人気絶頂の中、惜しまれつつも2010年6月にAVを引退し、本格的に女優として活動を行うと発表した、国民的AV女優みひろ。そんな彼女の今まで語られることになかったAV女優の道を選んだ真相、そこに秘められた強い決意と、不安や葛藤が赤裸々に描き出された私小説「nude」が待望の映画化となり、9月18日より、シネマート新宿ほかにて全国順次公開の運びとなりました。

登壇者は、『東京大学物語』(06)でデビュー、『リアル鬼ごっこ2』(10)、『アウトレイジ』(10)などに出演、本作で映画初主演となる渡辺奈緒子、『童貞放浪記』(09)、『結び目』(10)の小沼雄一監督、そして、6月にAVを引退し、本格的に女優として活動を行うと発表した、原作者みひろ。

『nude』舞台挨拶付完成披露試写会
【日時】7月13日(火) 18:30〜
【会場】シネマート六本木ホール (東京都港区六本木3−8−15シネマート六本木3F)
【登壇者】 渡辺奈緒子(25)、小沼雄一監督(44)、 みひろ(28)

MC:それでは早速、ご登壇の皆様にお一言ずつご挨拶をいただきたいと思います。
●渡辺:今日はわざわざお越し頂きまして、ありがとうございます。今年に入ってからこの話を頂き、5月にクランクインして今日の完成まであっという間でした。本当に撮影は一日一日が苦しかったですが、初めての主演で、私にとって思い出深い作品になりました。
●監督:雨の中、ありがとうございます。みひろさんの小説を読んで面白かったので映画化したいと思いました。期間も短くて大変でしたが、いい作品になったと思います。
●みひろ:先輩女優を演じました。体調管理ができておらず風邪をひいてしまってこんな声でごめんなさい。まさか私が書いた小説が映画化するなんて驚いています。夢みたいです。昨日作品を観させていただいたのですが、渡辺さんの表情がすごくて演技が心にしみました。皆さんもどうぞ、最後まで見てください。

MC:小沼監督、本作『nude』はみひろさんの自伝小説「nude」を映画化した作品ですが、映画化しようとしたきっかけと主演に渡辺さんを選んだ理由を教えてください。
●小沼監督:みひろさんのことは前から知っていて、演技力がすごい子だと映画業界内では有名なんです。なので、いつかキャスティングしたいなぁと思っていました。彼女が小説を出しているのは知らなかったんですが、僕とよく仕事を一緒にする助監督が、実はみひろさんの事務所の社長の弟で、彼女が自伝をだしていると聞き、小説を読んだんです。若い方が書いた作品で技術的には劣りますが、正直に書いているところがストレートに伝わり、そこが非常に気に入りまして、映画化するにはもってこいだと思いました。渡辺さんを主演にしたのは、プロデューサーの推薦で、すごくいい女優さんがいるということで、紹介された月刊渡辺奈緒子を見たのがきっかけなのですが、彼女は実は芯の強い女性で、まったくへこたれない。こういう人でないとこの役は出来ないと思いキャスティングしました。

MC:主演の渡辺奈緒子さんにお伺いさせて下さい。今回、AV女優役ということで、当然AV撮影シーンなど、大変な撮影現場だったと思います。この役を引き受けた理由と、撮影中大変だったことを教えて頂けますでしょうか?
●渡辺:脚本を読ませていただいた段階で、自分も女優として葛藤する心情とかが共感できたので、みひろさんに感情移入して涙が自然と出てきました。その思いを大切にしながら演じようと思ったんです。私は演技もまだまだ未熟ですので、とにかく、みひろさんの気持ちを演技ではなく、感じたまま表現したいと思いました。AVシーンもあるから大変な現場になると言われたのですが、そういうのは抜きにしても、真っすぐ歩く女性の姿にすごく引かれましたし、この役を演じたいと思った気持ちを大事にしてこの役をやらせていただきました。すごく私にとっては愛おしい作品になりました。
監督と“嘘をつかない”と約束したんです。演技ではなく、一人一人と会話するようにと演じるようにと言われました。本当のAVのシーンでは、スタッフがいる状況でしなくてはいけない。その感情を味わわせるため、監督はわざとスタッフをたくさん撮影現場に入れて撮影をしたんです。その時は、本当に戸惑いましたし、監督はひどいなと思いました。でも完成した作品をみるととても困った表情になっていたので、監督の演出は間違いないなと思いました。
●監督:渡辺さんは、今はこうやって謙虚にふるまっていますけど、実は非常に芯の強い、負けん気の強い女性なんですよ。みひろさんの人生を演じるのに小手先だけでは無理だと思いました。相当いじめましたたけど、全然こたえない!!その芯の強さがよかったですね

MC:続きまして、原作者であり、本作のモデルとなったみひろさん。映画化されると聞いた時の感想と自分を演じられるということについてどんな感じでしたか?
●みひろ:小説は2年かかって書いたんですが、書いている途中にマネージャーさんに冗談半分で、ゆくゆくは漫画化されたり、映画になったらすごいよね、と夢物語のように語っていました。それがまさか本当に映像化されるなんて夢にも思っていませんでした。昨年、ネージャーから映画化されるかもしれないという話を聞いて、思い描いた夢が実現するのを目の当たりにし、心の底からうれしかったです。渡辺さんと一緒に出演するシーンがあるんですが、どういう様にふるまっていいのか戸惑ってしまって、監督に演出をしていただいて何とか乗り切りました。どうでしたでしょうか、監督?(笑)
●監督:みひろさん本人がここにいる、という説得力。そして演技を超えた存在感が、渡辺さんにも伝わって良かったと思います。

MC:自分の役を演じられた、渡辺さんい対してはどのような印象をお持ちですか?
●みひろ:渡辺さんは、あまりセリフを語らず表情で想いを伝えるというシーンが多いんですが、目が素敵な女優さんだなと思いました。言葉ではなく気持ちで演技する姿にすいこまれるようでした。
●渡辺:わたしもみひろさんに初めて会った時から、こっちが引き込まれる感じでした。先輩女優として演技するみひろさんの目は、何というかすべてを悟ったような目で、余計にもっと私がみひろを演じようと思わされました。

MC:最後に、これからご覧いただく皆様へ向けて渡辺奈緒子さんからメッセージを頂けますでしょうか?
●渡辺:この作品は短い期間の中、スタッフ全員が一切手を抜かずにつくりました。一人の女の子が前を向いて歩いていく姿を観ていただければと思います。本日は本当にありがとうございました。