の度、芥川賞作家・絲山秋子の代表作を完全映画化した映画「ばかもの」が、ついに本日12月18日(土)に公開初日を迎え、金子修介監督、W主演の成宮寛貴、内田有紀による舞台挨拶を行いました。

■日時:12月18日(土) 舞台挨拶開始 13:25〜
■場所:有楽町スバル座 (東京都千代田区有楽町一丁目10番1号)
■登壇者:金子修介監督、成宮寛貴、内田有紀

<ご挨拶>
●金子監督:
今日は他にもたくさんの映画初日公開作があるなか、「ばかもの」を選んでただき、ありがとうございます。

●成宮さん:
今日が一番今年の中で初日公開が多いみたいですね。
みなさん、ありがとうございます。

●内田さん:
今日がそんなに初日公開があるなんて、知らなかったです。
本当にありがとうございます。

MC:
いよいよ本日、映画が公開となりましたが、改めまして今のお気持ちをお願いいたします。

●成宮さん:
公開までに少し時間がかかったので、「やっとこの作品を世の中の人に見ていただけるんだな」という、しみじみとした嬉しさでいっぱいです。

●内田さん:
確か撮影は去年の5月頃でした。公開まで時間があったので「この映画をどんな風に見てくれるんだろう、どう思ってくれるんだろう、どんな風に写るんだろう」と思っていたので、楽しみです。

MC:
内田さんは原作を読んで、ヒロインの額子にとても惹かれたとのことですが、どういったところに惹かれましたか?

●内田さん:
額子は、言葉遣いも荒いし、態度もぶっきらぼうだけど、内面の女性としての繊細な部分や恥ずかしいとか素直に甘えられない部分などがとてもいとおしく思えました。

何でもそつなくこなす完璧な女性はいっぱいいるかもしれないけど、ああやって不器用で、成宮君演じるヒデに愛される女性になる、というのは私にとって魅力的で、そのギャップに惹かれました。

MC:
実際に演じてみて、違った一面などはありましたか?
また、難しかった部分はありますか?

●内田さん:
金子監督と一生懸命色々話しをして、2人で作り上げていった額子なので、安心して皆さんに届けられるというか、私だけだと突っ走りすぎちゃう部分もあったので、金子監督と話しながらヒデとどういう恋愛をするか、そしてどういう生き方をするかを話し合いました。ですから、そこまで難しくはなかったです。

MC:
成宮さんは、脚本を読まれた時、ヒデのことをどう感じましたか?

●成宮さん:
読み物として、すごく面白かったです。映像化するにあたって、撮影も短期間ですし「10年間を演じることが自分に出来るのか?」というのが物凄く不安で、それを克服するのに時間がかかりました。

ヒデというキャラクターは、最初は額子という美しい女性に惚れて、器の小さい若者なんですけど、それから10年経って、やっと対等に額子を支えることが出来るようになるまでを演じたので、なんかこう「頑張れ、頑張れ!」と思って演じていたし、応援したくなるような可愛いやつだと思いました。

撮影は、10年間を行ったり来たりして撮ったので、
監督とどうするかを話し合い、台本を読み直しながら撮りました。

監督は自由にやらせて下さる方でしたので、ゆっくりじっくり作っていき、内田さんとも撮影の合間は、「主題歌はどうなるのかな?」などと色々な話をして、すごく楽しかったです。

MC:
成宮さん、内田さんは、今回監督のご指名だったそうですね。
一緒にお仕事されていかがでしたか?

●金子監督:
原作を読んで、内田さんのイメージがわきました。
以前から注目していて、「キャッツアイ」を見たときに、「僕が撮った方が良かったんじゃないか」と思いました(笑)

成宮さんにも前から注目してました。
先ほどの話にもありましたが、最初は「10年間を順番通りに撮るから安心して」って約束したんです。凄く演じ方を迷っていたので。そしたら、そんな風に撮れなくて・・・。

(ここですかさず、成宮さんが「嘘つき!」というと、会場大爆笑)

でも、きちんと演じてくれた2人の演技技術と人間性が良くて、スタッフも盛り上げてくれたので、「本当にいい現場だったな」と思いました。それが作品になって、皆さんに伝わればいいと思います。

MC:
成宮さん、内田さんは、今回共演されていかがでしたか?

●成宮さん:
内田さんは、もう中学の頃からのファンで・・・。

●内田さん:
またその話(笑)?もう困ってしまうので・・・。

●成宮さん:
今日髪を切って来られたのが、僕が学生手帳に内田さんの写真を入れていた時の髪型にそっくりで「昔の内田さんみたいですね」と言ったら、顔をすごく真っ赤にして「恥ずかしいからやめて」って言われました(笑)

●内田さん:
もう成ちゃんは優しくて、そんな風に言ってくれて・・・

●成宮さん:
いやでも本当に内田さんは、真面目でストイックで、面白いし可愛いし、「内田さんと今回一緒にできて本当に良かったな」と思いました。1度ドラマでご一緒させていただいたのですが、ドラマと映画はやはり違うんですよね。

今回、こだわって1つづつ階段を上っていく姿をみて、俺も内田さんのように、手をとって一緒に階段を上っていこうと、そういう気持ちにさせていただいた女優さんでした。

●内田さん:
素敵な言葉をいただいて、有難いですね。
やはり役者で芝居をして現場で心を通わせるというのは、「当たり前のことでいて凄く難しいな」と思いました。

今回は壮絶なラブストーリーですし、原作が凄く素敵なのでそれに負けずに、余すところなく伝えていきたいという思いが凄く強かったので、こうやって成宮君と芝居が出来て、相手役を演じてもらって、凄く甘えてましたね。

色々な話をしたし、撮影がないときも「成宮君どうしてるのかな」って凄く考えてました。私は、ヒデよりも額子の方が、ヒデを愛していたと思っているので、出来れば私が(成宮君を)大きく包みこんで、一緒にやりたいと思っていましたが、逆に成宮君に助けらえましたね。

最初にドラマで共演したときから、「物作りや演じることが大好きなんだな」という印象があって、私自身もそうなので成宮さんとこういう風に作品を作れたのは、幸せな時間でした。

MC:
監督と出演者の絆から生まれた作品ということですね。

●金子監督
そうですね、やはり俳優さんと現場で付き合っている時間は人生の中で一部だけですが、それは映画の時間というものを凝縮した時間じゃないですか。

そこで2人の絆や演技力が1個の結晶となる姿を現場で最初に見れました。
それを作っていって、足りない部分を足したりして、楽しい充実した演技合戦というか、本当にお互い火花が散っているような現場だったので、僕にとっても幸せな現場でした。

MC:
皆さんのお気に入りのシーンを教えてください。

●金子監督:
たくさん気に入っているシーンはあるのですが、やはりラストシーンです。雨が降ってしまったため、撮影を1日延ばして、なんとか撮れたのでお気に入りです。

スバル座も実はお気に入りです。学生の時に「アメリカン・グラフィティ」を見ましたし、奥さんともデートで「ストレンジャー・ザン・パラダイス」を見ました。
素晴らしい劇場がメイン館となり、映画の公開が始まり嬉しく思います。

●成宮さん:
額子とたくさん体を重ねていくんですけど、そのシーンで本番と言われてすぐに「カット!もう一回!」と言われたとき、どこが悪かったのかなと思いました(笑)
監督には言いませんでしたが・・・。

僕が好きなシーンは、最初の方に出てくる、額子を背中から抱きしめているシーンで、「ヒデの目線と額子の目線が違う、目指している方向が違う」という心情を表しているシーンが、ものすごく気に入っています。

●内田さん:
私は入浴シーンですね。監督もこだわっていましたし、私も成宮君も「凄く難しいよね」って言っていて、小説で読むことと、映像で具現化することは、人のイマジネーションを壊すことにもなってしまうため、非常に難しいシーンだったんですが、それを監督と成宮君と信頼で乗り切れたので思い入れがあります。

あと、やっぱり成宮君演じるヒデは、「凄くいい男だな、こんないい男いないな」と思って演じていたので、「額子にはヒデしかいないし、ヒデには額子しかいないんだな」と、感じる愛のある不思議なシーンでした。

以上