韓国で300万人を動員し、社会現象にまでなった大ヒット・ドキュメンタリー映画『牛の鈴音』の監督イ・チュンニョルが12月19日の日本公開を前に来日し、舞台挨拶(12/9大阪、12/10東京)と記者会見(12/11)に参加した。

12月10日にスペースFS汐留で行われた上映前舞台挨拶では俳優で韓国文化・映画をこよなく愛する黒田福美さんがゲストとして登壇し監督にさまざまな質問をぶつけた。
中でも「映画のオチをどうつけるつもりで撮っていたのか」という問いに対しては、「お爺さんと牛の共同生活が無くなる、牛が死ぬまで」と決めて撮り始めたが、牛は予算の事情などを汲んでくれず時間がかかり、当初の予定以上に資金がかっかってしまい、心の中で「どうか早く死んで欲しい」牛が死んだ時は「どうもありがとう」と思ってしまったと申し訳なさそうに語った。

そして観客に向けて、この映画は自分を育ててくれた父母について見つめ直し関係を考え直す映画だ、とし「親不孝者」が観て電話をしてみようと思っていただけると嬉しいと語った。上映後には目を真っ赤にした観客が監督に駆け寄って握手を求める姿が多くみられ、映画の感動は韓国特有のものではなく日本でも共有できるものであることが実証された。

翌日には映画を東京、大阪に合わせてロードショーすることを決断した兵庫県加西市市長・中川暢三との記者会見に臨んだ。

中川市長は加西市ねひめホールでの上映を熱望した理由として、加西市内には、かつての日本の農村の情景が描かれている『牛の鈴音』を是非市民に観ていただき、自然の恵みに感謝して心豊かにゆったりと生きていく事の素晴らしさと、自分の今いる場所を見つめ直し、加西市にも素晴らしいものがあると実感して欲しいと思い、また大都会で生きている人にも田舎で生きる事の素晴らしさを知って欲しいと思った、と語った。

一方監督は韓国では都市でしか上映することができず残念に思っていたので、日本でこういった形で公開される事を非常に嬉しく思うと語り、中川市長が全国の首長にもみせて同じような興行を行うよう呼び掛けたいと語ると、力強くうなずいていた。

いよいよ『牛の鈴音』が全国に鳴り響くか?
『牛の鈴音』は12月19よりシネマライズ、銀座シネパトス、新宿バルト9、(以上東京)第七藝術劇場、シネマート心斎橋、(以上大阪)加西市ねひめホール、にてロードショー!