、こんな形で皆さんにご覧頂くことになって本当に嬉しいです。どうぞ監督と、天皇陛下と、スタッフと、私たちと一緒にこの映画を愛して頂けたら大変嬉しく思います。

上映終了後の監督、キャスト二人のコメント

・『一枚のハガキ』を天皇陛下がご覧になって、映画について何と仰っていましたか?

新藤
「いかがでしたでしょうか」とお尋ねしたら、「ラストシーンで助かりましたね。救いがあるのがいいですね」と仰いました。そして僕は「新しい日本です」とお答えしました。

豊川
天皇陛下が隣でじーっと食い入るようにご覧になっているのがとても印象的でした。
最後に拍手をされているときもすごく満足されているような印象を受けました。

大竹
「ご苦労されましたか?」と天皇陛下に聞かれて、「苦労したけれど報われました」とお答えしました。監督が陛下に「新しい日本です」と仰っているのを聞いて、その言葉に涙しました。
最初はすごく緊張しましたが、次第に映画に入り込んでいって、最後には心から拍手を送って頂いて、本当にうれしかったです。

・皇后陛下がご挨拶にいらっしゃいましたが、その時はどんなお話をなさいましたか

豊川
僕の昔の作品をご覧頂いていたようで、そのお話をしました。
今日この映画を観られないことに対してすごく残念そうになさっていました。

大竹
「今日は映画を観られなくて申し訳ございません。後日、別の機会で必ず観ます。」と残念そうに仰っていました。
「でも、監督とお会いできてとても嬉しい」と仰っていました。
両陛下のお姿を見て、とても優しい感じがして、素敵なお二人だね、と豊川さんと話していました。