「テン・ウィンターズ」のゲストをお迎えし、記者会見が行なわれました。

■ 日時・場所 10月22日(木)、13:45 @ムービーカフェ
■ 登壇者 ヴァレリオ・ミエーリ(監督)、ミケーレ・リオンディーノ(俳優)、ウリアナ・コバレバ(プロデューサー)

冬のヴェネチアとレニングラードを舞台に、カミッラとシルヴェストロの出会いの日から10 年にわたる「友達以上恋人未満」な関係を描く青春ラブストーリー。若さと瑞々しさが画面にあふれる、期待の若手俳優陣にも大注目な新人監督第1 作。
東京の美しさと映画祭が上手く組織化されていると絶賛のミエーリ監督、「是非日本に来たかった」ので現在開催中のローマ映画祭を抜け出して来日してくださったリオンディーノさん、そしてロシア側のプロデューサーのコバレバさん。初来日となるお三方にお話しを伺いました。

質問: この映画では、イタリア以外ではロシアが大きな部分を占めていますが、ロシアを選んだ理由を教えてください。
監督: 物語の設定としてヨーロッパのどこかの首都を取り上げたいと考えた時に、モスクワがヴェネチアと対照的な存在であるということに気付きました。非常に人が多く、大きくて現代的なモスクワ。それに対して現代的なものが少なく静かな冬のヴェネチアです。また、主人公のカミッラを文学や演劇にのめり込む女性として描く上で、ロシアこそが誰もが文学、演劇の国であると思いました。
コバレバさん: 実はこの作品は、1 月から3 月初旬に撮ったんですが、まずはベニスからロシア、その後またベニスに戻りましたが、2 月のロシアというのが本当に寒かったんですよ。また、イタリア側もロシア側も、スタッフ、キャスト、クルーが非常に頑張ってくれましたので、今回の合作には非常に満足しています。

質問: 長い恋の物語といいますと、春から夏のものが多いのですが、何故「冬」を選んだんでしょうか?
監督: この作品は実はラブストーリーではありません。ラブストーリーと呼べるのは、最後の30 秒の部分だけであって、それまではラブストーリーに至るまでの物語です。春のラブストーリーに向かうために、困難を乗り越えていく寒い冬の間のプロローグなんです。

質問: リオンディーノさんに、これまでの経歴、そしてロシアのスタッフやキャストとの初仕事についての感想をお願いします。
リオンディーノさん: この作品では、初めて体験したことがたくさんありました。これまでは悪役が多く、ひとつ前の作品では賭博師、その前は麻薬中毒患者を演じました。ですからコメディタッチの映画に出演することは興味深い経験でした。当初監督は私を起用することに乗り気ではなかったんです。シルヴェストロは、私自身とは異なるタイプの人間なので、共通点を見出す努力をしながら役作りをしました。自分が描いたシルヴェストロがこれだけ笑いを誘うとは、自分でも思っていませんでしたし、監督もそうだったんだと思います。
監督: ミケーレの言ったことは本当です。以前の映画でも俳優としての力量を発揮していましたが、ただそれが非常に恐ろしい悪役で、彼と会うのが怖いと思ったくらいです。監督としての経験が浅いこともあって、優れた俳優の演技の幅について理解していませんでした。
優れた俳優は、全く異なった役を演じられるのだということを、教えられました。これはカミッラ役のイザベッラについても同じです。また、二人については、カップルとしても非常に満足しています。

質問: イタリアとロシアとの合作とは、これまであまりなかったものだと思いますが?
コバレバさん: そうですね。政府レベルでの協力体制も必要ですが、個人的な関係が成り立たなければ、このようなコラボレーションはあり得ないわけですが、今回は幸いなことにプロデューサー、監督、スタッフ、キャストにも恵まれまして、この作品を観ていただければそのことが解っていただけると思います。
監督: おそらくアメリカ以外の国で作られた作品については、色々な国においてより多くの人たちに観てもらえるためにも、このような合作などによる協力体制が必要なんだと思います。
コバレバさん: 柔道や合気道など、ロシアでもイタリアでも親しまれている日本発のスポーツですが、非常時哲学や文化があります。プロデューサーとしては、そういったものを今後日本との合作として作りたいと思っています。
リオンディーノさん: 俳優としても別の文化圏の俳優と仕事をすることで、新しい発見をすることができました。そういったことが生まれた相乗効果がこの作品に表れているのだと思います。
監督: 是非いずれ日本で、できれば日本の俳優も起用して、イタリア人の視点から日本との合作を撮りたいと思っています。