「このミステリーがすごい!」第1位を獲得し、映像化を熱望されていた「行きずりの街」が10月9日釜山国際映画祭で上映され、主演の仲村トオルと阪本順治監督が韓国で熱い支持を受けた。
今年で15回目を迎えるアジア最大の映画祭、釜山国際映画祭。仲村と阪本監督は、ビーチでのトークイベントや釜山最大のシネコンでの公式上映後のティーチインに参加した。
仲村は過去に『ロスト・メモリーズ』(04)、『青燕』(05)といった韓国映画に出演経験を持つ。特にチャン・ドンゴンと共演した『ロスト・メモリーズ』は、韓国で最高権威とされる映画賞・大鐘賞助演男優賞を外国人で初めて受賞し、公開当時の韓国で一番メジャーな日本の苗字は”ナカムラ“になったと言われた程の人気を得た作品。今回のビーチイベントでは、ハングル語や英語などで「お帰りなさい」と書かれた手製のうちわを持った熱狂的なファン1000人に囲まれ、会場は一時騒然となった。阪本監督も『愚か者 傷だらけの天使』(98)、『顔』『新・仁義なき戦い。』(00)、『ぼくんち』(03)、『カメレオン』(08)に続き5度目の釜山映画祭参加とあって、2人共に熱烈な歓迎を受けた。
また、トークイベントで仲村は、『ロスト・メモリーズ』で共演したチャン・ドンゴンと再会を果たしたことも明かした。今年5月にめでたく結婚したドンゴンに、仲村がお祝いを渡したいと常日頃から思っていたが、2人とも多忙を極め実現しなかった。今回、新作『The Worrior‘s Way』でドンゴンが釜山入りする情報を得た仲村が、会談をオファーし5年振りの再会となった。仲村はドンゴンに、結婚と第一子誕生のダブルでお祝いの言葉を述べ、記念品を贈呈。ドンゴンも再会を心から喜び、感謝の意と共にお互いの作品の成功を誓った。
更に、韓国の新興配給会社・マウンテンピクチャーズのCEOであるリ・ゼ・シクが公式上映を観て、「韓国映画にはない雰囲気が感じられ、夢を見ているような気分にさせられた」と大絶賛。即刻、韓国配給が決定した。創立4年目のM社は、今年から買付に携わり、『パーマネント野ばら』や『BECK』の配給権も獲得した、韓国でも注目されている配給会社である。

【仲村トオルコメント】
釜山国際映画祭には『青燕』以来5年振り、2回目の参加です。前回は韓国映画で来ましたが、今回は日本映画でここに来ることが出来ました。トークイベント直前には、チャン・ドンゴン氏と5年ぶりにお会いしました。『ロスト・メモリーズ』では本当によく飲みに行き、朝まで付き合わされたこともありましたね(笑)。ドンゴン氏が出演した『グッドモーニング・プレジデント』(10年7月公開)の役柄から、「君が大統領になるとは思わなかったよ」と冗談を言ったら大笑いしていました。『ロスト・メモリーズ』公開時にドンゴン氏と、「また共演したいけれど、お互いそれぞれの国でがんばって、いつかどこかの国際映画祭で作品を持ち寄って再会できたらいいね」と話していたのが、今日遂に叶いました。僕にとってとても記念すべき日になりました!  そして、韓国でも多くの映画ファンに出会えて感激しましたが、観る目はとてもシビア。手を抜いたら見抜かれてしまうような厳しさも感じられました。
【阪本順治コメント】
韓国のお客はとてもアツイ!この印象は計5回参加しているが、何年たっても変わりません。