新しい映画の流れを提案する映画祭として、今年で10年目を迎える”東京フィルメックス映画祭”。2006年より丸の内カフェにて、多くのゲストをお迎えしてトークイベントを開催してきた。今年も行われ、第1回目に、第10回東京フィルメックス映画祭審査委員長でもある、映画監督崔洋一監督をお迎えし、聞き手には東京フィルメックスディレクター林加奈子が登壇した。

登場してから早々に、審査”委員長”についてのプレッシャーを聞かれると、
崔さんは「これは困るんですね・・・よく他人事のように言ってますけどね、この方が命じたんですよ!”やれ”との事だったんですけども、審査員をやる事と、審査委員長をやる事は立場は微妙に違うというか・・・できの良い審査委員長程ね、巧みに自分の一番お気に入りの作品を自分の所に持ってくるという事もあるんですね。言って見れば”戦い””戦争”ですよね。」と厚く語ってくれた。

アットホームな空間で行われるだけあって、崔監督の最新作『カムイ外伝』の裏話、そして観客から質疑応答が行われた。続々と他の映画祭で上映が決まっている『カムイ外伝』。
まずメイキングを見ると、林さんから「崔さんって優しいですね。優しい所をピックアップしてるんですか??」と言ってしまう場面も。そんな林さんに、崔さんは、「あれは普段の私でございまして。皆さんが時々思う”暴力監督”というレッテルは、今日から捨てて下さい!!。あれは都市伝説の一つにすぎない!!」と話してくれた。そんな崔さんに観客は大爆笑。観客からは監督へは・・・

Q:松山さん、小雪さんらの中でどのアクションが一番苦労されましたか??。

ー(監)「ケンイチのがワイヤーアクションを薦めてただけに、一番苦労しましたね。小雪に関して、一応訓練3カ月やってますんで、メイキングには2カットだけ入ってましたけど、”砂場でワイヤー吊られて着地”というのを彼女はすぐに習得し、大変肉体派で、実はあれは7回やって、これ以上やると体壊れるぐらい本番重ねてったんですけど、そういう意味で技術的に、苦労したのはやはりケンイチのワイヤーアクションですね。砂から出てくるシーンも、本人を砂に埋めて引っ張りあげるんですからね。ひどいっちゃひどい、後でワイヤー消してるだけだから。」と暴露。観客も目を丸くしていた。

Q:続編を期待させるような終わり方でしたが続編についてお聞かせ願えれば・・・。

ー(監)「有難うございます。原作の白土三平さん、私、松山ケンイチももちろん2部に突入するつもりで、実は、企画の中身も決めてるんですね。白土さんからはスーパーアイディアくれたりして、しかし他の壁がいくつかあるけれども、3人ともやる気満々でございます。」と観客を期待させるコメント。

Q:松山ケンイチさんを選んだ理由は??。

ー「ある種僕の趣味だったんですけども、彼の作品は2作品しか見てないんですよ。その2本で判断するのはどうかってのはあったけど、そこからにじみ出てきた物っていうのと、彼のインタビュー記事を読んだ時、もちろん俳優松山ケンイチで、2段3段飛び越えてスターダムに入ろうとしているちょっとそのくらいの前に彼を知ったわけですけど、彼のインタビュー記事を読んだ時、彼が昇れるような俳優として、”1個の人間として、社会と向き合う、社会の中にいる自分を時々考える時があります。”という発言などに気に入ったんですよね。そしてマッチョでない体。それと研ぎ澄まされて、繊細な趣ではない顔ですね。カムイはここにしかいないなと思っていた。」と話してくれた。

約90分のトークショーは、あっという間におわってしまったのであった。
ちなみに来週以降のスケジュールは・・・

 ■2009年11月4日(水)
 ゲスト:SABU(映画監督)
 聞き手:林加奈子(東京フィルメックスディレクター)

 ■2009年11月11日(水)
 ゲスト:湯山玲子(クリエイティブ・ディレクター)
 
 ■2009年11月18日(水)
 ゲスト:西川美和(映画監督)
 聞き手:市山尚三(東京フィルメックスプログラム・ディレクター)

 ■2009年11月25日(水)
 ゲスト:ロウ・イエ(映画監督)
 聞き手:市山尚三(東京フィルメックスプログラム・ディレクター)

と、丸の内カフェで行われている。

第10回東京フィルメックスは2009年11月21日(土)〜11月29日(日)有楽町朝日ホール、東劇ほかにて開催