4月2日(土)、シアターN渋谷にて公開した中島央監督「Lily」の初日舞台挨拶が13:10の回上映後に行われた。客席には女性客が多くみられた。アメリカ映画でありながら、普遍性を感じるストーリーとハリウッド仕込みの美しい映像に感嘆の声が聞かれた。

映画の国アメリカ、しかもハリウッドでの映画作りにこだわった中島監督。しかし初の公開は母国・日本でという希望が叶い、アメリカでの公開に先駆け、日本での凱旋公開が実現した。
中島監督は、初日に駆けつけた多くの観客に感無量の様子で、「子供の頃からアメリカ映画に影響されていて、アメリカ映画を作りたいというのが子供の頃の夢でした。その集大成がこの作品であると言えますね。公開までは長く時間がかかりましたが、それを支えてくれたキャストやスタッフには本当に感謝します」とコメント。幼少期から親の影響で映画を浴びるように見てきた中島監督の夢が、本作品でようやく叶えられたようだ。

また主人公のヴィンセントを演じたジョシュ・ロングを始め、ハリウッドからキャスト・スタッフのコメントも寄せられた。中島監督の作品作りを長く支えてきたプロデューサーのアラン・ノエル・ヴェガは、3月11日(金)に起こった東日本大震災にも触れ、「Lilyが短い間でも皆さんの心を癒し、そこに愛と希望が見つけられたら嬉しい」とコメントした。

公開直前、中島監督が高校時代一番最初の留学先として選び、青春時代をすごしたニュージーランドが地震により被災。心を痛め、何か自分にできることはないかと思っていた矢先の東日本大震災、今度は母国・日本が甚大な被害を受ける事になった。

「Lily」日本語で「ユリの花」。タイトルにちなみ、ユリの花をチャリティー販売することで、義援金につなげようと「Lily LOVE Japan」を発足。昨日4月1日(金)に行われた電子書籍自伝本「絶対、映画を撮ってやる!〜映画『Lily』中島央監督自伝」(アクセルマークより刊行)の出版記念パーティ、そして本日の舞台挨拶後自身も街頭で声を張りあげ募金活動を行った。(なお、この義援金はBNIマイズナー財団を通じて日本赤十字社に寄付される)
中島監督は「自分たちにできることは本当にささいなことしかない。今被災地で頑張っているみなさんに少しでも多く復興の役に立つよう義援金を送りたい、またそれと同時に被災をのがれた僕たちが落ち込んでいるのではなくて、この1本のユリの花で心に安らぎを得て、日本が復興していく力になることを祈っています」と力強く語った。