現在9/11(土)〜9/24(金)の期間限定で20:45〜レイトショー上映している映画『精神』に際しまして、NY在住で現在来日中の想田和弘監督が登壇したティーチ・インが9/21、22に行われます!
既に9/16日(木)に行われた第一回目のティーチインの模様は下記の通りです。
想田監督は『精神』上映終了後23:00から皆様の拍手に迎えられて登場。約20分間のティーチ・インは大変白熱するものとなりました!

Q(来場者1):自分は精神科医ではないが医者です。この映画の中に出てくる先生は患者さんの話を受け止めてしっかりと聞いている素晴らしい方。自分が・・・と想像すると患者さんに対していろいろな意見を言ってしまいたくなりそう。監督は撮影しながらそのような感覚になりませんでしたか?
A(想田監督):自分は映画作家として、患者さんをどうこうしたいというよりも、優れた映画を撮りたいという気持ちで撮影に臨んでいたので、患者さんに対して意見を言いたいなどとは全く思わなかったです。
Q(来場者2):観終わった感想としては、正直疲労感というか・・・。患者さんたちがはたしてどこに行きつくのか・・・自分ではどうする事も出来ないというような感じがしました。監督は撮っていてそういうのはありませんでしたか?
A(想田監督):ありました。実際、作品の完成を待たずに自ら命を絶たれた方もおられて、本当に辛い気持ちにもなりました。でも、長年病気と格闘する過程で人生観を深め、豊かな生き方をされている方もおられるし、悪いことばかりではないなあとも思いました。
Q(来場者3):最後のシーンを観ると、健常者と言われるの方と当事者の方にやはり壁があるのかなと感じました。監督は、当事者の方々と接する上でとまどいはありましたか?
A(想田監督):撮影している時よりも、公開時の方がそれはありました。映画に思い切って出たのはいいけれど、公開が近付くにつれ不安が増幅し、激しい感情を僕や周囲にぶつけてくる方もおられましたし、公開をやめた方がいいんじゃないかって本気で考えました。でも、不安になられた患者さんに手紙を書いたり、会いに行ったり、山本先生がフォローしてくださったり、他の患者さんたちが揺れている患者さんの相談に乗ってくれたりして、最終的にはみんなで危機を乗り越えて公開にこぎつけました。
Q(来場者4):監督が映画を撮る前と撮った後。何か変わった事はありましたか?
A(想田監督):いろんなことが変わりましたが、一番大きく変わったのは僕の考え方かもしれません。例えば、撮影前は、患者さんのことを無意識に「弱者」であると考えていましたが、なかには病によってある意味で強くなる人もいることに気づきました。また、病気とはネガティブなものであり、「治す」ことが問題の解決だと以前は考えていましたけれど、この映画を撮ってから、まあ、治ることに越したことはないのかもしれませんが、たとえ治らなくても病気と共にうまく生きていく方もいらっしゃることに気づいた。つまり、病気という現象を活かすも殺すも、ある意味その人次第なんだなあ、と。そんな風に考えが変わりましたね。

時間の都合で、質問は以上で終了。しかし、劇場を出た後には深夜にもかかわらず、監督ともっとお話したいという観客の方でいっぱいとなりました!

『精神』渋谷・イメージフォーラムでの限定上映は、9/11(土)〜9/24(金)連日20:45よりレイトショー
想田監督のティーチ・インは9/16,21,22の3日間、いずれも『精神』上映終了後に開催!