7月23日(金)、第32回ぴあフィルムフェスティバルの招待作品として、映画『ヘヴンズ ストーリー』が東京国立近代美術館フィルムセンター大ホールにてプレミア上映され、瀬々敬久監督とはじめ、出演者の寉岡萌希、忍成修吾、村上淳、山崎ハコ、菜葉菜、江口のりこ、栗原堅一、大島葉子ら総勢9名による上映前舞台挨拶が行われた。

本作は、 上映時間4時間38分にも及ぶ、全9章の物語で構成される意欲作。キャストの登壇前に、まず監督から、「1年半をかけて撮影したこの映画と共に現実を生きた」仲間としてキャストが紹介された。

監督が役柄と共に一人ずつを紹介する形で行われたキャストによる挨拶では、主演の寉岡萌希が「ここまでの長編になるとは思っていなかった」と映画の長さに驚いたと語り、初の映画出演となった伝説のシンガー山崎ハコの「とにかく出演できたことが嬉しかった」、江口のりこの「瀬々さんの映画に出たかったので嬉しい、映画も面白かった」、といった監督へ賛辞から、菜葉菜の「撮影中は監督に人間否定をされてとにかく苦しい現場で、監督のことが大嫌いだった、でも私はMなので調教されて嬉しかった」、忍成修吾の「追加台本のFAXが大量で大変だった」といった恨み節まで、大勢のキャストが登壇したならではの様々な感想が述べられた。また、映画好きの村上淳が「最近、毎日のようにPFFに観客として映画をみに来ているので、その舞台にゲストとして立っていることが嬉しい」と述べる一方、本作がデビュー作となった栗原堅一は、「足が震えるほど緊張している」、という初々しさを見せ、河瀬直美監督最新作では主演をつとめる大島葉子は、まだ映画を見ていなかったので「(むくみ防止の為に)足の指を動かしながら一緒に映画をみましょう」と観客に呼びかけた。

瀬々監督が、現実の事件にインスパイアされて製作した作品ということで、演じるうえで意識したことはあったか?という問いに対しては、山崎ハコが「すごく勉強して知識を入れた」と語る一方で新人栗原堅一は自分と全く異なった役柄を演じる上で忍成修吾出演の映画「バトルロワイヤルⅡ」を観た、と語ったが、ヤンキー映画の参考としてみたようで、「違うだろ」と全員に突っ込まれていた。

また、この映画に出演したことによって、「ニュースを身近な問題として考えるようになった」(寉岡)、「犯罪が起こった時に、その犯人や被害者本人だけでなく、その周りの人のことも見るようになった」(菜葉菜)、といった映画のテーマを真摯に受け止めた発言もあった。

全9章がからまりあいつながっていく物語ということもあり、撮影中はキャストが集合することはなく今回の舞台挨拶が、キャストが勢揃いした初お目見えとなったが、和気藹藹と行われ、また全キャストが口をそろえて、映画を見たあとに持って帰れるものが必ずあると思う、と語ったのが印象的な舞台挨拶となった。

10月、ユーロスペース、銀座シネパトス他全国順次ロードショー!!