——三浦監督はポツドールの主宰者であり脚本化・演出家でもあられますが、初監督の映画がこれから初めてお客さんに披露される今、お気持ちは?
■三浦監督:舞台は始まってからもどうなるかわからないというのがありますが、映画はどうしようもないですし、もう観てもらうしかないですよね。
——舞台との違いはありましたか。
■三浦監督:根本は同じなんですよね、人を撮るわけですし。ただ、技術的にすごく勝手が違うところは多かったです。
——主演の峯田さんはいかがでしたか。
■三浦監督:選んで間違いなかったと思っています。
      初めはお互い人見知りなので全く話せなくて…お見合いみたいになってしまったんですが(笑)
——峯田さんはいかがでしたか。
■峯田さん:すごく緊張しました。会う前からいろいろ舞台の噂なんかは聞いていたので怖い人かな、と思ったんですが、それ以上に、この人とならおもしろいものができそうだな、と。
——もともと原作の大ファンだったということですが、主演のオファーが来たときの気持ちは
■峯田さん:言葉にならなかったですね。
      実は心のどこかでは映画化してほしくないなという気持ちもあったので、これは困ったな、と思いました。
——松田さんは峯田さんとは初めてだったと思いますが、けんかもされてましたが
■松田さん:あそこは僕が殴ってるほうだったんで…峯田さんは大変だったんじゃないでしょうか(笑)
■峯田さん:実はあの時、みぞおちに龍平さんの蹴りが入ったんです。すごく痛かった(笑)
      それに、あのシーンはもう撮影もかなり終わりのほうで、いろいろ張り詰めていたのが切れてしまったというか…気付いたら泣いてましたね。
——松田さんは“悪役”でしたがなにか意識はされましたか
■ 松田さん:正直、青山は好きじゃないんですけど。
ただ、原作にはその後の青山が描かれていますが、(今回の映画は)そうではないので、徹底的に悪者になろうと思いました。
——黒川さんは峯田さんの印象はいかがでしたか。
■黒川さん:初めてお会いした時、“田西がいる!”と思いました。私は人見知りの人をいじるのが好きなので、すごく話しかけたんですが、峯田さんは迷惑だったかもしれないですね(笑)
——黒川さんも、いつもとは違う役どころだったのでは
■黒川さん:すべてがチャレンジでした。ぜひ観ていただきたいですね。
——小林さんはこの映画にご出演されるきっかけは
■小林さん:岩松了さんが三浦さんのことをすごく誉めていて、私もポツドールの舞台は観ていたんです。
      それである時、三浦さんが映画を撮ると聞いたので、何でもいいから出るから、と言いました。
■三浦監督:うれしかったですね、まさか鈴木さんを小林薫がやることになるなんて…!と。
——キャスト・スタッフとも若い方が多い現場だったと思いますが

■小林さん:龍平くんを見たときには、父親を知っているものですから感慨深かったですね。
      峯田くんは、上手く言えないんですが、尊敬しました。参ったなという感じです。
■峯田さん:撮影でバンテージを巻いてボクシングの練習をするシーンがあるんですが、ほどけてくるたびに小林さんが巻いてくださって。すごく感動しました。
——リリーさんは社長という役どころですが。
■リリーさん:いつも飲んだくれている鈴木さんという役は普段の(小林)薫さんとまったく同じなんですが(笑)
       先輩の方々がたくさんいらっしゃる中で、俺ももう社長なんかをやる年齢になったんだなぁと。
——この映画は29歳の青春を描いていますが、リリーさんはどう思われますか。
■リリーさん:青春っていうのは年齢じゃないですよね、この映画のコピーにもなっていますが、真剣になったときが
       青春だというのは本当だと思います。
       田西を観ると、自分の青春は始まったのか?それとも今までなかったのか?と考えさせられますよ。
——花沢さんは原作者として手掛けた作品が映画化されてどんなお気持ちですか。
■花沢さん:キャストが決まって、実際に撮影が始まってもなかなか実感が沸かなかったですね。
——ご出演もされてるとか
■花沢さん:俳優を目指そうかと思いまして(笑)
——最後に監督より一言お願いします
■ 三浦監督:マンガに出会って、素晴らしいキャストに囲まれて、非力ながらも必死に創りました。
不器用な映画ですが、必死さは伝わると思います。それはこの作品のテーマにも通じる部分があるし、
この作品が初監督作でよかったと心から思っています。
この映画は、夢や希望だけじゃなく、生きていくうえでのいろいろな汚い部分も出てきますが、
それでもきちんとエンターテインメントに仕上がっていると思います。
ぜひ楽しんでいってください。