12月18日(土)公開映画『海炭市叙景』(かいたんしじょけい)の完成披露試写会が、11月18日(木)函館・函館市芸術ホールにて行われ、主演の谷村美月さん、小林薫さん、熊切和嘉監督が舞台挨拶に登壇した。
『海炭市叙景』は、村上春樹と並び評され、5度の芥川賞候補に挙げられながら賞にめぐまれず、41歳で自ら命を絶った不遇の作家・佐藤泰志の遺作「海炭市叙景」を、熊切和嘉監督が映画化。函館をモデルにした“海炭市”を舞台に、そこに生きる人々の姿を群像劇形式で描く。苛立ちや痛みを抱える登場人物たちを優しく包み込むように描きだし、最後には深い余韻が残る作品に仕上がっている。
函館市民有志の実行委員会によって製作された本作。この日が函館では初の上映となり、昼と夕方の2回行われた上映には、映画の完成を待ちわびていた、募金や市民キャスト出演などで映画に協力した人たちを中心に約900名が集まり、函館で生まれ育った映画の完成を見守った。

【舞台挨拶内容】
谷村美月さん
「この作品はずっと残っていく作品になってほしいなと思っています。函館の皆さんが自分たちの誇りだと思ってくれる映画になればうれしい。これから寒くなるので、体に気を付けてください!」
小林薫さん
「6月の試写で観て、本当にすばらしい作品だと思いました。この映画は、映画関係者のあいだではとても評判がいいです。ですが、そういった映画はなかなかヒットしないことが多い(笑)。たくさんの方々に観ていただいて、やっと映画が完成するのだと思います。本当にたくさんの皆さんに観てほしいです。」
舞台挨拶に参加できなかった主演の加瀬亮さん、三浦誠己さん、南果歩さんからはこの日のためのビデオレターが届き、会場を沸かせた。
加瀬亮さんのビデオコメント
「陽の目を見ない生活や想いを演じたくて、映画をやっています。この作品では、そういった人たちの息づかいが確かに描けたと感じています。観る人にそれが届くことを願っています。」
三浦誠己さんのビデオコメント
「函館は自分にとって第二の故郷になりました。普段と違って見える街並みや、そこに生きる人たちの表情を見ていただきたい。」
南果歩さんのビデオコメント
「函館の皆さんの心のサポート、フィジカルなサポートがあってこそ完成した映画です。なによりも、『いいものをつくりたい』という気持ち、熱意がすべてフィルムに焼きついていると思う。」
最後に、熊切監督は、「この映画はある種、“街”が主役の作品です。だから、本当にそこで暮らしている人たちを描きたかった。自分にとって、これから進むべき方向が見えた転機となった作品です。これから劇場公開されますが、作品がひとり歩きするまで、もうしばらく見守ってください。」と、最後のアピールを行っ た。

映画『海炭市叙景』は、11月27日(土)から函館・シネマアイリスにて先行公開され、12月18日(土)より、東京・渋谷ユーロスペースほかにて全国順次公開となる。