「エイト・タイムズ・アップ」のゲストをお迎えし、記者会見が行なわれました。

■ 日時・場所 10月21日(水)、 17:45 @ムービーカフェ
■ 登壇者 シャビ・モリア(監督/脚本)、ジュリー・ガイエ(女優/共同プロデューサー)

職と家を失い過酷な現実に直面するふたりの男女の姿を、リアリズムとユーモアを交えて美しく描く、現代を象徴する深刻なテーマを、軽やかにユーモアを交えて描くポジティブなセンスが光る作品。題名は「七転び八起き」から!
初日からTIFF に参加いただいているモリア監督、そして昨日到着されたガイエさんに、まずは東京の印象について伺いました。

監督: 実はまだ時差ボケから回復できていないので、東京のイメージもおぼろげです。私の魂は、まだ夢を見ているようです。
ガイエさん: 昨晩到着したばかりで、夕食後就寝したのですが、午前3 時に目が覚めてしまって、9 時頃まで一人で界隈を散歩していました。街路樹や歩道に植えられている小さな花々がとても美しく、パリもこれくらい緑があればと思いながら、歩いていました。

質問: 日本や中国では「八」は末広がりということで縁起の良い数字とされ、逆に「七」は音が困難の「ナン」、漢字が線を断ち切っているということで、決してラッキーセブンではありません。「八」がラッキーナンバーということはご存じでしたか?
監督: 「七転び八起きの」という格言はもちろん知っていましたが、それ以上のことは知りませんでした。ウィットや知性、ことばに奥深い意味があるということを知ることができて、地球の反対側に来た甲斐があります。

質問: もともと短編映画でお二人が知り合われたということですが、この映画の制作に至った経緯を教えてください。
ガイエさん: その短編映画ですが、この映画のラストシーンで使われているところなどがそうなんですが、その頃から「一緒に長編を作りたいね」という話をしていました。これはモリアさんの監督としても撮影監督としても初長編作ですが、私は女優としては数々の映画での経験を積んでいるということもあり、今回は少しでも協力できればということで女優、そして共同プロデューサーとして参加いたしました。コメディでありながら詩的でドラマチックで、そういった様々なトーンが存在する作品でしたので、とてもやりがいを感じました。
監督: 短編は気がめいる程暗い映画です。ですから長編では、登場人物も名前も全て同じにして、コメディの要素を加え、違ったかたちでストーリーを伝えることを試みました。プログラムの中に、「私はケン・ローチ監督のようになりたいと切望するが、それは無理だと思っている」という『少年トロツキー』のティアニー監督のことばが載っています。私も全く同感です。私は、私なりにこの物語を伝えようと思い、この映画をつくりました。

質問: 長編では、ポダリスさんの登場によってコメディ色を出すことができたのだと思うのですが、短編には出ていなかったんでしょうか?
監督: 作品を的確に捉えられた質問をありがとうございます。脚本にはいくつかのバージョンがあって、当初のものはコメディ色が少なかったんです。隣人の役は初めから存在していましたが、重要な役どころではありませんでした。ストーリーにもう少し軽い、ファンタジーの要素を取り入れようと考え、そこでフランスではコメディ役者として定評のあるポダリデスさんを起用し、脚本を書き換えました。
彼を壁の向こう側にいるエルザの双子の兄弟のように描きました。同じような境遇に置かれていながら、よりユーモアのセンスをもって対応している兄弟といった設定で脚本を仕上げました。

質問: 彼と共演した感想を教えてください。
ガイエさん: フランスではコメディフランセでも活躍されている素晴らしい俳優です。毎日、本を一冊読む読書家であることでも知られています。
本当に楽しく共演させてもらいました。周囲の人たちはなかなか同意してくれないんですが、本当にセクシーな男性なんですよ!

質問: エルザとマチューは、運命の相手なのでしょうか?それぞれの受け止め方なんだと思いますが、監督の見解を教えてください。
監督: 個人的に、特に往年のロマンチックコメディが大好きです。ただ、エルザは決してロマンチックコメディ向けのキャラクターではなく、あまりにも多くの問題を抱え過ぎています。やっとロマンチックコメディが始まるのかなというところで映画は終わってしまいます。
それがご覧になっていてヤキモキする部分なんだと思います。ハリウッド映画でしたら、きっとそこから映画が始まるのでしょうね。
ガイエさん: 実は、最後にキスシーンを入れることを切望したのですが、監督はそれを許してくれなかったんですよ!