10月31日(土)に行いました映画『ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション』のトークのイベントレポートです。

世紀の天才と讃えられながら、たった4本の短編を残して、その後の人生をホームレスとして生きること選んだアニメーション作家ライアン・ラーキン。彼が生前に残した4本の短編と35年ぶりの新作、クリス・ランドレス監督によるアカデミー賞受賞作品『ライアン』など7作をライズXにて一挙上映中。
公開記念トークイベントに「月刊コミックビーム」で『デボネア・ドライブ』を連載中の漫画家の朝倉世界一さん(写真・左)と、「TVBros.」の『特殊能力アビル』などを連載中のギャグ漫画家おおひなたごうさん(写真・右)にご登場頂きました!
おふたりとも、ライアンの世界をとても気に入って頂いたようで、まずは「ライアンの作品で一番好きなものはどれ?」という話題に。
ライアンの作品から、自分の作品イメージにも共通する部分を感じられたという朝倉さんは、「色がきれいで絵が可愛いから『ウォーキング』が一番好き」、おおひなたさんは「『シランクス』の、形が変わっていく騙し絵のようなところが好き」と、それぞれ独自の視点から作品を満喫されたようです。

一方、おおひなたさんからはこんな大胆な提案も!
「(ライアンの作品は)音楽が効果的だから、その音楽を全然違う曲にしたらどうかと。例えば『ウォーキング』を、「北の国から」のテーマ曲をかけながら観たら、 違った楽しみ方ができるんじゃないかな(笑)。『ウォーキング』をよく観てみると、曲のリズムと人物の歩幅が必ずしも一致してない。プロモーションビデオ やミュージックビデオだと動きを曲に合わせたりしますけど、『ウォーキング』は自然体の歩きを表現しようとしている。『じゃあ、曲は何でもいいんだ』と 思って。」
この斬新すぎるアイディアに、
「(『ウォーキング』の登場人物が)五郎さんに見えてくるかもね」と朝倉さんも乗っかって、会場は爆笑に。

さて、トークが佳境を迎えた頃、ホームレス生活を選んだライアンの生き方についての話題に。おおひなたさんは「『連載の締切とか考えなくていいんだあ・・。』という、ちょっとした憧れがある。苦しくて惨めだとは思うけど、創作活動から開放されて、もう考えなくていいっていうのは、ちょっと良いなと思う。」と、ホームレス生活への憧れを吐露。
そして「でもライアンの場合は呼び戻してくれる人がいたから良かったけど、僕なんか誰も30年後に呼び戻したりしてくれないだろうな・・」と少し寂しげに話すと、朝倉さんが「じゃあ、今約束しましょう!おおひなたさんがいなくなったら僕が呼びに行くし、僕がいなくなったらおおひなたさんが呼びにきてください!」となぜか熱く宣言!
その言葉に、おおひなたさんも「約束ですよ。じゃあ、皆さん承認になってください」と謎の友情モードに!
満員のお客さまが見守る中、お二人による「指きりげんまん」の歌が鳴り響き、
「これで安心してホームレスになれます(笑)」という、おおひなたさんの言葉で、トークイベントが締めくくられました。漫画家のお二人ならではの鋭い考察から、最後は爆笑トークまで、本当にアッという間にタイムアップ。

何度観ても新しい発見のあるのがライアン・ラーキンの世界ですが、この日は「そんな見方もあったのか!」というまたまた新たな発見を教えてもらえたトークショーとなりました!

ライズXでの公開は11月6日(金)まで。
愛知 シネマスコーレ 11月7日〜
大阪 シネマート心斎橋 11月21日〜
京都みなみ会館、KBCシネマ、シアターキノほか順次公開