多くの方に楽しんでいただけるよう、映画館・丸の内TOEI(東京・銀座)より、声の出演キャストによる舞台挨拶の模様を全国14劇場に中継いたしました。14劇場には、東北地方三陸沖地震によって被災した宮城、福島の劇場も含まれての試写会開催です。

未だ全国的に娯楽に対する自粛傾向が続いておりますが、被災地のみならず、余震や様々な不安要素が取り巻く地域では、映画を待っている人がたくさんいらっしゃいます。そして、届けられるべき映画がたくさんあります。映画を通して出来る新しい支援の形のひとつとして、皆が楽しめるエンタテインメントを提供する場を広げる足がかりとなりますよう、今回のイベントを実施するに至りました。

没後20年経てもなお、世界中から愛され続ける日本の至宝——手塚治虫。
長編作品としてはキャリアで最長となる10年もの歳月を連載に費やし、まさに人生を賭けて挑んだ「ブッダ」。

■イベント詳細

【日程】5月11日(水)

【場所】丸の内TOEI(1)
<東京都中央区銀座3-2-17>

【登壇者】
吉永小百合、堺 雅人、観世清和(能楽観世流二十六世家元)、吉岡秀隆、
黒谷友香、観世三郎太、藤原道山(尺八演奏)、森下孝三監督
<以上8名>

【舞台挨拶】

●吉永小百合(66)
今日は悪天候の中ありがとうございました。手塚さんの作品は昔から大好きで、今回関われたことをとても嬉しく思います。

素敵な(役の上での)息子、堺さんとワクワクしながら演じさせていただきました。今日は最後までゆっくりご覧下さい。

●堺雅人(37)
今回お話をいただいた時、こんな壮大なスケールの作品に自分が出演して大丈夫なのかと思うと同時に、光栄だという気持ちで参加しました。

今日もこんなに豪華な方々と並ぶことができて、誇らしく思います。
今日は全国の皆さんにも同時にご覧いただいてますが、特に福島や名取の皆さんにご挨拶できることを本当に嬉しく思います。この映画は、色々なことがこれから始まる第一歩になると思っています。

●観世清和(52)
私は、能以外のジャンルに出演するのは初めてでした。
アフレコの時は、普段は自分が稽古をつけている立場ですが、今回は逆に助監督の先生に稽古をつけていただき、何とか収録をいたしました。

今回、被災された皆さんには、衷心よりお見舞いを申し上げるとともに1日も早いご復興を願っています。能楽は鎮魂のレクイエムと言われています。
能の世界では、700年前から、戦乱や自然災害で傷ついた人々を癒す、勧進能という義援の催しを続けてきました。

この度の映画は、人間の生と死という普遍的なテーマを描いていますが、能楽でも、天下泰平、国土安穏という哀悼の意をもって能の舞台を務めています。

●吉岡秀隆(40)
こんな僕がシッダールタを演じたということが未だに畏れ多いです。
実は、さっき後ろで控えていたらスタッフと間違われたんですが、「本当にブッダになれるのか」と思いました(会場笑)。

混迷とした時代の中で答えを探そうと一歩踏み出したことが、今を生きる私たちの糧になればと思います。大好きな手塚先生の作品を森下監督が映画にされるということで、参加できて光栄でした。

●観世三郎太(12)
いつもは能の舞台に父と立っていますが、今回は父と一緒に声優として参加させていただき、いい思い出になりました。一生懸命頑張ったので、よろしくお願いします。

●黒谷友香(35)
声優を務めたの初めてだったので、戸惑うこともありましたが、画を描いてくれたスタッフの方や、他のキャストの皆さん、そして森下監督の力をお借りして、何とか務めました。

子供の頃から読んでいた手塚先生の作品に参加できて、こうして舞台に立てるのはとても光栄です。
皆さん、是非楽しんでいってください。

●森下孝三監督(63)
この作品は非常に長い時間をかけて作られたんですが、まだ第1部なんです。いったいこれから、どのくらいかかるんだろうと思っています。

また、実は今年の4月まで画を描いていましたので、実質6年くらいかかっています。残りの2作を作り終える時、自分の体力的にも、年齢的にもどうなるのかと思います。

映画については、宗教的なイメージをもたれる方も多いと思いますが、私としてはブッダを中心に、生きている人々を描いた、命のドラマを作ったつもりです。映画を観終わったら、皆様もお釈迦様との距離が縮まったように感じてもらえるのではないかと思っています。
お楽しみ下さい。

●藤原道山(39)
 ※本作メインテーマで尺八演奏を担当。本日は、キャスト登壇前に映画のメインテーマとオリジナル曲「東風(こち)」を演奏。

・オリジナル曲「東風(こち)」について
文化というものは仏教などもそうですが、西から流れてきていることが多いのですが、この曲は、逆に日本から、東から風を送りたい、色々なものを発信していきたいという気持ちで作りました。

また、曲の中でインドのシタールという楽器なども使っていて、まさにこの「ブッダ」にピッタリだと思って、今日は演奏させていただきました。

・今回この映画「ブッダ」に参加されていかがでしたか?

子供の頃、いとこの家に手塚治虫全集があったのですが、それを読みにいつもいとこの家に行っていました。その中に「ブッダ」もありました。

それと、僕が小学生の頃、ちょうど連載中だったのですが、毎回展開が楽しみでした。僕が生まれたのが72年、「ブッダ」の連載が始まったのも72年ということで、そういうところでもとても縁を感じるので、今回こういう形で関われてとても嬉しいです。

<最後のご挨拶>
●吉永小百合さん
先ほどもご紹介いただきましたが、今日の舞台挨拶は全国に中継もされているということで、北海道から鹿児島、そして、福島や名取でも上映されることをとても嬉しく思います。

私は、一昨日、実は名取市に行ってまいりました。
まだ、信じられないような光景が広がっており、本当に大変なことが起こったんだと改めて感じました。また、私達が、これからも末永くサポートしていかなくてはいけないと感じております。

その被災地である名取のワーナー・マイカルですが、4月の末に映画館が再オープンしました。そこで働く方の中には、ご家族を亡くされたた方もいたようでしたが、頑張ってほしいと思います。

私は子供の頃から、映画に励まされ、元気をもらって、今映画女優として生きています。スポーツや音楽と同様に、映画で少しでも癒されたら、元気になっていただけたらと切に願っております。

<YOSHIKIさんコメント>
※本日は登壇できなかったものの、文章にて以下のコメントを寄せました。

Yoshikiです。

今回、この素晴らしい作品への主題歌のお話をいただき、とても嬉しく思っています。お声がけいただきまして、ありがとうございました。

監督の森下さんとは、以前から親しくさせていただいていた経緯もあり、お話をいただいた時点で「引き受けたい」と思っていましたが、原作を読ませていただき、この作品における音楽の重要性を確信し、決断しました。

また、制作途中の映画も拝見させていただきましたが、アニメーションがとても美しく、実に興味深い作品だったこともあり、自然と力が入りました。

僕は子供の時からアニメーションが大好きだったのですが、このような形でアニメに関わることができ、本当に嬉しい限りです。
今回の主題歌『Scaret Love Song』は、X JAPANの楽曲としては、久しぶりのバラード曲となっています。ぜひ、映画と一緒に楽しんで下さい。