世界から注目を集める小林政広監督が貧困と孤独にさいなまれる少年の目から現代の日本を描いた映画『ワカラナイ』が本日11月14日(土)よりロードショー公開となりました。ヒューマントラストシネマ渋谷での初日舞台挨拶では、小林監督をはじめ、主演の亮を演じた小林優斗(17)そして柄本時生(20)、渡辺真起子(41)といったキャスト陣の登壇に加え、テーマ曲を唄ういとうたかおさんによる弾き語りライブも行われました。

 世界各国の映画祭で高い評価を誇る小林政広監督の最新作『ワカラナイ』。この作品に映画作家としての並々ならぬ思いを込めた小林監督をはじめ、初主演ながら強い存在感で主人公の亮を演じた小林優斗さん、亮の友人役の柄本時生さん、そして亮の母親役を務めた渡辺真起子さんが、初日舞台挨拶として詰めかけた観客の前に登場しました。
 小林監督は今作について「フランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』を観て映画監督になりたいと強く思ったことをベースに、一度でいいから子供を主人公にした映画を作ってみたかった」と『ワカラナイ』制作のきっかけについて語りました。小林優斗さんは貧困にあえぐ主人公の境遇を演じるために、宿泊場所も他の出演者と異なる場所だったという過酷な現場について述懐。飢えをしのぐようにカップラーメンを食べるシーンは「あれがほんとうの食事です(笑)」と語り、「何キロか痩せましたか?」という質問には、「うーん、でも胃袋は完全に小さくなりました。撮影が終わったらぜったい松屋のビビン丼食いにいこうと思っていたんですけれど、アップしてもおにぎりひとつしか食べられなかった」とハードな撮影について答えました。そんな優斗さんに対し、柄本時生さんも「僕も現場に入って優斗の顔を見たときに、(亮のように)何も信じていない眼になっていて(笑)。ほんとにびっくりした」と亮になりきっていた優斗さんの演技力を評価。また渡辺真起子さんは、小林監督の2007年のロカルノ映画祭で金賞を受賞した『愛の予感』(2007年)に続く出演となりましたが「今回は『愛の予感』に比べるとキャストが多いので、気が楽というか、また違った雰囲気でした」と小林組の雰囲気についてコメントしました。
 最後に、今作のテーマ曲「BOY」を唄ういとうたかおさんがアコースティック・ギターを持って登場。監督と旧知の仲であり「先輩、兄貴のような存在」であるといういとうさんが、今作の主題歌「BOY」をマイクなしで切々と披露し、舞台挨拶は終了しました。

11月14日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、
11月28日(土)より新宿バルト9にてロードショー