アレックス・ギブニー、ヴェルナー・ヘルツォーク、チャールズ・ファーガソン、エロール・モリス、リン・ハーシュマン、フレデリック・ワイズマン、河瀬直美など、そうそうたる監督たちが名を連ねた、第35回トロント国際映画祭のドキュメンタリー部門「Reel To Reel」。
そこに招待作品としてラインナップされた、『ANPO』のワールドプレミア上映が、現地時間9月12日(日曜)の17:15から行われた。200人以上の観客が集まり、リンダ・ホーグランド監督の舞台挨拶も含め、上映後には大きな拍手が続いた。

日本映画の評論で知られるクリス・マッギー氏は、「日本で生まれ育ったアメリカ人である、リンダ・ホーグランドにしか成し得ない作品。『ANPO』は芸術と歴史のロゼッタ・ストーンと言える」と語り、ホーグランド監督は、「日本の若い人たちに、彼らの国にもこういった抵抗の歴史があったということを知ってほしい」と舞台挨拶で語った。

観客の多くは、芸術(アート)に反応して観に来た人たちのようで、Q&Aセッションでの観客からの最初の質問は「展覧会はいつ開く予定ですか?実際に絵画を見るのが待ち遠しいです。」というものだった。

『ANPO』の日本での劇場公開は、9月18日より渋谷アップリンク、横浜シネマ・ジャック&ベティにて。全国順次公開。

※トロント国際映画祭公式サイト 『ANPO』ページ
http://www.torontointernationalfilmfestival.ca/filmsandschedules/tiff/2010/anpo

リンダ・ホーグランド監督
日本で生まれ育ったアメリカ人。黒澤明、宮崎駿、深作欣ニ、大島渚、阪本順治、是枝裕和、黒沢清、西川美和等の
監督の映画200本以上の英語字幕を制作している。日米の狭間で育まれたバイリンガルな目線で本作を制作した。

[監督コメント]
世界的に日本の近代アートは映画を含めて高く評価されていますが、露骨に戦争の記憶や米軍基地問題と向き合った作品は殆ど知られていません。私は、世界にこの素晴らしい「文化遺産」を紹介したいと思ったと同時に、日本の若い人にも知って欲しいと思いました。日本にも「抵抗」の歴史があり、その「抵抗」を世界級のアートとして表現し続けているアーティスト達がいることを。

─ リンダ・ホーグランド(『ANPO』監督)