【日時】 12月18日(土) 【場所】 丸の内ピカデリー(千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン9F)
【登壇者】役所広司さん、佐藤浩市さん、桜庭ななみさん、杉田成道監督
11:30 舞台挨拶開始(初回終了後) 11:55 舞台挨拶終了

映画『最後の忠臣蔵』の、初日舞台挨拶にて本作に携わった日本映画の匠たちから、縁の深い出演者へのお手紙をサプライズで披露いたしました。「時代劇にこそ日本人の心がある」と語る、役所広司さんへは、映画美術界の巨匠・西岡善信さんから。佐藤浩市さんへは、本作で27年前ぶりのお仕事となった脚本家の田中陽造さんから。そして、桜庭ななみさんへは、杉田成道監督からお手紙を披露し、美しい本作のBGMが流れる中、心のこもったお手紙による感謝の意と、感動の涙によって会場全体が包み込まれる素晴らしい舞台挨拶となりました。

【監督・キャスト挨拶】
役所広司:おはようございます。役所です。ちょうど去年の今頃はこの映画の撮影をしておりました。そして1ヶ月ほど前から宣伝のため全国各地をまわり、本日やっと公開を迎えることができました。こんなにたくさんのお客様に観て頂いて本当に感謝します。ありがとうございました。

佐藤浩市:本日は本当にありがとうございます。初日を迎えることができて、ほっと致しました。辿り着いたなという感じが致します。いつもは辛口を叩いて冗談を言うのですが、今日は皆さんの感動を無にしてはいけないと思って、控えさせて頂きます。(会場笑)

桜庭ななみ:大石可音(かね)役を演じさせて頂きました桜庭ななみです。本日は本当にありがとうございました。こうして初日を迎えられて、この場所に立てて、すごく嬉しく思っております。皆さん本当にありがとうございました。

杉田成道監督:皆さん、本当にありがとうございました。いかがでしたでしょうか?(会場拍手喝采)皆さんの拍手がきっとこの映画を育てていくのではないかと期待しております。本当にありがとうございました。

【日本映画界の匠たちより監督・キャストへのサプライズお手紙】
※各お手紙は杉田成道監督とフジテレビ時代より親交の深い野間修平さんの影アナによって朗読されました。

◆80歳を超えてなお日本映画の第一線で活躍されいる美術監督、西岡善信(にしおかよしのぶ)さんから役所広司さんへのお手紙
役所さん、去年の今頃は役作りに腐心していた頃でしたね。大覚寺の辺りは散り舞う紅葉の風情が近年にない美しさでした。孫左衛門が雨に濡れて帰って来た後に暖をとるための、あたたかく燃える本物の釜戸作りから始めたのです。大人の女性に育った可音(桜庭ななみ)に対する孫左衛門の複雑な愛の気持ちを表現するのも難しかったでしょう。吉右衛門(佐藤浩市)やゆう(安田成美)との共演も、心に残る新しい時代劇の発見でした。ありがとう、役所さん。本当にお疲れ様でした。またいつの日か、京都で、震えるような感動を共に味わいましょう。

役所広司:お手紙、本当に感激いたしました。西岡さんには僕が若造の頃からお世話になっており、この「最後の忠臣蔵」でまた一緒に仕事ができて、またこのようなお手紙を頂けて、本当に幸せです。感激してます。

◆続いての方も、70歳を超える巨匠であり、本作の脚本を手がけた田中陽造(たなか ようぞう)さんから佐藤浩市さんへお手紙
佐藤浩市様、1983年公開の「魚影の群れ」という映画で、脚本を書いた私は青森県大間漁港の撮影現場を拝見しに行きました。そこで髪をリーゼントに仕上げた瑞々しい若者が立っていました。浩市くん、あなたでした。あれから27年ですか。立派に成長されました。寺坂吉右衛門を工夫を凝らして演じ、つたない脚本を助けてくれました。ありがたく感謝しております。以上、末筆ながらご自愛よろしく。飲みすぎ注意。

佐藤浩市:田中さんのおっしゃるとおり、27年前の映画で田中さんの脚本を演じさせて頂き、色んな思いがあります。やはりありがたいですね。本当に嬉しいです。ありがとうございました。

◆最後に本作の監督、杉田成道監督より桜庭ななみさんへのお手紙
桜庭ななみ様、本日公開初日を迎えたこの時をもって、僕らは「最後の忠臣蔵」の全てを作り終えたと言えます。映画が日の目を見るこの日が、僕らの千秋楽です。お別れのときが近づきました。君はよくがんばりました。1ヶ月に及ぶ長い長い稽古の日々。寒い寒い撮影の2ヶ月。随分と年の離れた大人たちの中でただ一人、同年代の友達もなく、緊張と孤独に打ち震え、暗闇を手探りで進んでいこうとしている君の姿は、あくまでも健気で美しく、僕ら大人たちの胸を打ちました。本当によくがんばりましたね。長い間、世話になったのう。瞬く間に過ぎていったその一瞬一瞬が心に残ります。人は出会い、別れ、また出会い、いくつもの出会いと別れの中で珠玉の思い出を残していく。その小さな宝石がたくさんたくさん集まって、大きな女優を育てていく。いつか君もきっとまばゆいばかりの宝石をもった、大きな女優になることでしょう。そのとき、17歳のこの一瞬、この出会いが、君の中で輝きの一瞬にならんことを。また出会うことを夢見て、いま別れよう。さようなら。また会う日まで。

桜庭ななみ:(感動の涙。声を詰まらせながら)杉田監督から、クラインインの1ヶ月前からお稽古をつけて頂いて、発声の仕方から何から、ワンシーンワンシーン本当に丁寧に教えて頂きました。撮影に入ってすごく緊張したんですけど、監督に1ヶ月間教えて頂いたことを思い出すと、なぜかほっとしました。でも私の誕生日に夜中の11時までリハーサルされて、「コノヤロウッ!」って思ったんですけど(泣笑)、でもこうやって初日を迎えられて、皆さんにたくさんの拍手を頂くことができて、本当に、監督のおかげだなと思ってます。そして監督以外にも役所広司さんや佐藤浩市さん、他のキャストの皆さんやスタッフの皆さん、本当に支えてくれました。だからこの場所にいま立てているんだと思います。本当に皆さん、ありがとうございました!そして。。。この映画の公開が終わっても、監督も役所さんも佐藤さんも。。。私のこと忘れないでください!(号泣)

杉田成道監督:(感動)本当に何も言うことがありません。。。本当に、とにかく、役所さん、佐藤さん、桜庭さん、本当にありがとうございました。この場を借りて、感謝をさせて頂きたいと思います。ありがとうございました。
それから、この先は観客の皆さんがこの映画を育ててくれると思っています。是非一人でも多くの方々に、伝わっていけば良いなと思っております。どうもありがとうございました。

◆役所広司による最後の挨拶

役所広司:えー、僕も何も言うことがありません。このベタな演出を僕は全然知りませんでしたので(笑)。さすが杉田組だな、とびっくりしました。今日でこの映画は一人歩きをして、一人でもたくさんの方に観て頂けると、本当に嬉しいです。杉田監督とキャストとスタッフとで一生懸命に作った作品でございます。皆さんに楽しんで頂ければ幸いです。皆さん、本当に本日はありがとうございました!