5月29日(土)渋谷・ユーロスペースにて映画『BOX 袴田事件 命とは』の初日舞台挨拶が行われ、高橋伴明監督、萩原聖人、新井浩文、石橋凌さんらが登壇した。

大勢の客を前に監督は、「今日は『座頭市』などに行かれてがらがらかなと思ったのですが、たくさん来て頂いて有り難うございます。」と喜びを語ってくれた。他の共演者達も楽しい週末に”暗い”映画を見に来たのが信じられない様子で、暗い映画を見終わった後だけに新井さんは「渋谷だけあって、若い方が多く感じられますが、市原君の『ボックス!』と勘違いして来られてませんか??。」と言い、お客さん達を和ます場面も。

本作を作った思いを聞かれ、監督は「”冤罪”というのは、人が犯す罪の中でも大変重い罪であって、すでに裁判制度が始まって、1年となりますが、裁判制度についてどうなのか??この映画を通して皆さんに考えて頂きたい。そして自分自身が大半関わった”昭和”を見つめ直したかったんです。」と話してくれた。
そんな高橋監督の元で参加した荻原さんは、「僕は2度目なんですけども、間も空いていて、とにかく萩原さん演じる苦悩する判事・熊本典道さんの体験をする事に集中するしかなかったんですけど、監督は現場では気持ちがいいです。やりたい事がはっきりしていて分かりやすいので、とにかく監督を信じて演じました。」と振り返っていた。
初めて高橋監督の元で参加する石橋さんは、どんな思いで参加されたのかについて、「現場でも監督と相談したんですけど、私が演じた刑事の人間の”輪郭”をはっきり出したいんですとお願いしました。こういう事実を扱った作品ですとか、歴史・戦争物なんかの映画の場合は、時代や体制がそういう風潮であった所にいつも思うのが、例えば戦争物にしても開戦派と反対派に分かれていたのが当時いたというのが伝えられています。そこを強引に押し切ったのも人間だし、今回のような被害者を追いつめるのも人間だったという事をなんとかこの作品で伝えたかったです。」と熱く語ってくれた。
荻原さんと新井さんについて聞かれると、石橋さんは「現場では萩原さんは、検事役のままでしたし、新井君は仕事が初めてだったけ??。」と問いかける石橋さんに新井さんは「2回目です!!。」と、ひとツッコミ。改めて「日本で一番手錠が似合う男だと思っています。」と絶賛し、観客の笑いをとっていた。

最後に監督から本作について、「私含めて、スタッフ・キャスト全員が”これは作るべき映画だ”と思って作りました。なので、見るべき映画だったかどうか判断して頂いて、もし見るべきだろうと思って頂けたら、一人でも多くの方に、声をかけて頂けたら有り難いなと思っています。」と作品をピーアールしていた。
2010年モントリオール世界映画祭コンペティション部門に出品決定している本作から目が離せない!!

映画『BOX 袴田事件 命とは』は2010年5月29日(土)より渋谷・ユーロスペース、銀座シネパトスにてロードショー他全国順次公開