ヴェネチア映画祭の審査委員長を務めていたアン・リーが「とても素晴らしいこの映画に嫉妬せずにはいられない!」と最大の賛辞を送ったファティ・アキンの最新作『ソウル・キッチン』が、11年1月22日(土)よりシネマライズ他にて日本公開されることになりました。

心(ソウル)も満たすレストラン。しあわせはすべてここにある。
ジノスはレストラン“ソウル・キッチン”の若きオーナーシェフ。
恋人が上海に行ってしまったり、滞納していた税金を迫られたり、衛生局ににらまれたり、その上ヘルニアになったりと、ツイてない。
そこで、ジノスは酒好きだが腕前はぴか一のな天才シェフを雇う!
すると料理が評判を呼び店は大盛況!
更に、仮出所してきた兄のイリアスが盗んだDJセットでゴキゲンな音楽も加わり、まさかの連日大繁盛! ところが、店が乗っ取りの危機に陥る…。
この店はオレたちの心(ソウル)。なくすわけにはいかない!

◆ ファティ・アキン監督

「こんにちは、日本語が話せなくて申し訳ありません。
今回ずっと来たかった日本にはじめて来ることができました。
どんな国なのかとても好奇心を持っていたので、来られてうれしいです。
また、こうやってみなさまとお会いし、お話が出来てとてもうれしく思います。」

Q、前作の二作品は深刻な内容だったのですが、今回とても明るい映画を撮った理由を教えて下さい。

「三部作である前二作品を撮り終えた時に次も続けて撮るつもりでした。
ですが、私は機械的に作品を作れるタイプではなく、『そして、私たちは愛に帰る』の時に、友人でもあり、プロデューサーでもあり、自分の師でもあるアンドレアス・ティエルさんが亡くなってしまいました。
コラソンという会社を一緒に立ち上げた仲間でした。その時はとても辛く、続けて制作することを断念しました。
実は『ソウル・キッチン』の脚本は『愛より強く』のすぐ後に書いていて、新しい制作会社を立ち上げたばかりの時にこれで景気づけをしようとしたのですが、脚本に自信がまだなく、今までの評価されている作品とは違い軽めの作品なので受け入れられるのか不安がありました。亡くなるとき、彼は最後の教えとして、”人の言っていることなど気にせずに好きなものを作ればいいんだ”と教えてくれ、決心がつきました。
彼が亡くなって落ち込んだ気持ちから脱出するために、今作を完成させるのは自分にとって必要不可欠でした。」

Q、息抜きというような意味でも制作した『ソウル・キッチン』がヴェネチア国際映画祭で賞をとったことについてどのように思われましたか?

「自分も正直驚きました。賞を取れるとは全然思っていませんでした。
ヴェネチア国際映画祭に呼ばれたことが本作にとっては受賞だと思っていました。
一般の方がいらっしゃる上映に不安を抱えて立ち会いましたが、アン・リーも含めて、大変熱意ある反応が返ってきて嬉しかったです。
映画監督というものはアート系の作品を撮る監督であっても、どんなジャンルの作品でも撮ることが出来るスキルが必要だと思っています。
受賞後のパーティで審査員を捕まえてはどうして賞を下さったのですか?
と次々聞いていきましたが、今までシリアスな作品を撮ってきて、このような全く違う作品を発表した度胸、勇気に賞をあげたかったんだと言われ、とてもうれしかったです。
受賞させてくれた方々の言葉があってこそ、本当に受賞した気持ちなれます。」

Q、ヨーロッパ各地で映画を制作することがございますが、ヨーロッパ以外で撮ることは考えていますか?

「今書いている脚本は世界の半分で撮影をすることを考えています。
旅をするのは大好きで色々なものを見るのが好きです。
どこか知らない場所に行くとか、知らないことを経験するという、自分の知らないことを理解するために映画を作っているとも言えるかもしれません。
人間にすごく興味があり、人類に共通しているもの異なっているものってなんだろうと、そういうものに非常に興味があり、映画は自分にとって自分の考えを伝える手段です。」

Q、今作の舞台であるハンブルグの街にとって、ファティ・アキンはどのような存在ですか?

「息子の一人だと思ってくれればいいのですが、自分にとっては母のような存在です。街というものは僕にとって女性ですね。
ハンブルグは隠れたり、守ってくれたり、バイクで回ることも出来るし、自分の通った医者や幼稚園であったり、自分が慣れ親しんだものすべてがありますね。
街育ちということもあってか、街が一人の登場人物として描かれている映画は大好きです。
街が描かれる作品が好きなのは人間が好きだからかもしれません。
トルコで撮影が続いたときは、ホームシックになり、本当にハンブルグで撮影出来ればという気持ちにさせられました。
そういったこともあって、『ソウル・キッチン』は丁度いいなと思ったのも、制作に至った理由の一つです。」

★記者会見では終始質問が途切れることなく、最後は暖かい拍手に送られイベント終了★