アカデミー賞を受賞した映画「おくりびと」の脚本を手がけた小山薫堂が書き下ろしたオリジナルストーリーを元に、世界遺産を立体映像で映し出す3D映画「FURUSATO 〜宇宙からみた世界遺産」の全国公開が決定し、22日に日本科学未来館(通称:未来館/東京都港区)の3Dドームシアターでマスコミ向け披露試写会が行われた。
この作品は、日本科学未来館とTBSビジョンが共同製作したもので、試写会の前に未来館副館長の中島義和と小山薫堂、TBSビジョン制作プロデューサーの小川直彦がそれぞれ挨拶し、その中で、今回の作品に「おくりびと」で主演した俳優・本木雅弘の愛娘である内田伽羅(うちだ・きゃら/10歳)が出演していることが明かされた。
世界遺産の保護に協力している、宇宙航空研究開発機構JAXAの地球観測衛星「だいち」がとらえた地上700kmからの映像と、ハイビジョンの4倍の鮮明さを誇る4K3Dデジタルカメラによる地上の実写3D映像という共に最新の高精細映像を用いた、今までにないスケールで私たちを世界遺産の世界へと誘ってくれる純国産の新感覚3D映画だ。
ニュージーランド、エジプト、日本の3カ国にある自然・文化遺産を舞台に、その地に暮らす子供たちの目線で描かれたオリジナルストーリーを通して世界遺産が語られる。宇宙から映したまるで“地球模様”のような世界遺産の姿のほか、エジプトでは巨大な神殿やピラミッドの内部、ツタンカーメンの黄金のマスクなどをまるで目の前に存在するかのように描き、ニュージーランドでは満天の星空を世界遺産に登録しようと活動を続ける小さな村テカポの美しい夜空を銀幕に浮かび上がらせ、日本では厳島神社の荘厳なたたずまいと鳥居と海のうねりが一体となる美しい風景を見せてくれる。また今回は、世界の負の遺産でもある広島の原爆ドームに初めて3Dカメラが入り込み、まるで、観る人自身がドーム内を歩いているような錯覚を抱かせる迫力の映像が実現した。
内田伽羅は本作で広島に暮らす少女を演じ、父親顔負けの情感溢れる表情で平和への想いを表しているが、今回のキャスティングについては、本作のディレクター日下宏美氏が偶然見つけたCDジャケット(「冷たい夢、明るい休息」渡邊琢磨)での内田伽羅の写真がきっかけとなり、小山氏を通じて紹介してもらったという。
小山氏は今回の映像について「今まで資料を見て想像していただけのピラミッドだったが、この映像を見て、その臨場感に3Dの必然性を感じた。アバターよりも3Dにふさわしい映画だ。」と述べたほか、世界遺産というテーマについて「現在は過去からのおくりもの。今は未来へのおくりものであると気づく」と『おくりびと』の脚本家らしく語った。
普段踏み入ることの出来ない貴重な世界遺産への“体感”映像と、宇宙飛行士以外の人間が決して見ることのできない角度からの世界遺産。その全てを余すことなく堪能できる『FURUSATO 〜宇宙からみた世界遺産』は、全国ワーナー・マイカル(板橋)ほかで6月19日(土)から観ることができる。