ガンダムシリーズ19年ぶりの新作として9月18日に公開されました『劇場版 機動戦士ガンダム00』ですが、ガンダム史上初めてとなった地球外生命体の出現や、史上最長、最高クオリティの戦闘シーン、また衝撃のラストシーンなどが話題を呼び、ガンダム最新作の深化を示すエポックとなり、おかげさまで大ヒットと言える成績を収めております。
大ヒット御礼として、水島監督を始め普段は表にでないガンダム00スタッフたちが集まり、00制作の裏側について、あれこれと話すスタッフ座談会を開催致しました。ヒット作を次々と生み出す人気スタジオ:サンライズのガンダムメイキングの秘密に迫まったトークや、ファンから寄せられた質問に答え、熱狂的なファンたちで満員の客席は沸きに沸きました。

日時】 10月11日(月・祝) 
【場所】 シネマサンシャイン池袋2番館
【座談会メンバー】 水島精二監督、角田一樹副監督、柳瀬敬之メカニックデザイン、有澤寛メカニック作画監督、松浦裕暁CGプロデューサー、池谷浩臣プロデューサー
司会:治郎丸慎也 (元アニメージュ編集部)
※本日の模様はUstreamにて生中継されました。URL:http://www.ustream.tv/channel/staff-zadan

【登壇者のコメント】
<座談会>
MC:公開して時間も経ちますが、周りの反応など、いかがでしたか?
柳瀬:泣いたっていう感想をいただきましたね。
監督:面白いこと言えよ!わかんねえとかなかった?いや、分かるように作ったつもりだけどさ。
有澤:僕は、動きが速すぎて見えないっていう声をいただきましたね。
松浦:ELSは早いですね。僕はもうおなかいっぱいで見たくないですね。
監督:CGはすごいって言われるよね。
松浦:CGカットがすごい多くて、多すぎて参っちゃったけど、かなり評価をいただいています。
監督:すごい数でしたもんね。

MC:サンライズ的にはいかがでしたか?
監督:初号を終えてからリテイクしたいと言ったら、もう大丈夫、やるなと言われました。サンライズからの反応もよかったですね。会長にもハグされました。よくここまでやったと褒めていただきました。

MC:モビルスーツの戦闘シーンが話題になっていますが?
柳瀬:絵コンテ見たときにうわあと思いました。
有澤:僕はもうだめだと思った。劇場版は量も多いし、最後になればなるほど壮絶…柳瀬さんのデザインしたモビルスーツは、バンダイビジュアルさんにももう少し装備減らせませんかと聞かれたくらいですよ。
監督:(グラハムが乗っている)ブレイブが小さいのがいっぱいで、(デカルトの乗っている)ガデラーザはでかいのが1つっていう。そういえばガデラーザのサイズは、逆算して絵コンテの中で比較していったら、めちゃでかかったね。
角田:それ僕のせいですね!

有澤:僕はメカのシーンをいっぱい書きました。1900カットのうちの90カットほど描きました。ラファエルが初登場するシーンなど、自分のパートは自分で描きました。
柳瀬:プトレマイオスから出動するところと、映画「ソレスタルビーイング」もやってるよね。
監督:そういえば最初に一人あたりのカット数をきめたのに、守れてないよね。
角田:僕は守りましたよ。
松浦:僕は…軽いトラウマになりましたよ。ELSの描写はかなり多くて、厳しかったです。描ききれないので、制作が進んでいくうちに、「なんでこんなに多いんですか」と。ELSが後ろに何十万といるので。基本的にモビルスーツは手書きで、ELSはCGだったので、演出やコンテとのずれがあったりして、後半はほぼ演出さんとマンツーマンで合わせていく作業をしました。それは本当に大変でした。
監督:本当に対話をしながら作ったね。
松浦:いや、もうあんまり顔みたくない(笑)嘘です(笑)

<質問コーナー>予め募集した質問をここで発表。
MS:ライルのメガネは誰の趣味?
監督:僕です!メガネフェチなんです。スタッフのメガネは僕が買ったんですよ。バカですね!メガネが似合わないって言われる人いますけど、絶対に誰にでも似合うメガネがありますよ!メガネ雑誌にコラム書きたいけど話来ないね。
MS:マリーの民族衣装は?
監督:僕です!アウトドア雑誌をめくりながら決めました。夏フェスにいるお姉さんの格好を真似ました。
角田:高河ゆんさんのデザインは?
監督:ミーナの服は僕がイメージを高河さんに送って、それを高河さんが描いてくれた。高河さんは忙しいから、頼むのも申し訳ないんですよ。こんな仕事を頼んじゃって申し訳ないってね。デザイン頼むとタイミング的に厳しいときは、サンライズでやりました。そこはコントロールできるようにしたので、それで角が立つことはなかったですね。
MC:ライブ感ある現場ですね。
有澤:そうですね
監督:夜中の2時に来てね、とかね。まあ朝方3時4時に監督が現場にいるのは嫌でしょうね!

MC:続編の予定はありますか?黒田さんがティエリアの名前の由来を劇場版で明かすといったのに、無いですがどうなっていますか?
池谷:ティエリアの名前のことは、黒田さんが心に秘めているんです。続編は…声を多くいただいているけれど、今日この時点で決まっていることは無いですね。でも、そういう声は大事にしていかなきゃいけない、と。天から声が降ってきたら考えようかな。
MC:可能性はゼロではないってことですね?
池谷:そうですね。
監督:サンライズに投書とかメールとかお願いします。

MC:ELSに取り込まれた人はどうなったんですか?
監督:成功例の一人はスメラギの艦長になったんだけど、年をとっていないんです。イノベーターになれる因子を持っている人達の中でELSと融合した人は、成功例とダメな例があって。ELSの記憶を受け取りきれなかった人はだめになっちゃうけど、融合してもELSの思いをシャットアウトすることで成功する人、生き延びれる人もいるんです。成功するということは、互いが相互理解することで、あの世界で共生しているということ。刹那の場合はその先を行っちゃったんですけどね。あ、よく言われますがメタルスライムになったわけではないです。

MC:最後の花については?なぜ花?という声が多いようですが、いかがでしょう。
監督:花は万国共通で、平和の象徴だと思うんです。本編でも花を大事に描写していますが、本編の終盤、大きな花が咲いたら、それを観た人間達が「ELSが人類を受け止めてくれた」と思えるようにしました。観客もそう思ってくれるだろうと思いましたが、中には愛のかけはしと思った方もいらっしゃって、逆に驚きました。ELSはとてもシンプルで、「他者のことを知りたい」と思って融合しようとするんです。それで融合するのに、死んじゃう人もいる。それって、演出でルールを決めるまでは大変だったけどね。
松浦:最初は飛び方も悩んでましたよね。シンプルだけに、悩んじゃう。
監督:ELSの1個1個は頭が良くないから集団でくるんだよって。シューティングゲームみたいって言われたけどね。今回は1対1の戦いにならないシチュエーションを考えました。ELSが接触したら取り込まれる(融合する)、っていう方が緊張感があると思いました。緊張感を高めるためにそういうことをしました。先にそれを決めたから、絵コンテ描く人は大変でしたね。

MC:それでは時間になったので、最後に一言ご挨拶お願いします。
監督:今日みたいな感じで非常にざっくばらんに話ができる仲間達と、約1年間真面目にひーこら言いながら作ってきました。上映もあと残り少ないとは思いますが、大きなスクリーンで見れる間に見て頂いて、サンライズになんか続編やれよと投書をしていただきたいなと思います。10年くらい経ったら急に外伝とかやるかもね。今回の劇場版の空白の時間について発表できるかもしれないしね。今後とも末永くよろしくお願いします。