『ヴァイブレータ』『余命一ヶ月の花嫁』など恋愛映画の名手・廣木隆一監督が、芥川賞作家・中上健次による純愛小説を映画化した『軽蔑』が、6月4日(土)より公開になります。

主演は、今最も旬な俳優・高良健吾と、若手演技派・鈴木杏の若く才能溢れる二人が、体当たりで本格ラブストーリーに挑みました。
つきましては、日本プロフェッショナル大賞の第20回を記念し、本作の特別チャリティ試写会を行いました。日本プロフェッショナル大賞とは、映画ジャーナリスト・大高宏雄氏が個人で主催している映画賞で、世界唯一の個人主催映画賞。会場内にて東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)への義援金を募り、映画を心から愛する熱きファンから、東日本にエールを送りました!上映後には、高良健吾さん、鈴木杏さん、廣木隆一監督が登壇し、熱き映画ファンを前に、熱く、深く、濃密な議論を交わしました。

【日時】5月31日(火) 21:40〜22:10 
【場所】角川シネマ新宿 1 (新宿区新宿3-13-3新宿文化ビル4階)
【登壇者】高良健吾(23)、鈴木杏(24)、廣木隆一監督、大高宏雄氏(司会・映画ジャーナリスト)

《通称・日プロ大賞》とは・・・優れた作品・スタッフ・出演者らにスポットを当てようと意図された、映画ファンのための特別イベントです(財団やNPOでもない一個人が主催する世界唯一の映画賞です)。現役プロデューサー、脚本家、評論家、配給・宣伝・興行関係者たちがベスト10を選出。今回は、国内主要映画賞で既に受賞している作品以外の全作品が対象となっています。

【登壇者のコメント】
監督より一言
廣木:チャリティということもあり、また夜遅くにも関わらず、観に来ていただいて感動です。

今回、新人奨励賞(『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』)に選ばれた高良さんより一言
高良:「軽蔑」は特別な思いのある作品なので、スクリーンで観てもらってうれしいです。ありがとうございます。自分の芝居のことはよくわからないけど、精一杯やってきたつもりです。自分以外の方に評価していただき、励みになります。

鈴木杏さんより一言
鈴木:観に来ていただき、ありがとうございます。カズさんと真知ちゃんから何か感じてもらって、それを持ち帰って育ててもらえたらいいなと思います。ぜひ何度も足を運んで観てください。

【ティーチイン】
MC:『軽蔑』を映画化した経緯は?
監督:自分がまだ助監督の頃に中上さんの小説が出てきて、その時代の気持ちを代弁しているなと思ったし、みんなの憧れでした。いつか映画化したいという気持ちがずっとありました。

MC:廣木監督とは「M」でも(主演として)ご一緒されていますが、どういう演出をされていましたか?
高良:監督はモニターを見ないんです。カメラの横にいて自分の目で役者を観る。だから嘘がつけない。「お前の中から何が出てくるの? 余計なことばかりするな。」と言われました。難しいけど、「その場にいることが大事。」と言われました。

MC:「平気じゃねえよ」と言い放つシーンと、ラストに登場する駅での別れのシーンの長回しでは、どのように感情表現をしようと考えたのでしょうか。
高良:あれは実はクランクアップの日に撮ったシーンなんです。あの日の監督はめっちゃ厳しかった。「じゃあ、どうぞ!」という感じ。この中なら何してもいい。という演出の方法でした。
鈴木:全然ダメ!ふざけんな!とも言われました(笑)控室に戻されたことも…。どうすればいいのかわからない状況でやっていました。でもその結果、思いもよらない良い出来になったシーンもありましたね。
監督:つなぎの場面では、わかりやすい感情の流れでやってしまってはカズと真知子のシーンにならないと思ったんです。
高良:その瞬間の感情を出していく、という感じですよね。

MC:鈴木さん、今回の役を引き受けることを決めた一番の理由は何ですか?
鈴木:最初に原作を読みました。真知子という役に惚れました。むき出しで生きられる強さ、取り繕わない姿…それって強くないとできないと思うんです。強さも弱さもあってもひたむきに生きる姿がいい。

MC:カズはそういうとこに惚れたのでしょうか?
高良:理屈じゃないところですかね。どこに惹かれたとかいうのではなく、「真知子に惚れた」という感じです。

MC:ラストの駅での別れのシーン(駅のホームからタクシーに乗るという長回しのシーン)が印象的ですが、このシーンではどのような苦労がありましたか。
高良:あれは一発目のシーンです。リハもほぼしていない状況で、芝居に必死であまり覚えていない(笑)ただ僕が泣いている隣に監督がいました。
監督:自分も反対側からタクシーに一緒に乗り込んで撮影しました。

MC:劇中、「五分と五分」という台詞が出てきますが、男女の間で「五分五分」はありうるのでしょうか?
鈴木:常に五分と五分は難しい。真知子のいう五分と五分は、そうやってずっと思っていないと・・・と自分に言い聞かせていると思います
MC:そういう真知子をどう思いますか?
高良:二人で五分と五分でいようって言い合っていて、それでつながっているのが素敵だし、すごく好きです。

【最後の挨拶】
監督:今夜のように映画を見て頂く環境、お客さんと一緒に話ができる環境。自分の出身地で、東日本大震災の被災地でもある福島にも、早くこういう環境が戻ること祈っています。