2010年1月16日(土)より、渋谷アップリンク、ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町で公開中
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/bluegold/

監督:ご来場ありがとうございました。SF映画を撮ろうと思ってリサーチをしていたときに『「水」戦争の世紀』という本に出会いました。SF映画のストーリーとして予測したよりもはるかにひどい現実を知り、このことを伝えなくてはと思いこの作品を制作しました。映画を観て、この問題が重要だと思ったらぜひ周囲の人々にも広めてください。

—撮影していて一番印象に残っているシーンは?

監督:メキシコで警備員に賄賂を渡して、20分間だけ撮影を許可されました。メキシコでは、政府が汚水を農業用水として使っていることを人々に知られないよう警備員が立っています。「撮影が20分を過ぎたらどうなるのか?」と聞くと「20分後に戻ってくる別の番人に殺されて、川に死体がに浮くことになるだろう」と言われました。事前にそのような危険がわかっていたら撮影をしなかったかもしれませんが、そのときはもう戻れないという思いがありました。

—インタビューをした企業の担当者たちは、うしろめたさは感じましていましたか? 彼らを責める気持ちはありますか?

監督:私はこれを反大企業の話にはしたくありませんでした。企業が利益を求めるのは自然なことで、問題ではありません。ただ、水をその利益のシステムに含めることは問題です。そして責めるべきは、それを管理すべき政府です。

—撮影は全てひとりで? 交渉なども?

監督:はい、1人でやりました。10年前にはできませんでしたが、今は三脚以外全ての撮影機器をカバン1つに入れて持ち運ぶことができます。メキシコでの交渉も1人で行いました。予算がなく、その予算のほとんども旅費にかかりました。2人で行くと旅費が2倍かかるため、1人で行かざるを得ませんでした。編集の段階になり、『ザ・コーポレーション』のプロデューサーでもあるマーク・アクバーに見てもらい、アドバイスをもらいました。4ページにわたるメモをくれ、私にしては珍しくそのアドバイス全てに従い、編集をしました。

—監督にとって、水の番人とは?

監督:私たち自身です。映画の中で人々が立ち上がったのは、地元のため。自分たちのコミュニティを守るために、戦っています。自分たちが水の番人にならなくては。ウルグアイでは憲法で、水は商品ではなく人々のものだとうたっています。政府は取り締まるべきなのです。

—いろいろな国の中で一番良かった、または悪かった「水自体のこと」を話してください。

監督:メキシコやケニアなどでは水は汚染されていて、ペットボトルの水しか安心して飲むことができませんでした。そこが大きな問題で、企業はそのようにして利益を上げています。美味しい水といえば、日本。住んでいるカリフォルニアの水より美味しいです(笑)。

監督:サム・ボッゾ / プロデューサー:マーク・アクバー、サイ・リトビノフ / 音楽:ハンネス・ベルトリーニ、トマス・アイヒンガー /
ナレーション:マルコム・マクダウェル /
出演:モード・バーロウ、トニー・クラーク、ヴァンダナ・シヴァ、ミハル・クラフチーク、ウェノナ・ホータ、ダニエル・ミッテラン、オスカー・オリベラ、他 /
原題:BLUE GOLD: WORLD WATER WARS /
原作:『「水」戦争の世紀』
著者:モード・バーロウ、トニー・クラーク(集英社新書)(2008年/アメリカ/90分/ビデオ/カラー/1:1.66/ステレオ/英語、スペイン語、スロバキア語、フランス語)

字幕監修:吉村和就(グローバルウォータ・ジャパン代表)