本日12月7日(月)に下記概要にて映画『春との旅』の完成披露試写会(舞台挨拶付き)を行いました。

<登壇者>仲代達矢、徳永えり、淡島千景、美保純、小林政広監督

人生の岐路では人は失う。でももう一度旅立てば、生きることの悦びを再び手にすることができる— “生”の確かさを丹念に綴る、魂を震わす日本映画 『春との旅』が誕生した。原作・脚本・監督は2009年にロカルノ映画祭で3度目のコンペ出品を果たし、世界でも注目を集めている小林政広。主演は、脚本に惚れ込み、渾身の演技を演じる仲代達矢、また清冽な演技を見せる徳永えり、その他のキャストも日本映画界を代表する名優が脇を固めている。2009年最初のお披露目となる完成披露試写会で満席となった観客を前に本作に賭ける思いを語った。
登壇者のコメントは以下の通りです。

小林政広監督 「2001年12月の初稿から8年かかり、やっと実現し、今日この日を迎えられて非常に嬉しく思っております。現場では‘映画の神様’にとりつかれ、テンションが高く、怒鳴ったり蹴ったりしましたが、ここまで来ることができて、スタッフの皆様ありがとうございました。」と語った後、スタッフを壇上に呼び、一人ずつ紹介をして製作の苦労を労った。
監督から、まさか一緒に映画をつくることができるとは思っていなかったのでご一緒できて非常に嬉しかった、と紹介された仲代達矢 は壇上で監督と抱き合い、「60年間映画に出演し、12月13日に喜寿を迎えます。俳優生活の晩年にこの映画に出会うことができて、光栄に思っております。」と本作に対する熱い思いを語った。撮影中のエピソードとしては「撮影初日にヒロインの徳永さんと夕飯をご一緒したところ、(役柄では微妙な距離感のある祖父と孫役を演じるので)監督に仲良くするな、ときつい一言をいただいた。」と小林監督ならではの演出を明かし、会場を和ませた。また、映画界の将来に対しては「私のような古い人間が物申さねば。若い監督にお金と時間を与えてあげてください。そうすることで、日本映画も世界に羽ばたいていくのではないでしょうか。」と仲代さんならではの語り口で喝采を博した。
徳永えり は、監督から、かつての大竹しのぶさんを彷彿とさせる、演じることにこれほど集中できる女優さんは他にはいないと思いキャスティングしたと紹介され、「監督から嬉しい言葉をいただき、胸いっぱいです。監督、仲代さんはじめ、皆様と一緒にできたことは私にとって貴重な財産になりました。」と語り、小林監督ならではの1シーン、1カットの長回しの撮影方法については、「すごくプレッシャーでした。でもやるしかないと思った。(他の役者の)一瞬で切り替わる集中力を間近で感じることができて、とても勉強になりました。」と、本作でさらなる成長をしたことを垣間見せた。
淡島千景は、私(小林監督)にとっては永遠のマドンナ、どうしてもこの役はこの方に演じてもらいたかったと監督からの紹介を受けて「監督とは長いお付き合いでやっと(作品に)出してもらえて嬉しいです。(喜寿を迎える仲代さんに対して)長く生きていたから、良い作品に出会えました。大変嬉しく思っております。」と語った。壇上に上がりスタッフの皆様にも感謝の意を示し、大女優でありながら人柄の温かさを感じさせた。
美保純は、「夏に試写会に行ったときにメイキングを見て感動しましたが、今日も胸いっぱいです。(映画でのおばさん役を演じる自分については)しっかりおばさんになっているのが嬉しかったですね。」と作品への満足度を語った。

出演者だけではなく、製作スタッフを壇上で紹介するなど、小林監督ならではの演出が凝らされた温かい舞台挨拶となった。公開は5月を予定している。