12月10日(木)にフライシャー兄弟の伝説のアニメ『バッタ君 町に行く』公開記念「アニメーターをやるやつは見ておくべき」特別公開授業in東京アニメーションカレッジ専門学校が行われました。1941年に真珠湾攻撃直後に公開され興行的に失敗、しかし、その革新的な映像と技術で伝説となり、高畑勲や宮崎駿などにも影響を与えた長編アニメーション『バッタ君 町に行く』。この作品の凄さと素晴らしさについて杉並区アニメーションミュージアム鈴木伸一館長、スタジオジブリ中島清文館長、そしてアニメーション監督百瀬ヨシユキの日本アニメーション界の重鎮たち3名がアニメーターを目指す生徒さん約100名に伝授しました。
70年前に製作された作品を初めて見た学生からは「虫の動き方が凄い」「昨今の日本のアニメーションでは見られない技法が見られて、とても楽しめた。」などの感想もあがり、授業後に集計したアンケートで本作品の満足度が98%という結果が分かりました。
作品を配給する三鷹の森ジブリ美術館の中島館長からは「虫たちが全部一斉にいろんな動きをしているのがすごい。(アニメーションのキャラクターが)動いていることが本当にすごいんです。宮崎監督も『崖の上のポニョ』を制作したときに、動いている凄さを伝えたかったと言っていました」と語り、鈴木さんからは「フライシャー作品は大好きです。ギャグが面白いです。非常に個性的で面白いです」。百瀬さんは「小学校の頃にTVで見たことがあります。モノクロだと思っていたら、今回見てこんなに色がきれいだと初めて知りました。丁寧に作られたアニメーションです。主人公じゃないところにも動きを持ってくるのがすごい。泥臭さとか野暮ったさが味になっている作品です。」とコメント。アニメーターを目指す学生たちに「どんどん書くこと!書くことに何度でもトライしてほしい。」と激励しました。
 また、中島館長はこの作品を配給するに際し、アメリカの配給会社から莫大な金額を提示されたり問合せ先がわからなかったりと様々な困難にぶち当たったことを暴露。そんな中、子供の頃にこの映画をみた映画評論家が今回ニュープリントの美しい映像を見て「長生きをしてよかった!」と言ってくれ本当に嬉しかったと苦労を語りました。

12月19日渋谷シネマ・アンジェリカ他にて全国順次ロードショー