日本を含む世界の登録者数が5億人を突破したと発表した“Facebook”。数年以内には、登録者数が10億人に到達する可能性があるとも言われている。いまなお急成長を遂げている巨大帝国の裏側と真実に迫る話題作!!

映画『ソーシャル・ネットワーク』記者会見が都内で行われました。

10月25日(月)10:30−11:00@ぺニンシュラホテル

アーロン・ソーキン(脚本) …以下、A
ジェシー・アイゼンバーグ(主演)…以下、J

Q:まず、日本の皆さんにご挨拶をお願いします。

A:日本語のボキャブラリーがなく、話せなくてすみません。今回、日本に来れて光栄です。東京国際映画祭のオープニングでグリーンカーペット歩き、とても感激しました。ジェシーと二人で世界中を(プロモーションのため)回ってますが、日本でもいろんな質問に答えていきたいと思います。

J:日本に来れて光栄です。日本でこの映画を観てもらうのは大切だと思ってますし、また、
日本ですでに試写などでご覧になられている方の、反応がいいと聞いているので感激しています。

O:日本に来て、気に入った場所、食べ物はありますか?
A:ホテルの窓越しだけでしか風景は見られないのですが、それでも、素晴らしいと思います。また、お会いした人もすばらしいです。
J:僕はNYにすんでおり、マンハッタンの日本人がいっぱい住んでいる地区の隣の街に住んでいるので、日本のものに馴染みがあったつもりでしたが。(来日して)本場の日本の食事をし、舌が超えてしまいました。

Q:アーロンさんに質問です。この映画をつくるのにあたり、どういうところに惹かれて、脚本化したのでしょうか?
A:まず、私はファイスブックに惹かれて、脚本化したのではありません。この映画に一番責任があるデヴィッド・フィンチャー監督は「ドランゴン・タトゥーの女」をスウェーデンで現在、撮影中です。彼も日本に来たかったのだけど、来日できなくて残念がってました。そういうことなので、彼のかわりに、僕がお答えします。
まず、この映画はフェイスブックに入っていようがいまいが、楽しめる映画です。
友情、権力、階級、裏切りという古典的なテーマが、フェイスブックという非常に現代的な舞台で繰り広げられているからです。

Q:実在の人物、事柄を書くことについて
A:ノンフィクションを書くとき、僕が気をつけていることがあります。この映画の登場人物は主役のマーク(※マーク・ザッカーバーグ フェイスブック創設者 本作の主人公)以下みんな若い。そんな若い人たちや、大きな反響をもたらすハリウッド映画を書く時は、特に責任があると思っています。事柄、歴史、それに関わる人に対する責任が。医者は害を与えないと言います。私もそれを基準に「物事を作りあげない」、「(実在の人物に)害を与えない」ということを念頭において、脚本を書きます。
そして、アメリカにはそういう法律があります。その法律がなくても、私は(実在の人物、事柄を)傷つけるつもりはありません。

J:マークは既にメディアの注目を集めている存在だったから、僕がこの役をやると決まった時、彼の名前だけは知っていた。しかし、彼自身がどういう人だとか、どういう顔なのかは知りませんでした。現場では「本人の真似をするな、これはフェイスブック自身がテーマでもなく、ましてやマークの映画でない。これは、今、生きている同時代の人々の物語だからと言われました。僕は実在の彼らのことは意識しないで、この映画にのぞみました。

Q:この映画には、ソーシャルネットワーク語録ができるぐらい印象的なセリフが多かったように思えます。 特に好きなセリフは?

A:褒めてくれて、ありがとう。アンチヒーローを書くとき大切なのは—
マークは映画の最初1時間55分はアンチヒーロー。つまり、最後の5分以外はアンチヒーローとして描かれています。しかし、最後の部分で彼が自責をすることで、共感し、尊敬し、弁護し、そして彼を好きになることができます。
私自身がマークと似ているところ、それは、シャイで公の場に来るとぎこちなくなり、自分がはみだしている気がすると感じるところ。それがわかったので、キャラクターとつながり、いい悪いを判断するのではなく、共感をもって書くことができました。
好きなセリフ…私自身、9歳の娘がいる父親ですが、書いたものすべてに対して、私は父親のような存在です。しいて言えば、ジェシーがしゃべったセリフが全部お気に入りかな(笑)。
J:アーロンは僕が一番好きな脚本家です。彼が書いたものは、見るたびにいろんな発見があります。同じものでも、1回目はドラマに見えても、2回目は社会的、3回目には他のものが見えたりします。
好きなセリフはマークの ’I made FACEBOOK’です。このセリフがマークの立場をうまく表現し、かつ知的所有権についての意味を要約していると思います。僕の友達で知的所有権を専門とする弁護士が言っていましたが、「所有権というのはアイディアではなく、それを表現されたものに発生すると。

Q: 映画を観て、この映画は単なるサクセスストーリーでないと感じました。ラストシーンにはどんなメッセージが?
A:脚本家は俳優がどういう表情をするかまでは書けません。ジェシーのような素晴らしい俳優が再現し、人間として素晴らしく演じてくれてうれしいです。
メッセージは言いたくありません。観客が観て、自分で決めて欲しいから。既に、本作は全米で公開されていますが、観た人は同じ映画なのに、違う感想をもって映画館を出てきます。これはうれしいことです。私がメッセージを語ることで、これから見る人に先入観を持って欲しくないとも思います。
J:最後のシーンは(マークが)罪悪感につきまとわれていたからとった行動ではないかな。昔の友人に法廷でひどいことを言われ、まるで自分自身が怪物のようになっていたから、ああいう行動をとったのではないかと思います。

Q:自分が書いた脚本でうまくいったシーン、監督によってうまくいったシーンを教えてください。
A:監督によって、全てのシーンが思い描いたものより素晴らしくしてくれました。
制作はソロでやるより、バンドでやるほうがいいです。(映画のように)グループのほうがいいものが作れると思います。
監督がよくしてくれたシーンとして、ひとつあげますね。
マークがガールフレンドにフラれて寮に戻ってくるシーンです。この時、彼は傷ついて(復讐の)決意を固めています。脚本では、彼の怒りを表現したビートがきいた激しい80年代の曲を想定していましたが、監督は真逆の全く静かなインストルメンタル、シンプルなピアノ曲(「マークのテーマ」)をシーンにつけました。
その曲によって、よりマークの心情、孤独が際立って表現されたと思います。
また同時に、観客はこの話は父親の学生時代の物語でない、現代の物語であることがわかると思います。

Q:フェイスブックを使いこなしていますか?またフェイスブックの他のSNSと違う魅力を教えてください。
J: マークの目からみて答えると…
マークはフェイスブックの排他性に興奮したんだ。そして、それはみんなが求めているものだったので、ビジネスプランとして成功したんだ。僕個人としては、フェイスブックに入っていません。既に俳優として、インターネットには僕の情報が載っているので、今更、自分の情報をのせなくていいと思っています。
A:フェイスブックは使用していません。脚本を書くのにあたり、リサーチ中は使っていたが、今はやめています。フェイスブックの魅力は最初は排他性にあったと思います。それは新しいレストランや初期のシルク・ドゥ・ソレイユの席がなかなかとれないと同じように。しかし今では誰でもとれるようになりました。フェイスブックも最初は「ハーバードという名誉アドレスがないと入れませんでしたが、今では誰でも入れるようになり、人々のコミュニケーションツールになったと思います。

Q:この映画のモデルである実在の人々は映画を観ましたか?また、誰かに会いましたか?
A:実際何人かは会ったし、映画を観てもらいました。エドゥアルドは行方不明で連絡がとれませんでしたが、彼の代理人から連絡があり、彼はプライベート試写で映画を観ました。ウィンクルボス兄弟も何回か観ました。マークは19歳のことを書かれていたので、彼自身、複雑な思いもあったかもしれないけど、私たちにユーモアをもって接してくれました。映画館を借り切って、会社のスタッフ全員に観せて、その後、みんなと飲みにいったそうです。
J:僕のいとこがその貸切った映画館で映画を観たんだよ。僕のいとこはフェイスブックで働いていて、僕とマークの間に入ってくれたんだ。試写の後に、マークが語ったのは、僕の演技に関して、なかなかよかったとのこと。ナイスジョブということだけきいた。本当は、映画の感想を聞きたかったけどな。