映画祭も後半戦に突入した18日(火)。“コンペティション”部門では、フランスの俊英グザヴィエ・ボーヴォワ監督の『オブ・ゴッド・アンド・メン』とイランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督の『サーティファイド・コピー』が正式上映。特別上映部門では、スティーブン・フリアーズ監督の『タマラ・ドリュー』とアンドレイ・ウジカ監督の『ニコラエ・チャウシェスク自伝』、そしてリオ・デ・ジャネイロで開催されたスラム育ちの若者たちのための脚本と映画制作のワークショップから生まれた5編のオムニバス作品が上映された。
 また“ある視点”部門には、ライアン・ゴスリング&ミシェル・ウィリアムズ主演で話題を集めたデレク・シアンフランス監督の『ブルー・バレンタイン』(日本での公開も決定!)が登場。

 映画祭8日目の19日(水)。“コンペティション”部門では、韓国のイ・チャンドン監督の『ポエトリー』とウクライナのセルゲイ・ロズニツァ監督の『マイ・ジョイ』が正式上映。特別上映部門では、オタール・ロッセリアーニ監督の『シャントラパス』、そして上映時間が何と5時間33分にも及ぶオリヴィエ・アサイヤス監督の『カルロス』(ベネズエラ出身国際的なテロリスト、イリッチ・ラミレス・サンチェス、コードネーム“カルロス”の姿を描いた作品)が上映された。
 ところで、カンヌの公式部門(コンペティション、招待上映、特別上映、ミッドナイト上映、ある視点)の上映作品は、見逃した人(あるいはもう一度見たい人)のために後日、再上映する“デイ・アフター・スクリーニング”というシステムがある。映画祭の登録バッチがあれば入場できるので便利だが、やはり人気作はあっという間に満員御礼となるので長時間並ぶ覚悟が必要だ。
 ちなみに19日は、11時半からスタートする『ポエトリー』の公式記者会見をパス、11時から上映されるフレンチ・スリラー『ブラック・ヘヴン』(正式上映は16日の午前0時半から行われたミッドナイト上映作)をパレ・デ・フェスティバルの5階にある会場ブニュエルにて鑑賞したが、なかなか見応えがある作品だった。

◆さすがはカンヌ! あの大物ミュージシャン、ミック・ジャガーも現地入り!!

 “監督週間”部門では、注目されていたローリング・ストーンズの61分のドキュメンタリー映画『Stones In Exile』(日本では7/12公開!)が、ついに登場。この作品は、税金問題を契機にとしてイギリスから南仏への“亡命”を余儀なくされたストーンズが、カンヌ近くにあったキース・リチャーズの別荘の地下の劇場で「Exile on Main Street」をレコーディングした1972年当時の様子を追ったもの。上映は17時と19時半の2回、行われたのだが、どちらも上映会場(ホテル、パレ・ステファニー内)前は長蛇の列となった。さらに、17時の回の上映後には監督とミック・ジャガーの記者会見が特別会場(監督週間の通常の記者会見場は収容人数が少ない為)で行われたのだが、入場できない記者が続出。正式上映の19時半の回にはミック・ジャガーらの舞台挨拶があるというので、会場前はさらに黒山の人だかりとなり、警備員も大増員。一目でも大スターの姿を見たいというファンや観光客でごった返していた。
(記事構成:Y. KIKKA)