▼ジャッキーへの質問:師匠役をオファーされたときの感想は?
ジャッキー:
最初ウィルから電話があったとき、自分としてはしっくりこない感じでした。でも脚本を読んだらとても良かったので、「誰が師匠役をやるの?」と聞いたら「君だよ」と言われて(笑)。僕も随分と歳をとったもんだなと。ジェイデンが何度もテイクを重ねている間、自分はそれをただ見ているだけで、師匠って楽だなと思いました。ジェイデンがジャケットを着たり脱いだりするのを見ていたら、すぐにランチ!ってね。ジェイデンの姿は、若い頃の自分を見ているようでした。だからきっとジェイデンもいずれは師匠になれるでしょう。今回は皆さんにいつもと違うジャッキーを見せられて本当に本当に嬉しいです。これまではアクションやコメディで“演技ができるファイター”だったけれど、この映画では違う。僕はずっと“闘える役者”になりたいと思っていました。演技者として嬉しい経験でした。

ジェイダ:
マスターであるジャッキーの仕事ぶりをこの目で見ることができたこと、さらにはそのジャッキーと息子が一緒に仕事をしているのを目の前で見れたことは、本当に光栄ですばらしい経験でした。

▼ジェイデンへの質問:ジャケットを脱いだり着たりする修行シーンは苦労したのでは?
ジェイデン:
確かに難しかったです。あのシーンはジャッキーと初めて一緒にやったシーンだったから。最初はもしかしたら厳しく痛めつけられるかも…とちょっと怖かったけど、今となっては一番好きなシーンのひとつです。

▼ジェイデンへの質問:ジャッキーを「中国のお父さん」と呼んでいるとのこと。ウィルとジャッキー、二人のお父さんの違いは?少し緊張してる?
ジェイデン:
ジャッキーは僕にカンフーを教えてくれた。僕の本当のお父さんは黒人で、ジャッキーは違う。それが一番の違いです(笑)。インタビューであまり緊張しません。日本に来れて嬉しいし、今は楽しんでます。

▼ウィルとジェイダへの質問:ジェイデンのキスシーンはどんな気持でみていた?
ウィル:
その日現場にいたのはジェイダだったから、責任をもって見届けるのは彼女の役目だったんだ。何かアドバイスをあげたんだっけ?

ジェイデン:
ひとつだけ、「口を開けるな」というアドバイスはあったよ。

ウィル:
ああ、そのアドバイスは『7つの贈り物』でも僕とロザリオ・ドーソンとのキスシーン前に、ジェイダから同じことを言われたよ。

ジェイデン:
お父さん本当に口をつぐんだ方がいいよ(笑)。

ウィル:
確かに口は閉じた方がいいね。なんでかって言うと、実際やってみるけど…(ジェイダにキスをせがむウィルに会場は爆笑)。

ジャッキー:
僕はその場にいたんだけど、とにかくそこでじっとしてろと伝えました。最後には「いいよ、僕がやってあげるよ」と言ったんですよ(笑)。

▼スミス家はかかあ天下?亭主関白?
ジャッキー:
僕は言えないよ(笑)。一見ウィルがリードしてるように見えるけど、実はジェイダが引っ張っているんだ。今回はとにかくスミス家と一緒に仕事ができて嬉しいです。たくさんのハリウッド作品に出演してきたけど、プロデューサーがこんなに現場に来てくれるのは初めての経験でした。他のプロデューサーもこんな感じだったらいいなと思います。この作品は世界中で大ヒットしています。それはジェイデンと僕ががんばったというのもあるけど、プロデューサーの力が大きいと思います。(ウィルに向かって)パート2もよろしく。

▼ジェイデンへの質問:プロデューサーとしての父親はどうだった?ウィルとジャッキー、どちらの方が一緒に演じやすい?

ジェイデン:
プロデューサーとして家族が現場にいるのはやっぱりクールだよね。でもときどき「宿題やった?」とか言われるのはイヤだったな。演技がしやすかったのは…ジャッキーはアクションをとてもハードに教えるし、お父さんはお父さんでたくさんのことをやれと言うし、両方とも演技しづらかったです(笑)。

ウィル:
今ご覧になっているみたいに、ジャッキーと僕との間でまさにサンドイッチ状態だったから、本人にはプレッシャーだったかな。ジェイデンはがんばり屋だし、ものすごいポテンシャルを秘めているんです。だから最高の彼を引き出したいとついつい僕ら3人で彼をがんばらせてしまったんだ。

ジェイダ:
私は外してよ(笑)。

ウィル:
実際にジャッキーと話していたんだけど、僕らはジェイデンのことを子供扱いしていない。小さな大人として扱っていたんです。彼は自分の人生に責任を持っているし、ゆくゆくは僕らの人生も支えなければならない。まるで狩りを教えているような感じだね。俳優であるということがどういうことかだけでなく、世界で価値ある存在にいかになるか、そのためには血と汗がにじむ努力をしなければならないってことを常に考えてもらいたいと思っています。

ジャッキー:
ジェイデンとは最初から最後まで1年間一緒にやりましたが、彼のような才能ある人に会ったことがないですね。撮影が終わってから彼に伝えたのは、ぜひトレーニングを続けてほしいということ。アメリカでもいいし、中国でもいい。もし中国で続けるなら僕が養子にするよと。もしくは僕がスミス家の養子になろうかって(笑)。この映画のプロモーションでヨーロッパも回ってきたけれど、もう僕はジャッキー・スミスです(笑)。

▼ジェイデンへの質問:小さい頃から空手を学んでいたとのこと。今回カンフーをやってみた感想は?
ジェイデン:
カンフーは僕が想像してたよりずっと難しかったです。空手を習ってきたけれど全く違う。最初は正直大変だったけれど、ジャッキーのスタントチームと楽しんでトレーニングできました。

ジェイダ:
ジャッキーのスタントチームのマスター・ウーさんが教えてくれました。短期間にも関わらず、5年分成長したんじゃないかと思うくらいの上達ぶりで。それはジャッキーと彼のチームがいかに優秀かということを証明しているんだと思います。

ウィル:
ハイキックのシーンをみたときに「この映画のイメージはこれだ!」と思いました。

ジェイデン:
ハイキックのために、最初は股割りから始めて、1か月でできるようになりました。そしてマスター・ウーの指導でハイキックもマスターしたんです。

ウィル:
自分の部屋で涙をぽろぽろと流しながら練習しているジェイデンを見ました。そのときの彼の「絶対にやりたいんだ!」という熱意に感動しました。

ジャキー:
自分が若い頃はトレーニングをしたくなくて、棒を持ったマスターに無理やりやらされてました。でもジェイデンにはやりたいという気持がある。
だからジェイデンはウィルとジャッキーを合わせたようなスターになると思う。

▼続編はありますか?あるとしたら舞台はどこに?

ウィル:
実際に続編の話はしています。ここまで成功していると、次はオリジナルとどう違うものをつくるかというのが難しいし、怖くもあります。でもオリジナルにリスペクトを払いつつ、新しいものをとりこんでアグレッシブにトライしたい。なので日本も含め世界のどこも舞台になる可能性はあると思います。アーティストとして子供に教えているのは、ただ映画をつくるのではなく、世界が少しでも良くなっていくものをつくるべきだということ。何かそういった価値のある宝物を早く見つけたいです。