『ツーリスト』来日記者会見
日時:3月3日(木)
   13:00
場所:六本木 アカデミーヒルズ49 タワーホール
登壇者:ジョニー・デップ、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督
特別ゲスト:真矢みき
マスコミ人数:スチール100台 ムービー40台  記者300人 総取材人数:500人

質問:Q
ジョニー・デップ:J
監督:F  と表示

司会:ひとことご挨拶を
F:東京に戻って来れてエキサイティングな気持ちです。暖かい歓迎をありがとうございます。以前、「善き人のためのソナタ」で来日したときは、プレスの皆様には大変いい記事を書いていただき、暖かく迎えられまして、ありがとうございました。昨日は国立博物館に行き、日本の文化にどっぷりとつかりました。
ジョニーは8回目の来日と聞き、僕は2回目なので近いうちにその記録を抜きたいです。

J:みなさん、こんにちは。日本に戻ってくる時はいつも幸せな気持ちになります。いつもマジカルな体験です。ただ滞在が短すぎるのが残念です。いつもみなさん、あたたかく迎えてくれてありがとうございます。日本の人々はやさしいです。僕が奇妙なことをやってもいつも受け入れてくださる、そういう度量があり、戻って来れてうれしいです。ありがとう。

Q:2人が「ツーリスト」という言葉に抱いてる印象、想像する言葉は?
 また「ツーリスト」の主人公フランクが電子たばこやパジャマを持っていくように、お二人がプライベートで旅行に持っていくものとは?

F:どこかで読んだことを思い出したのですが、「ツーリストというのは観光客というのは、どこかへ行って自分が見ることを期待してそのまま見て帰る人」という定義があったんです。
 それに対して「トラベラーというのは、見て回ったものをそのまま見てとる」というふうに書いてあったんですね。この映画もみなさんが思い描いているのとは違います。いろんな驚きが全編を通してあり、そのことを意識してつくりました。またジョニーやアンジーと一緒の映画事体、驚きの連続です。私はジョニーの映画をたくさん見ていて、たぶん彼とは彼がでている映画を通して30時間過ごしているのに、ジョニーのことが全然わかっていないと思いました。それだけ、ジョニーはいろんな面を持っていて、サプライズを見せてくれる人だと思います。よって今回の映画もサプライズがいっぱいあります。
いつも旅行に持っていくものは、、、昔の話ですが、子供の時から人形と遊ぶのが大好きで、でも男の子はタブーとされている中、どこに行くにもたくさんの人形を持っていったんです。ところが親に叱られ、ひとつだけならいいといわれて、いつも一番好きな人形をもっていったのを覚えています。

J:ツーリストという言葉から思い浮かぶのは、バミューダー・ショーツをはいたアメリカ人の観光客がパリについて、コカコーラをくれとか、いますぐポテトを持ってこいと命令口調でいうイメージですね。
僕が演じるフランクは少しそういう部分があります。彼は凝り固まったタイプですが、次第にどういう人物かが、物語が進むうちにわかってきます。
旅行に行く時は、僕は一枚だけ金貨をもって行きます。何かの緊急事態のために、持っていないと、金歯を取り出すことになるかもしれないので。(笑)

Q:映画「ツーリスト」はどういう旅でしたか?
J:オファーが来たときは監督の映画「善き人のためのソナタ」を何度も見ていて、ファンでした。アンジェリーナ・ジョリーさんの映画も観ていてファンでもありました。また演じる役が興味深いと思いました。まじめで、人間的で、普通の人間の役です。普通というものが含む奇妙な部分やおもしろいもの、おかしいものをだせる役ということで、監督ともアンジェリーナさんとも非常に楽しんでやりました。

Q:ジョニー・デップさんは、いつも特徴のある役を演じますが、今回、普通の男を演じていかがでしたか?
J:監督とはフランクという役について、映画の前にたくさん話しました。フランクはハイパーノーマルな人、、超普通の人ですが、もしかしたら、普通の人というのはちょっと狂気みたいなものを持っているかもしれないね、と。そもそも普通というのは、誰が決めるものなんだ?何が基準なんだ?そういうことを二人でかなり話しました。フランクは、ウィスコンシン州出身の数学の普通の先生だけど、彼には変わったところもあるし、電子タバコに執着していたりします。今回の役で人間の普通さというのはどういうものかを追求しました。

Q:監督に質問です。先ほど、ジョニー・デップさんの起用によりサプライズがあったとのことですが、どんなサプライズですか?
F:撮影中、ジョニーは常に即興をしていました。前からそういうことをする人だと分かっていたのですが、どの程度、どこまでやる人なのかはわかっていませんでした。本当にいろんなことを試すので、もしNGバージョンを集めて映画を作ったら18歳はおろか、21歳クラスにしか観せれない作品になってしまう。それぐらいいろんなことをやってくれました。いつも僕は驚かされていました。ジョニーは極端な役が多い俳優さんですが、どんな演技もできます。一番驚いたのは、この映画で非常に微妙な、パッと見ただけではわからない狂気さを抱えた人を見事に演じたことです。殺人を犯した人の隣人に聞くときまって「あの人は普通の人だった」とよく言いますよね。ちょっとクレイジーになる可能性をもった普通の人の性格を、大げさでなく微妙に見せている。彼はマッド・ハッターやウィリー・ウォンカそしてエド・ウッドのような特徴的な役だけでなく、その「真逆」もできるということを、今回は見せてくれました。
ジョニーの演技についてもう一言。彼の演技は芸術的です。「ツーリスト」を娯楽作品と思って、芸術を期待しないで見に行った人も、たぶん驚かされると思います。ジョニーの役は派手な役ではなかったのですが、よく見ないとわからないような微妙な演技を、非常にすばらしい演技をしています。私の前作「善き人のためのソナタ」と同じぐらい、そういう題材があれば、そこで素晴らしい演技を見せてくれると思います。みなさんが期待しないところでも、いろんなことをやられています。たんなる娯楽作品と思って見に行くと芸術の発見ができるという、ジョニーとすばらしい経験ができました。

Q:アンジェリーナ・ジョリーとジョニーさんは初共演ですね。彼女の魅力は?
J:アンジェリーナさんはいろんな側面を持った方ですし、言わずと知れた素晴らしく才能のある女優さんです。彼女はなんでも演じられると思います。今回共演して発見したのは、地に足がついてしっかりした、とても頭がいい、そして面白い面もあり、そしてショックをうけるぐらい素晴らしいお母さんでもあるということ。あれだけパパラッチに囲まれた生活でも冷静さを失わないクールな側面をもっています。僕が彼女のような生活をおくるとしたら、何をしていたかわからない、今頃刑務所に入っているかもしれないな。いろんなことをこなしていける素晴らしい女性であり、素敵なお母さんです。

Q:昨日、空港でファンの子から「コアラのマーチ」をもらっていましたが、日本のお菓子のなかで一番好きな
ものは?
J:僕は昔からチョコレートが大好きです。チョコレート中毒。日本にはおいしいチョコレートがいっぱいありますので、どれが一番とか決められないです。
F:チョコ中毒と同時におもちゃ中毒でもあるでしょ。
この映画の撮影を開始したのは、ジョニーが日本から戻ってきたばかりで、私の娘たちにおもちゃをいっぱい買ってきてくれたんだ。だから彼とは永遠に盟友だよ。
J:キディランドが大好きで、いつも誰かに追い出されるまでいるんだよ。
Q:もうチョコを食べましたか?
J:食べたよ。またこの後も食べる。

<真矢みきさん 花束ゲストとして登場>

司会:映画の感想は?
真矢:とにかく初めての感覚でした。はじめロマンスからはじまり、そしてミステリーへと入っていき、そしてコメディ?と思い、そしてまたミステリーに戻り、そして大どんでん返しで、最後に究極のロマンスに戻りました。すばらしかったです。島国に育った日本の私としては、ヨーロッパの美しさが陸続きで、だんだん駅ごとに言語が変わっていく美しさも魅力的でした。
汽車の揺れと一緒にフランクの心がエリーズに揺れていき、自然にベニスに着くのが魅力的だと思いました。