本作品は『家族ゲーム』『間宮兄弟』『椿三十郎』などなど、話題作を世に送り続ける森田芳光監督の『(ハル)』以来13年ぶりの完全オリジナル作品である。
常に時代の先を捉えてきた監督の今回のモティーフは「お金」の使い方。サブ・プライムローンに端を発した世界的経済不況の真っ只中に生きる我々に、「明日の幸せのつかみ方」のヒントを教えてくれる。

「お金」の力や在り方だけでなく、人間の強い愛情がいかに大きな奇跡を生むのか——人を大切に思う気持ち、コミュニケーションを描く美しい物語だ。森田監督ならではの観客に思考をゆだねる演出手法にも惹きつけられる。

森田監督の集大成的作品である本作の初日舞台挨拶が行われ、小雪、黒谷友香、井坂俊哉、山中崇、小澤征悦、森田芳光監督が登壇し、映画の魅力を語った。

■登壇者からの挨拶■

森田「本日はお越しくださり、本当にありがとうございます。」

小雪「様々な年齢層のお客様がいて、とても嬉しいです。」

黒谷「こんにちは。この映画は私にとって、とても記念となる映画になりました。本日は本当にありがとうございます。」

井坂「本日は、お越しくださりありがとうございます。森田監督の作品に出れた事がとても嬉しいです。この映画を見て、家に帰ったら幸せについて考えてみて下さい。」

山中「本日は朝早くから本当にありがとうございます。皆さん、明日から何かを出そうという気持ちで生きていってください。僕は、今回裸を出しました(笑)皆さんは何を出しますか?」

小澤「こんにちは。森田監督の作品はとても映画らしい映画であり、楽しんでいただけたかと思います。」 

■質疑応答■

Qこの映画の企画を思いついたきっかけと、映画が完成し本日の公開に至るまでの道のりで、大変だったこと印象にのこっているエピソードを教えてください。

森田監督「一番最初に、パソコでタイトルを書きだしてから脚本作業を始め、今一つの映画になったと思うととても嬉しいです。ここにいる皆さんが出演を決めてくれて、完成して一つの映画になったことは大変な事で、とても素晴らしい事だと思っています。見た人それぞれ感じ方が違う、色々な事を考えられる映画だと思います。僕の作品はすぐに評価されないので、この映画も心配ですが、皆さん口コミで広げてください(笑)」(客席から「よかったよー」と声もあがる。)

Q役を演じるにあたり、自分と共通する点や違う点はありましたか?

小雪「摩耶は掴めない人です。わたしから見て世俗的な部分がなく崇高な人ので、お金をだして違和感がない存在に見えるか悩みながら演じました。“お金と自分がどう付き合っていくのか”、私が感じたことを皆さんも感じてくれたらうれしいです。また初めて函館に行き、この町がとても好きになりました。とてもいい場所なので是非みなさんもいってみてください。」

黒谷「サキは私自身とかけ離れていた分、やりがいがあり印象的でした。素直でオープンで誤解されるかもしれないけれど、どんな状況でもなんとかして生きていこうという力強さを持っています。私もそれを持っていきたいです。」

井坂「道上という役はとにかくやさしくて、それは函館がつくったものだと思います。とにかく函館はいいところなので今からでも行きたいです。」

山中「役と似ているところは、都会の香りがしないところです。継続する力がある人、続けていくことは大変だけれどそれを実行している川上は素敵だと思います。」

小澤「 専門的な職種というところが、役者も一緒だと思い演じました。ピュアな所、こだわる所、バカなことをやってしまう所が内面に出ればと思い演じました。女性に弱いところが僕と全然ちがいますね(笑)」

Q事前の試写会でのアンケートの中で、「“明日の幸せのつかみかた”のヒントを得ることができた」という回答がたくさんありました。観客のみなさんがさらに幸せになれるために、「“明日の幸せをつかむ”ための秘策」を会場の皆さんへ教えてください。(各自、色紙を披露)

森田監督:『買おうとしている馬券番号』
「ぼくは根っからの競馬ファンで、今日もこれが楽しみで来ました(笑)。帰りに買って帰ります。ロケ先の函館の競馬では、さくら何とかという馬と、まや何とかという馬が当たったんですよ。本当に。スタッフは皆、信じてくれず、買わなかったのでダメでしたけね(笑)。」

小雪:『わたし出すわ うがい手洗い忘れずに』
インフルエンザになりたくないのですが、私たち役者はマスクできないのでうつされ放題なんです。皆さん、自分の身は自分で守ろう!といことで(笑)。」

黒谷:『明日の幸せ 種をまく』
「今日、種をまけばそれが芽となり実となり食べられる。食べ物に限らず、種をまくように誰かのために何かをしてあげたら、未来にそれが自分に戻ってくるはず。そんな気持ちで過ごしたいなと思っています。」

井坂:『ドライブ』
「とにかく車が好きです。悩むと運転をしています。車の中で役のことを考えたりします。自分がナチュラルになれるので、考えながら車に乗り、幸せを掴みます。」

山中:『左手』
「僕は右利きなんですが左手を使ってみると不便なことが多くて、普段当たり前のことができないので新しい発見があって、日々生きることを見直すきっかけにもなります。最近、よく左手を使っているんですよ。」

小澤: 『自分に正直に』
「人についたウソはもしかしたら自分は傷つかないかもしれない。でも自分についたウソは一生傷として残ります。だから、今ある自分に正直に生きていけば、それが自分にも人の為にもなり、幸せになれると思います。」

Q最後に監督と小雪さんから一言ずつお願いいたします。

森田監督「この色紙を見てみると、私が何故彼らをキャスティングしたかがわかると思います。僕がプライベートな側面も含めてキャスティングをしますので。みなさん、キャストの色紙に書いてあったことを思い出しながら是非もう一度ご覧ください(笑)。一度目よりも、もっとたくさんのことが見えてくると思います。」

小雪「この映画は、一度二度みるごとに感じ方の変わる映画であると思います。友だちや恋人、家族の方と劇場に是非いらしてください。」