スタジオジブリ最新作『コクリコ坂から』の公開が決定し、12月15日に鈴木プロデューサーが登壇した会見を行った。

●鈴木敏夫プロデューサーコメント
今から15年くらい前、信州にある宮崎駿のアトリエがあるのですが、毎年夏になると宮崎駿の姪や甥が
遊びにくるんですね。まだ、姪や甥も小さかったので「りぼん」や「なかよし」などのマンガも置いてあり、
その中に「コクリコ坂から」や「耳をすませば」もあったんです。昔、「コクリコ坂」をやるか「耳をすませば」をやるか検討した事があったんですが、そのときは「耳をすませば」をやろうという事になったんです。
 その後、アリエッティを作っている中で次の作品をどうするかをみんなで考えていたときに、宮崎駿が「コクリコ坂をやろう」と発案し、この作品に決まりました。

映画の舞台となるのは東京オリンピックが始まる1年前の1963年。
港のみえる丘を舞台に映画を作っています。絵コンテは最後の段階まで進んでいますが、宮崎吾朗も1967年生まれなので、1963年の事は知らない。時代劇を撮るに等しい作業ですが、色んな資料を読んだりして、映画を作っております。

このポスターの絵は宮崎駿が描きました。この映画を作る時に、駿監督は「シナリオは作って、美術設定はするがそれ以外は一切手を出さない」と言ったんですが、ある日ポスターの話をした次の日に、なんとなく駿監督のアトリエに朝、会社に行く前に立ち寄ったんです。すると、こちらの絵をもう描いていたんです。
ものすごく良い絵だと思い、ポスターにしちゃいました。吾朗監督も気に入っています。

この作品のコピー「上を向いて歩こう」ですが、映画の雰囲気に非常に合うと思い、これにしました。
今の時代に「生きろ。」(もののけ姫のコピー)なんて言われたら、みんな困ると思うんです。前向きに歩いていくのはしんどい時代、後ろ向きもイヤ。じゃあ、上だ!(笑)吾朗監督は、「みんなが下を向いている時代だし、良いと思う。」と言っていました。

そして、「ある時代の人の生き方が参考になる」事があると思うんです。昔の人は身体を動かすことと頭で考える事のバランスがよかった。現代は頭で考えることが多くなっていると思う。そんな事を吾朗監督と話しています。

作品概要
企画/宮崎 駿
原作/高橋千鶴・佐山哲郎「コクリコ坂から」(角川書店刊)
監督/宮崎 吾朗
主題歌/手嶌 葵(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
プロデューサー/鈴木敏夫
制作/スタジオジブリ
公開日/2011年夏、全国東宝系ロードショー