6月11日の全国ロードショーに先駆け、松本人志の監督作品第3弾「さや侍」の完成披露試写会が、5月7日に大阪ステーションシティシネマにて行われました。
本作において初の舞台挨拶となった完成披露試写会にはサプライズゲスト(?)として、主演の野見さんが登場し、緊張のあまり自己紹介で声を上ずらせる野見さんに、松本監督から「あせりすぎやって!」と厳しいツッコミが入り、場内は大爆笑となる中、「この人、言われたことは本当に真面目にやるんですよ。ヒザをすりむきながら一生懸命やってる姿を見て、ほんの一瞬、かっこよく見えました」とお褒めの言葉も。
最後には松本監督が、「僕がこれまで作ってきたものとはちょっと違う作品になっていると思います。後半、わりとマジで作ってしまいました。よろしくお願いします」と締めくくり、“笑い”と“哀しみ”を紙一重に描いた『さや侍』に相応しい舞台挨拶となりました。

合同取材には、監督の松本人志、出演の板尾創路、熊田聖亜の3人が出席。製作時の秘話から作品の手応えまで、さまざまなエピソードが披露されました。

——今回は出演のほか、脚本にも板尾さんが協力参加しているが、要請した狙いは。
松本「コントをやっていたころから、こうしようとか、ああしたほうがええんちゃうとか言ったことがなく、今回の映画でも板尾の好きにやってもらった」
板尾「毎回、脚本会議に出していただき、いろいろ意見を言わせていただいた部分もありますが、その顔ぶれも雰囲気も、コントを作っていたときとあまり変わらない。撮影のときも、特に細かい指示はなく、のびのびとやらせてもらえた」

——非常にシンプルな構成でストレートに心に来る印象を受けたが、構成などで意識されたことは。
松本「笑って泣けて、という映画の宣伝を耳にするが、本当にそういう映画は少ないのでは。そんななか、笑いも涙もあるハイブリッドな映画を作ってみたいと思ったので、深読みするようなストーリーは邪魔になるし、誰が見てもすぐわかるものに、という気持ちがあった」

——時代劇を撮った感想は。
松本「朝も早く、殺人的なスケジュールで、できることなら二度とやりたくないなという気持ち。いますぐ撮りたい!というときも、ヅラ直しなどで時間がかかったり……」
板尾「ヅラは大変でしたね。時代劇は初めてじゃないですが、ここまで長期間にわたって毎日かぶったことはなかったんで……江戸時代の人はなんであんな髪形にしたんかなと。江戸時代の人間がちょっと嫌いになりましたね」

——構想が先か、主演の野見隆明さんがまずありきだったのか。
松本「映画会議をかなり重ねたので、いつから野見さんになったのか、この展開になったのかを覚えていない。ただ、昔、番組を一緒にやってたときに、いつかこの人で映画をやってみたいなと思っていたのはある」

——映画を撮ることの意味とは。また、映画への思いに変化はあったか。
松本「映画に限らず何か作品を作れば、棺桶に入れてもらえるかな、と。棺桶に持って行くものをなるべくたくさん作りたい。「さや侍」はそれに値するものになったと思う。やっぱりこれだけ大掛かりなことをテレビでやるのは難しい。映画は海を渡るし、ずっと残って行くものなので、この作業はできることなら続けたい。また、20代、30代の頃に照れ臭くてできなかった、自分の正直な思いみたいなものを、今回は(出演せずに)人を使うことで表現できたかなと思う」

——ご自身が実生活でお子さんができたことが投影されている部分は。
松本「映画に出てくるたえというのは、僕のなかの理想の娘ではある」

——切腹をテーマに描きたいと思ったきっかけは。
松本「野見さんが、切腹したくないがためにジタバタする、というのが最初の発想だったと今、思い出した。それがだんだん変化して、野見さん一人では画面が汚いということで子供を入れ、最初はそれも男の子だったのに、いつのまにか女の子になった。で、女の子になったことによって、自分の父親としてのものが作品に出てきたのかなあと自分では分析している」

 続いて、5月4日にオープンしたばかりの大阪ステーションシティシネマで、同館初となる舞台挨拶へ。満員の観客に、大きな拍手で迎えられる3人。ここでも、司会者から鋭い質問が飛びました。

——素人の野見さんを抜擢された理由は。
松本「まずはギャラがなしですむというのがありまして(笑)。完全な素人さんなので、うまくいかなかったとき、あいつのせいだと言うことができますし……。あと、せっかくなので誰もやっていないことをやってみたかった。実は、野見さん本人には映画だと教えずに撮り始めた。だから前半部分はほとんどドキュメント。野見さんは30日の業を、全くウケないなか、マジだと思ってやっていた。共演者の皆さんには絶対笑わないでくれとお伝えして、野見さんが朝、おはようございますと入ってきても、全員無視をするという(笑)。そういう撮影法でやらせていただいた」

——難しかったシーンは。
板尾「カツラが蒸れて痒かったので、コーヒーを混ぜるプラスチックのマドラーを差し込んで掻いていたら、それが突然折れて出てこなくなって。でも本番やと言ってはるので、マドラーを頭のなかに入れたまま『さや侍のまま終わらせる気か!』というセリフを言った。お前はどないやねんという」

——(熊田さんに)板尾さんや野見さんとの競演は?
熊田「すごく仲良くしてもらったし、よく休み時間にも遊んでもらった。ただ、野見さんと一番最初にお芝居をしたのがカメラテストのときで、そのときにすごく絡み辛くて(笑)。撮影がどうなるか、実はちょっと不安になっていた」

——30日の業のなかで一番好きなものは。
板尾「本編で使っているのはほんの一部で、実はいろんなことがあった。蛇を結ぶという行では、野見さんがいきなり噛まれて血を流して。それでも最終的には結んでいた。真面目なんですよ!」
熊田「腹踊り。自分で絵柄をデザインしたし、実際に野見さんのおなかに描いたのも聖亜ですから」
松本「うどんすすり。ほっしゃん。にレクチャーしてもらってやったが、うどんってあんなふうに入っていくんや、と思った」

 と、ここでサプライズゲスト(?)、主演の野見さんが登場。緊張のあまり自己紹介で声を上ずらせる野見さんに、松本監督から「あせりすぎやって!」と厳しいツッコミが入り、場内は大爆笑。続いて初主演の感想を聞かれた野見さんは、「一番大変だったのはふすま割り。なかなか割れなくて本当に苦労しました。でも頑張って頑張って、どんどん割っていきましたよ」と、これまた一生懸命にコメント。松本監督からは「この人、言われたことは本当に真面目にやるんですよ。ヒザをすりむきながら一生懸命やってる姿を見て、ほんの一瞬、かっこよく見えました」とお褒めの言葉も。

 最後は松本監督が、「僕がこれまで作ってきたものとはちょっと違う作品になっていると思います。後半、わりとマジで作ってしまいました。よろしくお願いします」と締めくくりました。

「さや侍」プレミア上映決定!

◆日時:2011年6月6日(月) 18:00開場 18:30開演

◆会場:東京国際フォーラム ホールC

http://www.t-i-forum.co.jp/general/index.php

◆登壇者:松本人志監督/野見隆明/熊田聖亜/板尾創路/柄本時生/りょう /ROLLY/腹筋善之介/伊武雅刀/國村隼(敬称略)(※以上すべて予定)

◆詳細はこちらオフィシャルHPにてご確認下さい。
http://www.sayazamurai.com/