累計5 0 万部を突破している三浦しをんの直木賞受賞作の映画化作品『まほろ駅前多田便利軒』が公開し盛り上がりを見せている中、5 月1 4 日(土)ユーロスペースにて大森監督・松田龍平さんのトークショーが行われました。

満席のお客さまの中、二人が登壇。松田龍平さんの「一緒に盛り上がっていきましょう!」の一言から温かな雰囲気でスタートしました。
この日の会場は、なんと1/3のお客さまが本作を2回以上鑑賞されていたということもあり、トークショー後半では、お二人の提案で急遽お客さまとのティーチインを実施。
予期せぬ鋭い質問の連発に、たじたじしながらも真摯に回答。作品への熱い思いが伝わってくるトークショーとなりました。

◇作品の思いれ話として、初めて原作・脚本に出会った感想を聞かれると

【監督】
原作を読んだ時に、キャラクターがしっかりしていたので面白くなることは確信しました。
過去2作品のような暴力な性描写が封印されていて、冷静に新しいことにチャレンジしていかなければなと思いました。

【松田さん】
脚本を最初の方から読ませてもらい監督が「一緒に作っていこう」といってくれたんです。
はじめに多田と行天(ぎょうてん)どっちがやりたいの?とプロデューサーに聞かれ、瑛太とも話した結果、どちらでも良いと委ねましたね。

【監督】
自分は、多田を瑛太に背負わせたいと思ったんだよね。これからの日本映画の俳優を背負っていって欲しいという思いも込めてね。

【松田さん】
俺には背負えないのか〜(苦笑)
場内を笑いに誘いました。

◇現場での秘話を聞かれると

【松田さん】
僕はとてもやりやすかったです。しいて言うなら、監督からもっと色々言ってほしいと思っていたんですが、あまりなくて・・・。監督は言うのが怖いって言っていたけれど、言ってくれれば、もっと良くなったんじゃないかな。

と緩やかな口調で、監督にズバッと指摘。場内には笑いが起き、慌てて監督が反論!

【監督】
具体的なしぐさに関しては言わないけれど、そのキャラクターの思いや考えが出るものへの選択は聞くよ。
聞いてたよ!個人的に行天は、何かするでもなく多田に気を遣いながらたたずんでいる姿が好きなんだよね。

◇場内が温まったところで、一般の方々からの質問タイムがはじまり

【質問】今までの作品は家族の絆が壊れている印象ですが、本作は逆でしっかりと絆が描かれると思いますが、
脚本などで意識した点はありますか?

【監督】
犬や子供(由良)や多田・行天たちを含めて、家族へ集約されていくんだと敏感に感じてました。その視点で描くのが僕であり、どこか興味があるんですよ。自分の家族が崩壊してましたからね(笑)

【質問】撮影でびっくりしたことや、印象的だったことは?

【松田さん】
現場で思わず、笑いのツボに入ってしまったことがあって、そこから抜け出せないことはありまし
た。特に、松尾スズキさんにタバコを突きつけるシーンで、松尾さんが誰にでも聞こえないくらいの声で「ヒィー、ヒィー」って言っていて…。(笑いが止まらず)監督の顔色をうかがいながらやってました。(笑)

【監督】
俺には聞こえてなかったらから、龍平がなんで笑っているのか不思議だった(笑)

◇最後に2人からのメッセージでトークショーは終了。

【監督】
見てくれてありがとうございます!相手の顔を見て、作品の良さを伝えてくれるのが一番の宣伝だと思っています。映画は見てもらわないと完成ではないんですよね。是非よろしくお願いします!

【松田さん】
ありがとうございました。今日は、新井くん(『ゲルマニウムの夜』主演、俳優・新井浩文)が見に来てくれてました。撮影があるにも関わらず、来てくれて優しいヤツなんです。