日時:2009年11月21日
会場:シネマート新宿 スクリーン1 新宿区新宿3丁目
登壇者:木村威夫(監督)、原田芳雄、川津祐介、松原智恵子、野呂圭介、あがた森魚、林海象(協力プロデューサー)

11月21日(土)、映画「黄金花−秘すれば花、死すれば蝶−」の初日舞台挨拶がシネマ—ト新宿にて行われました。舞台挨拶には、本作が長編2作目となる91歳の新人監督・木村威夫監督のほか、主演の原田芳雄さん、川津祐介さん、松原智恵子さん、野呂圭介さん、あがた森魚さん、協力プロデューサーの林海象さんが登場いた
しました。現在陶芸家として活躍する野呂圭介さんが映画「黄金花」をイメージして製作したランプシェードを点灯する場面もあり、木村監督へのエールに溢れた温かな舞台挨拶となりました。

司会:「まずは木村監督、初日を迎えられて、今のお気持ちは?」
木村威夫監督:「こうして初日を迎えられて本当にうれしいです。私は“商品”ではなく、“作品”を作ろうと思って本作を撮りました。素晴らしい俳優の方々に出演していただけて感謝しております。」

司会:「原田さん、撮影時の様子と完成した映画をご覧になっての感想をお聞かせください。」
原田芳雄さん:「現場ではどうなることかと思っていたのですが、仕上がった作品を観たら、すごく瑞々しい果物のような映画になっていました。この映画には、“夢”と“幻”と“遊び”という映画の三要素が詰まっています。」

司会:「川津さんは熱心に役作りをされ、自分から監督へ提案したセリフもあったということですが」
川津祐介さん:「そうですね。役者老人ということで、シェイクスピアのセリフを使いました。シェイクスピアの全集をいつか読破しようと思っていたのですが、なかなかできておらず、この映画の出演をきっかけにその想いを果たすことができました。出演の機会をいただけて本当に感謝しております。」

司会:「松原さんは日活黄金時代に美術監督としての木村監督とはたくさんお仕事をされていますが、当時の木村監督はどんな方でしたでしょうか?また、今回映画監督としての木村監督はいかがでしたでしょうか?」

松原智恵子さん:「木村監督のつくりあげる世界は、完成するまでどうなるかわからないので、いつもわくわくさせられます。『東京流れ者』(1966)の時には、すべてが真っ白な世界で、出演者もみんな真っ白な衣装を着るというシーンがあり、とても斬新で印象的でした。この映画をご覧になって、皆さんも不思議な世界に誘
われたのではないでしょうか?」

司会:「野呂さんは実に19年ぶりの映画出演になったわけですが、いかがでしたか?」

野呂圭介さん:「最初にこの映画出演の話を聞いたときは、どっきりカメラだと思いました(笑)。本当だとわかった後は、せりふを覚えられるか、ちゃんとしゃべれるかが心配でした。ちゃんとできていたでしょうか?今は職業欄には「陶芸家」とだけ書いているのですが、これからは「映画俳優」とも書けるな!と。木村監督
、ぜひ次回作もお願いいたします。」

司会:「あがたさんは、ひょんなことからこの映画への出演が決まったそうですが。」

あがた森魚さん:「京都で木村監督が撮影をしていることを聞き、もしかしたら役があるかも?と思い行ったところ、ちょうど原田さんが最後のシーンの撮影をされていて。原田さんに「あがた君、ここで一曲歌ったらどうだい?」と言われ、木村監督も「それはいいね!」ということになり(笑)。その時はギターを持っていなか
ったのですが、原田さんがギターを貸してくれました。」

司会:「本作は京都造形芸術大学映画学科の協力のもと完成した映画ですが、その学科長を務めてらっしゃいます林海象さんから見て、今回の現場での様子はいかがでしたでしょうか?」
林海象さん:「プロと若い学生がキャンパスの中で1本の映画を撮るという、プロジェクトの一環として撮影を行いました。91歳と19歳が一緒に映画を撮るなんてことはめったにないと思いますが、監督と学生たちはお互い心で通じ合っているなぁと感じました。」

そして、最後に木村監督は次回作の構想があることを明かし、まだまだ枯れない映画への情熱と意欲を見せた。