第63回カンヌ国際映画祭が5月12日(現地時間)に南仏の高級リゾート地カンヌで開幕した。
 アイスランドの火山噴火による空港閉鎖、ギリシャの財政危機等で欧州全体が揺れる中での開催となった今年は、世界不況の影響もあって、初日の今日は、街中の喧噪も心無しか昨年を下回っている感が…。天気も生憎の曇天で、薄ら寒くすらあり、全く“カンヌ”らしくない。夜の10時過ぎにはかなり激しい雨が降り、正装でオープニング・セレモニー(セレモニーの司会は英国女優クリスティン・スコット・トーマス)&開幕作品『ロビン・フッド』を鑑賞した人々の帰り道を濡らすことになってしまった。

◆長編コンペティション部門の審査委員長を務めるのは『アリス・イン・ワンダーランド』が大ヒットした監督ティム・バートン!

 さて、映画祭の柱である“コンペティション”部門だが、18本が出品された今年は、マイク・リー、ケン・ローチ、アッバス・キアロスタミら過去の最高賞受賞監督を始め、ニキータ・ミハルコフ、ベルトラン・タヴェルニエ、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、イ・チャンドン、アピチャッポン・ウィーラセタクンらカンヌの常連監督、名だたる実力派監督がひしめきあっている。昨年は日本映画が選出されず、残念な思いをしたが、今年は北野武監督の最新作『アウトレイジ』が出品(6月12日公開)されているので、その健闘を期待したい!
 総勢9名の審査員の顔ぶれは以下の通り。ティム・バートン監督(委員長)、女優の2人ケイト・ベッキンセールとジョヴァンナ・メッツォジョルノ、男優のベニチオ・デル・トロ、ヴィクトル・エリセ監督、シェカール・カプール監督、イタリア国立映画博物館館長アルベルト・バルベーラ、フランスの作家・脚本家・監督エマニュエル・カレール、フランスの作曲家アレクサンドル・デプラ 。
 
◆今年のオープニング作品はラッセル・クロウ主演、リドリー・スコット監督の『ロビン・フッド』!

『グラディエーター』の巨匠リドリー・スコットが、同作でアカデミー賞に輝いたラッセル・クロウを主演に迎え、中世英国の伝説の義賊の活躍をダイナミックに描いたアクション大作『ロビン・フッド』(12月公開予定)はラッセル・クロウがタイトルロールを演じたアクション大作で、共演はケイト・ブランシェット、マーク・ストロング、オスカー・アイザック、ウィリアム・ハート、マックス・フォン・シドーら。残念ながら監督のリドリー・スコットは膝の手術をしたためカンヌ入りは果たせなかったが(「この栄えある場に出席できず大変残念ですが、ラッセルたちにこの映画を託します」とメッセージを発表)、ラッセル・クロウとケイト・ブランシェットがカンヌ入りし、プロデューサーのブライアン・グレイザーらとともに公式記者会見に臨んだ。
 スコット作品の常連であるラッセル・クロウだが、上映前に行われたフォトコールでも、そしてフラッシュの嵐となったレッドカーペットでもサングラスを外さず、大物スターぶりを見せつけていたが、記者会見ではケイト・ブランシェットとともに大人の対応。これまで何度も映画化されてきた反骨のヒーローの物語に出演した理由、役柄に対する思いなどを真摯に語ったクロウは、時節柄、何度も出たサッカーのワールドカップがらみの質問も、鮮やかに切り返していた。
(記事構成:Y. KIKKA)