本作からの出会いで結婚された女優・坂井真紀の最新主演作「スープ・オペラ」が完成し、出演者による完成披露試写会が開催され、坂井真紀、西島隆弘、藤竜也、瀧本智行監督、原作者の阿川佐和子らによる舞台挨拶が行われた。

—まず、一言ずつお願いいたします

坂井:今日は有難うございます。宜しくお願いいたします。
西島:宜しくお願いいたします!
藤:宜しくお願いいたします。
(MCより、皆さん一言でしたので、少し長めでもかまいませんのでとうながされ)
瀧本:去年の夏に撮影して、かれこれ10ヶ月。めでたく、坂井さんは撮影担当だった彼と結婚して幸せな日々を過ごされています(笑)

(阿川さん登場)
—阿川さん、一言お願いいたします

阿川:本来は、司会業としてあちらで話していることが多くて(チラリとMCを見る)(笑)
今日は、「原作者よ!」と登場しました(笑)自分の子どもの、とは言っても生んだことはありませんが、卒業式の父兄として参加している気持ちです。

—この映画で、ルイという主人公を演じられていかがでしたか?

坂井:こんなにも演じていて、孤独を感じたことがありませんでした。なんでこんなに孤独なんだろうって。
   温かくで淋しくて、淋しくて温かい・・・そんな気持ちが胸の中でうずまいていて。ルイは、胸の真ん中が赤ちゃんというか、裸のようで。いろんなことを素直に吸収して、長く生きているのに日々の空気や温かさを感じたことがなかったなあと、そういう些細なものを吸収して感じた日々でした。

—前作の『愛のむきだし』と違って、「いつも笑顔」の康介という役を演じられましたが、難しかったことはありましたか?

西島:監督から、「お前が画面に映るときは“ひまわり”のような笑顔でいろ」といわれて(笑)。僕の中ではそれが難しくて。(坂井さん演じる)ルイに孤独を与えた一人でもあるし、ときにナイフ(のような存在)みたいになってしまったり。一人ひとりに対しての接し方は、人それぞれ違うので、どういうふうに演じるか、そこに苦戦しました。

—監督、それを聞いてどうですか?

瀧本:よかったですよ。
西島:今日は、優しいですね(笑)

—藤さんは、今日もアロハで来ていただきましたが(真っ赤なアロハ!)、映画の中でも、ちょっと藤さんのこれまでのイメージを覆すダメ男を演じていらっしゃいましたがいかがでしたか?

藤:怪しいのは得意ですから(笑)トニーさんという役は大好きで、男の理想。似ているところは、面白いことを見つけようとしているところで、似ていないところは、その見つける男自体(トニー)が面白いこと。僕は、つまらない男なんですよ。
阿川:トニーさんは、モデルになった人がいるんです。(モデルの人も)トニーさんというのですが、「いい男に書いてくれよ」と言われて、本が出来たから送ったら感想も何もなくて。その後会う機会があって聞いてみたら、
   「おれはそんなに女々しくない」って(笑)

—そんな皆さんを演出されて、瀧本監督、いかがでしたか?

瀧本:擬似家族というシークエンスがあって。お三方とも楽しそうで。今まで、アドリブは認めたことがなかったのですが、三人ですでに打ち合わせが済んでいて。セットに入って、息がぴったりの姿を見せられたらいいなと思いました。

—阿川さんとは、映画化することをお許しいただいて、長い間お待たせしてしまいましたが、出来上がった映画を
 ご覧になって、いかがでしたか?

阿川:最初に話があったとき、無理だろうなって思いました。映画業界の厳しい話も聞いていましたし、自分でいうのもなんですが、そんなドラマチックな内容の本でもないですから。また、映画業界以外でも、成果を出すのが難しい時代でもありますし。でも、現場を訪れたときに感動したんです。映像は別の生き物と思っていて、別の空気や匂いを持つ人に動いてもらっているだけで感動して。そして、本当に美味しいスープを作ってくださっていたんです!また、ランチョマットなど小物も本当に愛情を込めて作ってくださっているんです。
   家の中の家具や、内装も、美術さんが「どうだい?」と見せてくれるものが、持って帰りたいくらい素晴らしくて。日本の映画を作っている、職人さんの気概が感じられてよかった。
瀧本:職人といいますか、映画作りは手作りでやらないといけなくて、阿川さんからそう言われて、嬉しいです。

—映画ご覧いただいた後、阿川さんと長く話す機会があったのですが、途中から阿川さん涙ぐんでいらしゃったこ
 ことがありましたが、それは、何か作品に対しての思いがあってということだったのですが?

阿川:孤独だったからかした(笑)オープニングタイトルや猫が出てくるシーンなど、一つ一つ丁寧にやったことが伝わってくる作品で、原作者冥利につきます。

—最後に、坂井さんと監督から一言ずつお願いいたします

坂井:この役をやって、孤独すぎて結婚しました(笑)監督のファンの方は、「ええ?瀧本監督がスープ・オペラを?」と、驚くかもしれないのですが、(監督は)人間が好きなんだな、と感じました。そういうものが、つまった作品です。
瀧本:淋しいとき、心が寒いとき、何でもないスープをすすったとき、体の中がポッと温かくなるような、阿川さんの原作がそうだったので、それを伝えたくて必死に作りました。宜しくお願いします。

★囲み会見(坂井、西島、藤、阿川)

—坂井さんのキャスティングについて

阿川:私が指名したわけではないのですが、楽屋で挨拶したときに幸せそうな笑顔だったので、この人でよかった!と思いました。

—理想の男性とおっしゃっていましたけれど、理想の男性像は?

藤:トニーさん、面白くって前向きでいいじゃない。僕も面白い人間になりたいんだけどね。
西島:理想の男性・・・真紀さんに恋している人だったけれど、もうちょっと早く会っておければよかったですね(笑)
坂井:特にないですが・・・“夫”でしょうか。この映画が出逢いではなく、以前から彼の取っている写真は好きで。
藤:スチールの悪口言わなくてよかった(笑)いやあ、いつも誉めていたから、(坂井さんの旦那さんだと)知ってい
たらお世辞になってしまうし。

—現場では、(ご夫婦だったことは)内緒にされていたのですか?

坂井:現場では、隠していました。現場に支障が出ないようにしないと、と思っていたので。別に、普通にしていましたよ、(秘密の)合図なんかありません(笑)
   仕事しているところは格好いいですよね、藤さんも西島さんも皆さんも(報道陣にむかって)

—(前に言葉をひろって)坂井さんのような方とは、どうすればお付き合いできますか?

(西島さんにふって)
西島:相当僕もプッシュしたんですけれどね。仕事している姿をもっとアピールしないといけなかったんですが。
阿川:(旦那さんとは)レンズを通して恋しているのよ(笑)

—旦那さんのどういうところが?

坂井:姿勢がいいので、カメラをかまえている姿が格好いいですね。

—映画ではスープがでてきますが、普段、料理は?

坂井:作りますよ。毎日レパートリー増やしています。スープも作りますし、この前はチゲスープを作りました。
    得意料理は餃子です!

—新婚生活はいかがですか?
西島:これ以上聞いたら、僕がショックを受けるので〜(笑)
阿川:映画からカップルが登場して、本当にいい話題づくりしてくれて有難う(笑)

—最後に映画をこれからご覧になる皆さんへメッセージを。

坂井:とても温かい映画ですので、楽しみにしてください。

(Report:Yasuhiro Togawa)