ヴェネチア国際映画祭:ソフィア・コッポラ最新作「SOMEWHERE」(原題)記者会見
9月1日より開催中のヴェネチア映画祭にて、ソフィア・コッポラ監督作『SOMEWHERE』の公式記者会見が9月3日(金)13時より行われ、ソフィア・コッポラ、主演のスティーヴン・ドーフ、エル・ファニングが登壇しました。
ワールド・プレミアとあって会見にはプレス・スクリーニングを終えた世界各国のプレスが多数参加。
ソフィア・コッポラは、幼いころよりよく訪れていたイタリアの地でワールド・プレミアできることを幸せに思うと、感慨を述べた。
出席者:ソフィア・コッポラ(SC)、スティーヴン・ドーフ(SD)、エル・ファニング(EF)、ロマン・コッポラ(プロデューサー)他
Q:ドーフとジョニーマルコの共通点について
SD: 正直言って僕は車の運転はそんなに好きじゃないんだよ。僕との共通点はもちろんあるよ。僕はこの主人公のように俳優をしているし、ほとんどの時間を映画撮影に費やしているからね。ジョニー・マルコとの違いは、僕はこの業界の中で育った人間だってことかな。ソフィアとの話し合いの結果、この人物が有名になったのは2年くらい前からってことになったんだ。そして、ものすごい孤独感に襲われている。すごくリアルに描かれていると思うね。俳優として、この映画に出演できたことはすばらしい体験になったよ。エル・ファニング、ソフィア・コッポラ、ロマン・コッポラたちとのチームは本当にすばらしかったね。みんなが一生懸命に関わってくれたんだ。撮影が終わった時はすごく寂しくなったね。3ヶ月間一緒に俳優たちと仕事をしているってことは特別なことなんだよ。僕は毎日オフィスワークをしに、会社に行っているわけではないからね。次の映画が始まるまで、空虚な気分になるんだよ。感情の流れ方、脚本の描かれ方もすばらしかったし、特出した才能の監督との仕事だったしね。グラチエ(イタリア語でありがとう)
Q.ドーフさんへの質問です。なぜこのジョニー・マルコという役を演じることを選択したのですか?ソフィア、なぜ彼を主役に選んだのですか。
SD:この脚本を読んだときに、これは今の僕にぴったりな役だと思ったからだよ。それにソフィアから何かを学びとりたかったから。ソフィアは僕のことを支持してくれていたし、今この時期にこの役をやるということはパーフェクトなタイミングだと思ったんだ。だからどうしてもこの役をやりたいって気持ちにかられたんだよ。
SC:この脚本を最初に草稿したときに、スティーブンのことが頭に浮かんだの。彼はすごく才能ある俳優であると同時に、暖かいハートの持ち主なのよ。その部分がこの役を演じてもらう上でとても重要な要素だった。だから彼とエルが演じているシーンにほのかな暖かさが生まれてきたのだと思うわ。
Q.監督のソフィアへの質問です。あなたは監督として、メジャーではなく、インディーなジャンルの作品、そのような俳優たちと仕事をしていきたいと思っているのですか?
SC:どんなジャンルの映画なのか、なんてことはちっとも考えていないわ。自分が興味を惹かれるものを作っていきたいと思っているだけよ。特にそういうことは意識していないわ。
Q.ソフィアへの質問です。この映画のテーマはあなた自身が考えてだしたものであり、前作の『マリー・アントワネット』よりも小規模な作品であり、ロケもロサンジェルスになっていますね。それにエルを主人公の娘役に選んだということはとてもすばらしい配役だったと思います。その辺の心境についてお話していただけますか?
SC:自分が幼いときのロサンジェルスの思いでを今の時代で再現してみたかったの。エルは実際に会ってみて、すごくいきいきとした女の子で、年齢的にもこの役にパーフェクトだって思ったわ。
Q.『ロスト・トランスレーション』でもこの映画でも水のシーンが出てきますが、これは何を意味しているのでしょうか?
SC:あら、そんなこと深く考えてみたこともなかったわ。私がこの映画の中で特に気に入っているシーンは、二人でプールにいるシーンなの。とても心暖まるシーンよね。でも深く考えてことはなかったわ。もし、何かを象徴しているだとしたら、それはピュア(純粋さ)ってことだと思う。
Q.俳優として大成功しているのに、主人公には心の葛藤がありますが、娘が訪ねてきてくれたことで、彼は心のシグナルを感じ取ったのでしょうか。
SC: この主人公は非現実的な世界の中にいるのよね。すべてがうわべだけの虚構の世界の中にどっぷりと浸かっているんだわ。そんな非日常的な生活に娘が入り込んできて、彼は現実を直視することができたというわけね。
Q.ソフィアへの質問です。ホテルのシーンは『ロスト・イン・トランスレーション』の中にも多く出てきましたが、あなた自身はホテルに滞在するのは好きですか?主人公は好感持てる男性ですが、なぜ、ポールダンサーなど特殊な職業の女性たちを登場させたのでしょうか。
SC:自分が子供の頃、父親のロケ先に同行してよくホテル暮らしをしていたのよ。まさにそこでは興味深い人たちがホテルで暮らしているってことを発見したわ。そこには共同で使える場所もあってコミュニティーができあがっていたの。でもそれを女性ではなく男性の目から通してみてみたかったの。
Qソフィアへの質問です。あなたは幼い頃よく、イタリアへいらしていたといういことですが、この映画でまたイタリアへ戻ってきてみてどんなお気持ちでしたか?
SC:この映画をベニス映画祭でプレミア上映できることでとても幸せに思うわ。
Qエル・ファニングへの質問です。朝食の時のシーンで父親がブロンドの女性と一緒にいる飲みて、どう思ったのでしょうか。
EF: この女の子は父親がいつも女性に囲まれているってことをよくしっているのよね。なぜなの、私はいつもお父さんと一緒にいたいのよってことを彼女なりに主張しているのよね。
Qソフィア、あなたはこの映画を撮影中、妊娠していたそうですが、それはどのような影響を作ふうに与えましたか?
SC:撮影中に妊娠していて、ポストプロダクションの時にはその子は生まれていたのよ。だから、脚本を書いたときと、この映画を撮り終えた後では状況が違っていたの。その事実は大きなインパクトがあったし、このストーリーに大きく影響していると思うわ。
Qこの映画は現代社会の中の孤独感や、悲劇というものを見事にとらえていると思います。このようなすばらしい作品を作ってくださったことを心から感謝します。
(場内大拍手となる。)
SC:どうもありがとうございます。
Qエル・ファニングに質問です。この女の子 には普通の女の子という感じがあります。尖ったエキセントリックさがないところが好感もてますが。どのようにこの役作りをしましたか?
EF: 彼女はすごく普通の女の子だと思うの。父親とホテル暮らしをしながら、ここに母親がいてくれたら、両親が一緒に暮らしてくれていたらどんなにすてきなことかって思っているのよね。外見的にも普通の女の子だけど、内面も本当に普通の女の子なのよね。とにかく両親がまたよりを戻してくれることを心から願っている子なんだと思うわ。
Q(質問が不明)
SC:私は人間の孤独さとか、孤立感というものにとても惹かれているみたいね。