現役僧侶で芥川賞作家である玄侑宗久氏の作品『アブラクサスの祭』の映画化が決定しました。
作者の作品では初の映画化になります。主演の僧侶・浄念役には映画初主演のミュージシャン、スネオヘアー。その妻・多恵役にともさかりえ。
住職・玄宗に小林薫と、豪華で個性あふれるキャスティングです。監督は東京藝術大学で北野武、黒沢清の薫陶を受けた、新人の加藤直輝。
クランクインの前の、10月26日に、妻役のともさかりえ、監督も参加して、主演僧侶役のスネオヘアーの断髪式を行いました。
場所は、監督自身も僧侶生活を体験した、東京・谷中の全生庵にご協力を頂き、そして、全生庵ご住職さまに剃髪して頂きました。

 ◆日時:10月26日(月)
 ◆場所:全生庵 (台東区谷中5−4−7)
 ◆断髪:スネオヘアー(浄念役)
 ◆ゲスト:ともさかりえ(多恵役)、加藤直輝監督

Q:断髪後の感想

◆スネオヘアーさん
頭が寒いです。めちゃくちゃ寒いです。
僕は、幼稚園の頃からずっと長髪で同じヘアースタイルなので、幼稚園以来初めて髪型を変えました。

◆ともさかりえさん
一番最初にはさみを入れさせて頂いた時は緊張しましたが、ついさっきまでのスネオさんの髪型がもう思い出せないくらい、この姿がしっくりきています。

◆監督
見事に脱皮されて、想像以上に凛々しくて、驚いています。
まさに立派なお坊さんになられるんじゃないかと。

Q:これから撮影ですが、意気込みを聞かせて下さい。

◆スネオヘアーさん
心意気はこの頭を見て頂ければわかるように、剃髪致しまして、”浄念”と名乗ります!

◆ともさかりえさん
スネオさんの心意気を受け止めて、これから撮影ですので、予測がつかないところも多いですが、楽しんでがんばりたいです。

Q:スネオヘアーさんを主演に抜擢されたのは?

◆監督
お坊さんがロックをするというお話で、ミュージシャンの方と一緒にやりたいという、強い思いがありました。
そして、ミュージシャンの中でスネオさんに坊主になってもらえないか?
なってくれるのか?というところから始まりました。
今この瞬間を迎え、この姿を見て、すでに込み上げてくるものがあります。
感無量です。スネオさんが主演で間違いなかったと思いました。
自分の直感は正しかったと感じてます。
ともさかさんとお二人並んだ姿を間近で見て、これから本当に始まるんだなあという気持ちが今まで以上に出てきました。
このまま突っ走っていければと思います。

(全生庵の住職様に伺いました)
Q:剃髪とは?
「覚悟」を形に表すということ。覚悟を示すために自分の髪の毛を切る。
仏教ではものに執着することを非常に嫌います。人間は、財産、地位、名誉などを自分の力で手に入れたと思いがちですけど、仏教では“因縁”と申しまして、自分が今持っているもの全ては、何かの“縁”によって、今ただこの一瞬、自分の元にあるだけで、“縁”がなくなれば自分の元から去っていく。
これが仏教では重要な考え方です。しかし我々人間は、一度手に入れたものを放したくない、失いたくないと思います。そういう執着。そこに人間の迷い、苦しみなどが生じてきます。
なぜ髪の毛かと申しますと、女性は髪が命というように髪型一つによって、気分も変わったり、印象も変わったりします。
髪の毛によって人によく見られたい、それも一つの執着です。
その代表的な髪の毛を剃るということによって、そういう執着の世界から離れるということも大切な剃髪の意味です。