東京と広島の上映も好評のうちに終了となった『戦闘少女』。現在公開中の大阪/シネ・ヌーヴォ、福岡/天神シネマに続いて6/26より岡山/シネマクレール丸の内、7/3より神戸アートビレッジセンター、7/7より京都みなみ会館の公開が始まる。
今回は、6/5土曜日、大阪・シネ・ヌーヴォにて行われた『戦闘少女』舞台挨拶の様子を再録!

登場したのは井口昇監督と西村喜廣監督。そして『片腕マシンガール』『ロボゲイシャ』で今や井口作品に欠かせない俳優である大阪出身の島津健太郎さん。舞台挨拶前にUSJでアトラクションを楽しんできたという3人は、そのテンションのままスタート。低予算や表現自粛の流れと戦いながら独自の画作り、見せ方にこだわってきた2人の監督ならではの自信が伺えるオープニングトークとなった。

●●3Dは奥行きじゃなくて飛び出しだよね!●●

西村:やっぱり3Dは奥行きじゃなくて飛び出しだよね!
井口:心の中では3D映画のつもりで作っています!気持ちで立体視していただくと、飛び出してくるはずです。
西村:『戦闘少女』は高崎で1週間泊まりの撮影したんですよ。ホテルのリラクゼーションルームに眼の疲れを安らげる立体の映像があって、本当はメガネを掛けて見るものなのに、独りで、ずっと寄り目で見ている男がいて(笑)
井口:ずっと心の目で見ていると、何もないものが5日目くらいで完全に立体に見え始めて、その後そのまま演出したのがこれから観る『戦闘少女』です。心の3D。アバターより飛び出して見えます!
前日は名古屋のシネマスコーレでの舞台挨拶を終えたばかりの3人。
島津:名古屋では終了したのが12時半。それからお客さんも残って一緒に飲んで3時半。ホテルに戻ったのが4時半でした。
西村:大阪でも、怒られてもちょっと長くやろうかな。
井口:一風変わったアイドル映画だと思いますが、楽しんでください。

●●実は天狗フェチ・井口監督●●

本編上映後、イベントにはふんどし姿が正装になっている井口・西村コンビだが、今回は腰にUSJのジョーズタオルを巻いただけの姿で再登場。タオルの下は誰も望んでないまさかのノーマーク状態。冷静に着衣のままの島津さんと共に、観客からの質問コーナーがスタート。

Q1:『ロボゲイシャ』でも天狗が登場しましたが、何故天狗なんですか?

井口:天狗が好きなんですよ。子供の頃、父親と高尾山に登った時、ビンボーだったんですけど、何故か買ってもらったのが天狗のお面。
天狗ってカッコイイなってずっと思ってたんですよ。海外には狼男とかフランケンシュタインといったその国のモンスターがいますよね。日本のモンスターは天狗なのに、意味としては鼻が男性器をイメージしたり結構ヤバイ。天狗を世界に広めたいですね。天狗三部作のこれが二部作目。今、将軍の鼻が実は天狗だったっていう特撮時代劇を考えています。『エルトポ』と時代劇が合体したアングラ時代劇です!

●●ひらめきと気合の人・「ノー・プラン!」坂口監督●●

Q2:商店街のシーンでヒロインが血を浴びるのに服がきれいなのはネライですか?

井口:衣装香盤表的なこともあるけど、ネライも結構ありますね。あのパートは坂口拓さん。
西村:あれおかしいよねー。バラバラに撮っているので、血が繋がらないということで全部きれいになっちゃった。
井口:拓さん、今日いないから言うけど、何も考えてない。よく言ってたのが“ノー・プラン!”(笑)。いきあたりばったりで現場でどんどん撮影カットが増えていくので、今何を撮っているか分からない。
島津:僕が登場する冒頭のシーンの”新小岩で開眼したウクライナ剣術”はその場で言われたセリフ。津田寛治さんの”沖縄カラテ”も同じ。拓くんはそういうのが多い。その日の天候と気温、湿気っぽいものが関係してるみたいです(笑)
西村:最後に出てくる巨大なものは、CGじゃなくて造形。両手で30Kg、着ぐるみの重さに血が入ると、人力じゃ持ち上がらないので車で引っ張ってます。そのまま一日8時間吊ったまま(笑)クローズアップもつったままで撮影したんだけど、拓ちゃん、一日何回も「これ僕じゃなきゃ出来ないっすよ!」って言ってる(笑)
島津:みんな吊られたことがないと思いますが、いろんなところにハーネスが食い込んで大変なんですよ。特に股に力が集中して鬱血して足が真っ青になる。
井口:武器を振り回す時、「ハイここで止めて!」とか、ほとんどイジメですよね(笑)。西村さん、ホント嬉しそうだった。

Q3:坂口拓さんはコンテを書かないそうですが、香港映画みたいないきあたりばったりの撮影で時間内に終りますか?

井口:終ってましたね。一日を24時間とするのか、30何時間なのか分かんないですけど。
島津:ボク、人生で初めて自宅から1分のところが撮影現場だったんですけど、朝の10時集合で、行ってみたら3人の監督が顔見るなり「早いね!」って。何でかなと思っていたら始まったのが20時(笑)
井口:あのシーンは、拓さんがコンテを描いてくれないんですよ。描いてくれないからCG部の方と西村さんの造形部の打ち合わせが全然進まない。誰か描いてくれって話になって俺が描いた。
西村:せっかくコンテを描いたのに、現場で拓ちゃんが「こんなにコマ数があるから時間掛かるんですよ!」って怒り出して。
井口:「何んでこんなの描いたんだ!」って(笑)。でもこれがないと進まなかったしね。そんな感じの3人でしたね。

●●雷電・島津健太郎さんの次のイメージは●●

Q4:島津さんは雷電のデザインを最初見たときにどう思われましたか?

島津:衣装合わせの時、井口さんは「雷電の変身はCGでかっこいいですよ!」って言ってたんですが。
井口:ちょっと騙されてますね!(笑)
島津:あのデザインをどう思いますって、どう思います?(笑)びっくりしましたよ。『片腕マシンガール』ではサリーちゃんのパパみたいな頭。『ロボゲイシャ』の時には島津さんって分からないようにしたいってロン毛のかつら渡されて。見事に20年来の友人も分からなかったくらい。井口さんと一緒にやらせてもらう時は、もう何が来ても怖ないなって(笑)
井口:ボクの作品を観る方の楽しみとしては、あの役者さんがどんな格好で出てくるんだろう、っていう。雷電は台本上、『エイリアン2』に出てくるパワーローダーみたいな3メートル以上ある近代的なカッコイイ兵器の設定だったんですけど、予算が足りなくなりまして。結局「色塗るか!」ってことに。
西村:フツーのラッカースプレーで、塗ると凄い暖かいんです。
島津:2月の一番寒い時に富士山の麓で、しかも中で撮影しているみんなに迷惑がかかるから外に出されて(笑)。雪がたくさん残っているところに真っ裸で。
西村:「目つぶって息止めて!」とかね。
島津:こういうところをメイキングに撮られたら、役者として頑張っている姿を皆さんに見てもらえると思ってメイキングの人を探したら…おれへんがなー(笑)。中で寝てるんですよ!
井口:現場の過酷さって中々伝わらないよねー。島津さんには次のイメージがわいてますんで(笑)。今は言えないですけど。
島津:ボク、役者としての方向性が分からんようになってきた気がするんですけど(笑)
井口:毎年、オールスターの『新春かくし芸大会』を見たら、ハナ肇が銅像やってるみたいな(笑)
島津:その位置ですか!?ありがたいですけどね(笑)

●●自主規制に断固挑戦!西村監督●●

大阪の劇場ということで、話は劇中で登場した大阪・道頓堀の戎橋でのシーンに。
井口:この映画では、やっちゃいけないってことを、西村さんが特にやってるんですけど、大阪が出てきましたね。皆さん、すみませんでした(笑)。プロデューサーが絶対やるなってことをやってしまいましたね。
西村:あれがやりたかったんだよ!
井口:役者はグリーンバックで、背景はCGアーティストの方が大阪まで出向いて撮ったものを合成したんですよね。
西村:大阪から始まった崩壊が全国に広がるっていうのをやりたかったんですよ。
無難な表現に陥ることは断固NO!の西村監督の大阪崩壊がどんなことになっているかは、劇場でぜひお確かめください。

各監督のブログでもおなじみの次回作の話題も飛び出した。
西村:『ヘルドライバー』は、、『戦闘少女』とは一線を画そうと思って作ったんだよね。日本が分断されてゾンビの国と人間の国になって、二つを隔てるベルリンの壁みたいなものができる。出てくるのがチョビ髭の日本軍だしね。
井口:戦闘少女より1歩進んだヤバイ人達の話みたいですね。
西村:「公開されなくてもいいから」って言われて、じゃあ本当に公開されないやつ、作ってみようかなと。今回は政治的にハードな設定にしてみました。あとゾンビ××も出てくる。ゾンビが××××して×になる(笑)
井口:ボクの「電人ザボーガー」も西村さんの『ヘルドライバー」も完成予定が今年の秋。来年の1月か2月くらいに公開出来たらいいなーって思ってます。
西村:日本で公開出来たらいいなー!

その他、ジャンケンプレゼント大会、トークショー後のサイン会なども行われ、大いに盛り上がった。
いよいよ8月6日には特典てんこもりのDVDがリリース予定の『戦闘少女』。
その前にぜひ劇場で、血飛沫をバックに美少女の可憐な唇や蹴りが飛び出す“心の3D”を体感してみよう!

(Report:デューイ松田)